2019年12月 7日 (土)

「エマ・カークビー ソプラノ・リサイタル」:降りるは簡単、上るは苦難、ステージへの道

北とぴあ国際音楽祭2019会場:北とぴあ さくらホール2019年11月7日 今年も来ました恒例の北とぴあ。北区民のありがた~い税金による音楽祭であります。この音楽祭とエマといえば数年前の『妖精の女王』が思い出される。今年はオペラの参加はなくて単独コンサートだ。 前半はつのだたかしのリュート共に英国ルネサンス歌曲。後半は寺神戸亮率いるアンサンブル(総勢9人)との共演でバロック名曲選、という盛りだくさんな超お得プログラムだった。 ルネサンスものの方はダウランド中心で、他にキャン...

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2019年12月 4日 (水)

「僕たちは希望という名の列車に乗った」:人生片道切符

監督:ラース・クラウメ出演:レオナルド・シャイヒャー ドイツ2018年 ベルリンの壁ができる前、東独の学校で起こった事件。ハンガリー動乱によって市民が犠牲になったのに対し、教室で授業時に黙祷したのが大事になる。恐らく高校生たちがあまり深く考えずにノリで始めたことと思うが、当時の東独は日本と同様に敗戦国で占領中。ソ連がらみの事案なので許される事ではない。政府から首謀者を出せと迫られて、友情にも家族にも亀裂が入る。血気盛んな若者たちと、ワケありの過去を背負って生気を失った影のよ...

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2019年12月 2日 (月)

「模倣か独創か パーセルとイタリアのマエストロたちのトリオ・ソナタ」:ソナタ・ワールドカップ英×伊は勝負より融合

演奏:レザミ・ドゥ・バルバスト会場:近江楽堂2019年11月2日 ヴァイオリン天野寿彦、コリーヌ・オルモンド、チェロ山本徹、チェンバロ辛川太一という4人で、パーセルのソナタを中心として英国バロックの変遷を聞くコンサートである。C・オルモンドはフランス出身。バルバストという土地で開かれた古楽講習会で天野・山本と知り合い、アンサンブルを組んだという。今回は10年ぶりらしい。 パーセルというと声楽曲系がよく演奏されるけど、実際には器楽曲も多い。30代半ばで亡くなったのによくこれだ...

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2019年11月30日 (土)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 12月版

秋の怒濤のコンサート・ラッシュが過ぎればはや師走です(+_+)ショボ *1日(日)ローレンス・ドレフュス氏を迎えて 上野学園大学古学研究室演奏会:石橋メモリアルホールこちらも聞きたかったのに、先に北とぴあのチケット取っちゃってたもんで……。*  〃  ヘンデル リナルド(寺神戸亮&レ・ボレアードほか):北とぴあさくらホール*5日(木)Now may we syngyn 中世イギリスのキャロル(トルブール):近江楽堂*8日(日)選り抜きダウランド(つのだたかし&波多野睦美):松...

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2019年11月25日 (月)

「アンサンブル・マレッラ」:本場フレンチのかほり

会場:近江楽堂2019年10月31日 エマニュエル・ジラール率いるフランス人4人と日本人ヴァイオリニストによるアンサンブル。レパートリーはロマン派まであるそうだが、この日はマレ、フォルクレ、ルクレールというモロに「18世紀フランスバロック黄金期」(チラシより)をやった。かつてベルサイユに流れた本場の音を味わえて嬉しかった( ^o^)ノ。 前半がマレ特集で、この少し前に石橋ホールで聞いたマレの「聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モンの鐘」をここでも聞くことが出来た。冒頭の「鐘」のフレ...

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2019年11月24日 (日)

映画落ち穂拾い 2019年前半その3

「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」監督:フレデリック・ワイズマン 米国2016年 これもまた、最初見た時にはロングランヒットになるとは予想も付かなかったドキュメンタリー。205分、さすがに長かった! まあワイズマンは長いのが芸風だからなー。年齢も89歳だというからその分ビヨ~ンと伸びた感じ(過去にもっと長い作品があるけど)。通常の図書館仕事はあえて省いて、対外サービスや文化イベントに絞って取り上げている。それと館長とスタッフによる予算獲得対策会...

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2019年11月22日 (金)

「主戦場」:ふたりはいつも

監督:ミキ・デザキ 米国2018年 私がこれを見た時は単館上映だったが、いつの間にか方々で上映される話題(問題)作になっている。(出世?)慰安婦問題の正否について日・米・韓の様々な論客・研究者にインタビューしていくドキュメンタリー。そして観客の興味をそらすことなく、映画の流れはなぜ歴史修正主義者はそのような主張をするのか、という問題へと最後に行き着く。そこには隠された深~い理由があったのだ。その回答をスリリングに(これ以上行くと陰謀論に というギリギリま...

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2019年11月18日 (月)

「アルツハイマーと僕 グレン・キャンベル音楽の奇跡」:音楽が終わった後も

監督:ジェームズ・キーチ出演:グレン・キャンベル 米国2014年 グレン・キャンベルってヒットチャートでは耳にしてきたが、それ以上に接することはなかった。活躍するジャンルがカントリーというのも理由の一つだ。だがそもそもはセッション・ギタリストとして活動を始め、ビーチボーイズにも短期間だけど参加していたというのは知らなかった。 彼がアルツハイマー病にかかり、あえてそれを公表してラストツアーを決行する。その行程を記録したドキュメンタリーである。ステージだけではなく診察や日常生活...

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2019年11月13日 (水)

「ミューズの力 恋する女性たち」:通底弾けば鐘が鳴るなり聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン

フランス・カンタータの世界演奏:クレール・ルフィリアートルほか会場:石橋メモリアルホール2019年10月20日 ル・ポエム・アルモニークで活躍してきたソプラノ歌手クレール・ルフィリアートルを迎えて、フレンチ・カンタータに登場する女性を浮かび上がらせる。日本側の奏者は寺神戸亮、上村かおり、前田りり子、曽根麻矢子という布陣である。 リュリの「町人貴族」で開始で、前半一番盛り上がったのはモンテクレールのカンタータ「恋の繰り言」であった。レチとアリアの繰り返しの中に恋する女の激しい...

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2019年11月11日 (月)

映画落ち穂拾い 2019年前半その2

「ハンターキラー 潜航せよ」監督:ドノヴァン・マーシュ出演:ジェラルド・バトラーイギリス2018年 潜水艦ものは結構好きである。大昔の『原子力潜水艦シービュー号』とか『眼下の敵』などなど。マンガの『サブマリン707』も読んでた。魚雷に機雷にソナー、この手の戦闘には欠かせぬ要件がテンコ盛りの上に、さらに特殊部隊による地上極秘任務(派手な銃撃戦付き)ありの大サービスである。あ、加えて「信頼できる艦長」も必須条件ですね。出来に文句なしっ。定番の音探知の場面では客...

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2019年11月10日 (日)

「ある少年の告白」:矯正を強制して共生せよ

監督:ジョエル・エドガートン出演:ルーカス・ヘッジズ米国2018年 シビアでつらい物語、というか実話である。大学生活で同性愛が発覚した若者が、閉鎖的な矯正施設に送られてしまう。そもそも父親が牧師だからとても許されない。事前の予想よりストーリー上の宗教の比重が大きかった。まあそもそも同性愛が禁忌とされたのは聖書にあるからだが。 いったん終わるかと思わせてまだ続きがあったのは意外な展開。父母と息子の物語でもあることが分かる。そこまではニコール・キッドマンが母は強し演技で目立って...

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2019年11月 8日 (金)

「テレマン ベスト・オブ・トリオソナタ」:タテ笛奏者百人に聞きました、あなたの好きな作曲家は?

演奏:レ・タンブル&ハルモニア・レニス会場:近江楽堂2019年10月8日 二つのグループ合体(計5人)コンサート、前回はシェイクスピアがらみで、今回はテレマン尽くしである。本当は小金井のホールでイタリア・バロック特集をやったのだが、残念ながらオランダ・バッハ協会と重なってしまい、こちらの方になったのだ。(小金井宮地楽器ホールってまだ行ったことないから生きたかったのよ(+_+)トホホ) この合体グループの特徴は鍵盤弾きが二人いて、チェンバロ二台にさらに片方はオルガン重ねだから...

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2019年11月 6日 (水)

「荒野の誓い」:ビッグ・カントリー 広くても行き場はない

監督:スコット・クーパー出演:クリスチャン・ベイル米国2017年 時は19世紀末の米国、長年先住民との戦争を戦ってきた騎兵隊大尉の主人公は、かつての宿敵である族長を刑務所から居留地に護送するように命令される。このような設定だと想像できるのは、激しくいがみ合う両者が道中で予期せぬ襲撃などアクシデントに遭って、互いに理解し合うようになる。--と思ったらちょっと違った 主人公は積年の恨みに決着付けようと首長に決闘を挑むのだが、相手は孫までいて家族と静かに暮らし...

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2019年11月 3日 (日)

映画落ち穂拾い 2019年前半その1

「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」監督:デヴィッド・バッティ出演:マイケル・ケイン英国2017年 60年代英国で階級をぶち壊して勃興した労働者階級のユース・カルチャーをたどるドキュメンタリー。マイケル・ケインがナビゲートし、音声のみのインタビューに答えるのはマッカートニー、ツイッギー、マリー・クワント、ロジャー・ダルトリー(P・バラカン監修につき「ドールトリー」表記になってる)など。音楽中心かと思ったらファッションやアートにもかなり時間を...

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2019年10月31日 (木)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 11月版

なんとなくドタバタしている秋の日々であります。 *2日(土)模倣か独創か パーセルとイタリアのマエストロたちのトリオ・ソナタ(コリーヌ・オルモンドほか):近江楽堂*3日(日)ジャン・ロンドー:東京文化会館小ホール  フランス・バロック篇バッハ&スカルラッティも行けばよかったかなあ(ーー;)*6日(水)ランチタイム・コンサート エマー・カークビーを迎えて:石橋メモリアルホール  入場無料 *7日(木)エマ・カークビー:北と...

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