2019年11月13日 (水)

「ミューズの力 恋する女性たち」:通底弾けば鐘が鳴るなり聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン

フランス・カンタータの世界演奏:クレール・ルフィリアートルほか会場:石橋メモリアルホール2019年10月20日 ル・ポエム・アルモニークで活躍してきたソプラノ歌手クレール・ルフィリアートルを迎えて、フレンチ・カンタータに登場する女性を浮かび上がらせる。日本側の奏者は寺神戸亮、上村かおり、前田りり子、曽根麻矢子という布陣である。 リュリの「町人貴族」で開始で、前半一番盛り上がったのはモンテクレールのカンタータ「恋の繰り言」であった。レチとアリアの繰り返しの中に恋する女の激しい...

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2019年11月11日 (月)

映画落ち穂拾い 2019年前半その2

「ハンターキラー 潜航せよ」監督:ドノヴァン・マーシュ出演:ジェラルド・バトラーイギリス2018年 潜水艦ものは結構好きである。大昔の『原子力潜水艦シービュー号』とか『眼下の敵』などなど。マンガの『サブマリン707』も読んでた。魚雷に機雷にソナー、この手の戦闘には欠かせぬ要件がテンコ盛りの上に、さらに特殊部隊による地上極秘任務(派手な銃撃戦付き)ありの大サービスである。あ、加えて「信頼できる艦長」も必須条件ですね。出来に文句なしっ。定番の音探知の場面では客...

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2019年11月10日 (日)

「ある少年の告白」:矯正を強制して共生せよ

監督:ジョエル・エドガートン出演:ルーカス・ヘッジズ米国2018年 シビアでつらい物語、というか実話である。大学生活で同性愛が発覚した若者が、閉鎖的な矯正施設に送られてしまう。そもそも父親が牧師だからとても許されない。事前の予想よりストーリー上の宗教の比重が大きかった。まあそもそも同性愛が禁忌とされたのは聖書にあるからだが。 いったん終わるかと思わせてまだ続きがあったのは意外な展開。父母と息子の物語でもあることが分かる。そこまではニコール・キッドマンが母は強し演技で目立って...

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2019年11月 8日 (金)

「テレマン ベスト・オブ・トリオソナタ」:タテ笛奏者百人に聞きました、あなたの好きな作曲家は?

演奏:レ・タンブル&ハルモニア・レニス会場:近江楽堂2019年10月8日 二つのグループ合体(計5人)コンサート、前回はシェイクスピアがらみで、今回はテレマン尽くしである。本当は小金井のホールでイタリア・バロック特集をやったのだが、残念ながらオランダ・バッハ協会と重なってしまい、こちらの方になったのだ。(小金井宮地楽器ホールってまだ行ったことないから生きたかったのよ(+_+)トホホ) この合体グループの特徴は鍵盤弾きが二人いて、チェンバロ二台にさらに片方はオルガン重ねだから...

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2019年11月 6日 (水)

「荒野の誓い」:ビッグ・カントリー 広くても行き場はない

監督:スコット・クーパー出演:クリスチャン・ベイル米国2017年 時は19世紀末の米国、長年先住民との戦争を戦ってきた騎兵隊大尉の主人公は、かつての宿敵である族長を刑務所から居留地に護送するように命令される。このような設定だと想像できるのは、激しくいがみ合う両者が道中で予期せぬ襲撃などアクシデントに遭って、互いに理解し合うようになる。--と思ったらちょっと違った 主人公は積年の恨みに決着付けようと首長に決闘を挑むのだが、相手は孫までいて家族と静かに暮らし...

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2019年11月 3日 (日)

映画落ち穂拾い 2019年前半その1

「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」監督:デヴィッド・バッティ出演:マイケル・ケイン英国2017年 60年代英国で階級をぶち壊して勃興した労働者階級のユース・カルチャーをたどるドキュメンタリー。マイケル・ケインがナビゲートし、音声のみのインタビューに答えるのはマッカートニー、ツイッギー、マリー・クワント、ロジャー・ダルトリー(P・バラカン監修につき「ドールトリー」表記になってる)など。音楽中心かと思ったらファッションやアートにもかなり時間を...

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2019年10月31日 (木)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 11月版

なんとなくドタバタしている秋の日々であります。 *2日(土)模倣か独創か パーセルとイタリアのマエストロたちのトリオ・ソナタ(コリーヌ・オルモンドほか):近江楽堂*3日(日)ジャン・ロンドー:東京文化会館小ホール  フランス・バロック篇バッハ&スカルラッティも行けばよかったかなあ(ーー;)*6日(水)ランチタイム・コンサート エマー・カークビーを迎えて:石橋メモリアルホール  入場無料 *7日(木)エマ・カークビー:北と...

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2019年10月30日 (水)

「ソフィオ・アルモニコが綴る 爛熟のイタリア」:装飾なしでは始まらぬ

器楽を彩るディミニューション演奏:ソフィオ・アルモニコ会場:近江楽堂2019年10月6日 ルネサンス・フルート集団のソフィオ・アルモニコ、この日はリュートの坂本龍右を迎えてディミニューション特集である。そもそも「ディミニューション」って何(^^?などとシロートは思ってしまうのだが、ルネサンスから初期バロックへと音楽が変化する中でより劇的に複雑化していった装飾--ということでいいんですかね。ジョスカンの時代に対位法完成→後は装飾音を使いまくり→遂に崩壊→メロディと和声のバロッ...

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2019年10月28日 (月)

「Tommy/トミー」:ケバい・派手・悪趣味の三重楽

監督:ケン・ラッセル出演:ロジャー・ダルトリーほかザ・フーの皆さんイギリス1975年 『ロケットマン』の公開記念?それとも原作であるザ・フーのアルバムが発売50周年だからなのかは不明だが、HDリマスター版でリバイバル上映! ケン・ラッセル監督のファンとしては見に行かずばなるまいて。年齢が分かってしまうけど、ロードショー公開時に見ている。もちろんまだ学生の頃である。(←なぜか強調) その後ビデオソフト買って何度か見ているがデッキが壊れしまい今はそれもできない。(ブルーレイ入手...

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2019年10月23日 (水)

佐藤俊介とオランダ・バッハ協会管弦楽団」:楽器それぞれ演奏者もそれぞれ

会場:彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール2019年10月5日 老舗オーケストラに若い日本人が抜擢!で話題のコンサートに行ってきた。一週間前に浜離宮でも同じ内容であったのだが、県民愛に燃えて 彩芸の方を選択。ただ後日、行きたかった別のコンサートとバッティングしたことが判明……(T-T) 結論は「若くて才能のある人が本当にいるもんだのう」と感心したのであった。冒頭、バッハ先生管弦楽組曲第1番を弦・管・通底それぞれ3人という少人数で演奏。会場の特性のためか輝くよ...

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2019年10月19日 (土)

「ロケットマン」:黄昏のスター路

監督:デクスター・フレッチャー出演:タロン・エガートンイギリス2019年 「見たいエルトンより見せたいエルトン」--なんとなくそんな言葉が浮かんでくる。そりゃそうだ、自伝ミュージカルにご本人が製作総指揮で入っているのだから。 父に嫌われ母に疎まれ、音楽の才能を発揮するも家族の愛情は得られない。つらい、苦しい、暗い……信田さよ子の『〈性〉なる家族』に出てくる事案そのままみたいな家庭に生まれたエルトンの恨み節。冒頭から次から次へと見せつけられる。 名コンビとなる作詞家のバーニー...

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2019年10月14日 (月)

「ベルリン古楽アカデミー×ソフィー・カルトホイザー」:歌心あればオーボエ心あり

会場:トッパンホール2019年9月29日 ベルリン古楽アカデミーのコンサートは多分5回目。(前回の感想はこちら)今回のコンマスはベルンハルト・フォルクという人である。武蔵野でも公演あり、完売という人気だった。 前半は器楽のみのプログラム。J・SならぬJ・B・バッハって誰(?_?)と思っちゃうが、「ヨハン・ベルハルト」でバッハ先生の又いとこだそうだ。その「管弦楽組曲」の第1番は6楽章からなる。1730年頃にコレギウム・ムジクムで演奏されたものらしい。バッハ先生の同名タイトルの...

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2019年10月10日 (木)

「未来を乗り換えた男」:終着の港

監督:クリスティアン・ペッツォルト出演:フランツ・ロゴフスキドイツ・フランス2018年*DVDにて鑑賞 久方ぶりに「映画館で見ておけばよかったと大後悔」案件に出会ってしまった。思えばハネケの『ピアニスト』以来である。どうしてロードショー時に見なかったかというと、同じ監督の作品『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』は見ていた。しかし「面白いけど今ひとつ」な感じだったのである(特に『あの日』の方)。それで今回はどうしようかと迷っているうちに公開終了……と見送ること...

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2019年10月 3日 (木)

「クァルテット in Paris 2」:風が吹けば……

パリジャンを魅了したエスプリの香気演奏:AYAMEアンサンブル・バロック会場:近江楽堂2019年9月20日 後期--というより終期バロックにおけるパリの音楽状況を、粋すなわちエスプリという観点からそのままに体現してみせた4人の女性奏者によるコンサートである。取り上げられた作曲家はギユマン、カンタン(二人とも知らなかったです)、ラモー……と聞いてみるとなるほど、ここにおいてはバッハも古くさくて野暮というしかない。 さらに、何よりもテレマンの「パリカル」が見事。当時の人気作曲家...

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2019年10月 2日 (水)

「ドッグマン」:ホール・ロッタ・ラヴ で、飼い主はどっちだ?

監督:マッテオ・ガローネ出演:マルチェロ・フォンテイタリア・フランス2018年 ガローネ監督は『ゴモラ』が衝撃で、その後も『リアリティー』『五日物語』も見た。後者は映像はキレイだけど話自体はなんだかなあという印象だった。今回の作品はどれかと言えば『ゴモラ』系ではある。 舞台となるはイタリアの田舎町。これがまた、よくぞこんな場所見つけてきたものよと言いたくなるほどの寂れ具合である。主人公は街の商店街の一角で犬のトリミングサロンを開いていて、腕前は良いようだ。時折商店街の仲間と...

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