2020年1月24日 (金)

「オリーブ・コンソート」:巨匠が来りて超絶笛を吹く

会場:東京文化会館2019年12月15日 ケース・ブッケ、W・ファンハウヴェの超ベテラン組と田中せい子&D・ブラジェッティによるリコーダー・カルテットである。「ヘンリー8世の手写本」、フェスタ「ラ・スパーニャによる125のコントラプンティ」、「ロイヤル手写本」という3種のルネサンス曲集からの曲を演奏し、その間にブッケ、ファンハウヴェがそれぞれベリオの「ジェスティ」を独演するという興味深い構成だった。 曲集の方はポリフォニー豊かで巧みなアンサンブルが楽しめた。特にフェスタの1...

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「ニューヨーク・アートシーン」

ロスコ、ウォーホルから草間彌生、バスキアまで会場:埼玉県立近代美術館2019年11月14日~2020年1月19日 埼玉の数少ない文化的施設である県立近代美術館で開催。現代アートの代表的作品が作者ごとに1~3点展示されている。サブタイトルに「滋賀県立近代美術館コレクションを中心に」とあり、日本国内を巡回しているらしい。 ウォーホル、ロスコ、シンディ・シャーマン、バスキア等々。デュシャンの便器もちゃんとあり。現代美術の教科書そのままと言っていいくらいに有名作品が多数展示されてい...

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2020年1月22日 (水)

「ナウシカ考 風の谷の黙示録」

著者:赤坂憲雄岩波書店2019年 マンガ版の『風の谷のナウシカ』を民俗学の立場から俯瞰する解読の書である。論が進むにつれ著者の専門分野を飛び出し、宗教や文学のフィールドも巻き込んで読んでいく。それゆえ、現在マンガ批評の主流である絵柄やコマ割りからの分析はほとんどない。結末に至るまでかなり詳細に紹介してあるので、マンガ読了者のみにオススメする。 アニメしか見ていないという人は多いだろうが、マンガ版は全7巻。連載途中でアニメ化されたために2巻目の途中までの内容しか入っていない。...

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2020年1月13日 (月)

遅まきながら2019年を振り返る

今更ながらではあるが、一応やりました。それにしても最近ますます記事を書くのに時間がかかってしまい(気力の問題)どうしようという感じですね。 【映画】順序はなんとなく。完成度より好みで選んでおります。 *『未来を乗り換えた男』*『あなたはまだ帰ってこない』この二作、それぞれ裏表を成している。こういう構造の映画がつくづく好きなんだなあと自分で再認識した。もし、今年の一作を選ぶとしたら『未来~』だろうけどそういうのに限ってロードショーをスルーしてしまい、DVDで見る羽目に……トホ...

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2020年1月 9日 (木)

ヘンデル「リナルド」:こいつばかりがなぜモテる?

北とぴあ国際音楽祭2019演出:佐藤美晴演奏:寺神戸亮&ラ・ボレアード会場:北とぴあ2019年11月29日・12月1日 『リナルド』というと、何年か前にNHK-BSで放映されたのを見たことがある。R・カーセン演出でグラインドボーン音楽祭で上演されたものだ。その時は登場人物がハリー・ポッターみたいな制服を着ているファンタジー学園ものを模していた。確か『ET』みたいに自転車が飛んだのを記憶している。 今回は舞台上に演奏者がいるセミステージ形式とは言え、背後に巨大な割れた鏡が置か...

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2020年1月 6日 (月)

「15ミニッツ・ウォー」:バスに向って撃て!

監督:フレッド・グリヴォワ出演:アルバン・ルノワールフランス・ベルギー2018年 国際紛争による人質事件という実話を題材にしているのは『エンテベ空港の7日間』と同じだ。が、あちらは戦闘シーンが少なくて詰まんな~い(><)とお嘆きの諸氏諸嬢に、全力をこめてオススメしたい一作である。 舞台は1976年「フランス最後の植民地」 ジブチで、独立派による小学校のスクールバス・ジャック事件が起こる。ソマリア国境近くにバスが移動し、このままだと子どもたちは...

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2019年12月30日 (月)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 1月版

年末年始は意味もなくアセアセ(;^_^Aしています。 *5日(日)フランチェスコ・ドゥランテ ナポリ・対位法の魔術師(リクレアツィオン・ダルカディア):近江楽堂*8日(水)鈴木雅明×若松夏美デュオ・リサイタル:紀尾井ホール*10日(金)G.B.ヴィヴィアーニ 朝吹園子バロックヴァイオリンリサイタル:近江楽堂*14日(火)チェンバロ競演 ヘンデルとスカルラッティ(中川岳):近江楽堂  入場無料*22日(水)深淵なるバロックの響き2 サクバットを中心に17世紀初...

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2019年12月29日 (日)

やなぎみわ展「神話機械」&ライブパフォーマンス「MM」

会場:神奈川県民ホールギャラリー2019年10月20日~12月1日 やなぎみわは昔、写真を中心に活動していた頃は東京で展覧会があって何回か見ることができた。その後、関西に拠点を構えて演劇やパフォーマンスをやるようになってからは縁がなくなってしまった。神奈川芸術劇場でも上演したことがあったのだが、気付いた時には終わっていた。今回は、事前に展覧会があると知って行くことが出来たのである。期間の終わりの二日間だけライブでパフォーマンスをやるということで、埼玉から何回も行くのは面倒な...

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2019年12月23日 (月)

「ジョーカー」:タウン・ウィズアウト・ピティ 誰でも3分間は悪のヒーローになれる

監督:トッド・フィリップス出演:ホアキン・フェニックス米国2019年 今年最大級の話題作といっていいだろう。バットマンシリーズのスピンオフながらヴェネチア映画祭で受賞したし、日本でも興収ランク第1位が続いた。前評判も高く、私は公開されて勇んですぐ見に行った。 しかし、開始5分でその期待も見事にしぼんだ。善人ながら悲惨な境遇の主人公を配して、残酷でことさら刺激的なエピソードをだけをつないで煽っているように思えた。もちろん手法としてそういうのもありだろうが、なんだかなあである。...

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2019年12月18日 (水)

「ガブリエーリとシュッツ 神聖なる響きの大伽藍」:上野にあの大聖堂出現

演奏:エクス・ノーヴォ室内合唱団会場:東京文化会館小ホール2019年11月11日 ガブリエーリ(ジョヴァンニ)とシュッツ、日本ではなかなかナマで聞ける機会は少ない作曲家である。この二人、なんか関係があるの(^^?なんてシロートは思ってしまうが、若きシュッツはヴェネツィアに留学して晩年時のガブリエーリに学んだそうである。そして十数年後に再びヴェネツィアを訪れたシュッツは、大規模な合唱からオペラや小編成のものに流行が変わっていて驚いたそうだ。シュッツの作品自体も作曲年によって大...

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2019年12月13日 (金)

燃える秋のパイク祭り「プライベート・ウォー」&「エンテベ空港の7日間」

「プライベート・ウォー」監督:マシュー・ハイネマン出演:ロザムンド・パイクイギリス・米国2018年 ロザムンド・パイクが戦乱の地を取材した実在のジャーナリスト、故メリー・コルヴィンに扮して半生を描いた映画。「バハールの涙」で登場した女性カメラマンのモデルとなった一人でもある。 英国の新聞記者として紛争地を巡っていたが、スリランカで地雷のために片目を失う。その後PTSDで入院したり、終始タバコを手離せずやアルコール依存、さらに夫とは離婚……というような状況...

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2019年12月 7日 (土)

「エマ・カークビー ソプラノ・リサイタル」:降りるは簡単、上るは苦難、ステージへの道

北とぴあ国際音楽祭2019会場:北とぴあ さくらホール2019年11月7日 今年も来ました恒例の北とぴあ。北区民のありがた~い税金による音楽祭であります。この音楽祭とエマといえば数年前の『妖精の女王』が思い出される。今年はオペラの参加はなくて単独コンサートだ。 前半はつのだたかしのリュート共に英国ルネサンス歌曲。後半は寺神戸亮率いるアンサンブル(総勢9人)との共演でバロック名曲選、という盛りだくさんな超お得プログラムだった。 ルネサンスものの方はダウランド中心で、他にキャン...

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2019年12月 4日 (水)

「僕たちは希望という名の列車に乗った」:人生片道切符

監督:ラース・クラウメ出演:レオナルド・シャイヒャー ドイツ2018年 ベルリンの壁ができる前、東独の学校で起こった事件。ハンガリー動乱によって市民が犠牲になったのに対し、教室で授業時に黙祷したのが大事になる。恐らく高校生たちがあまり深く考えずにノリで始めたことと思うが、当時の東独は日本と同様に敗戦国で占領中。ソ連がらみの事案なので許される事ではない。政府から首謀者を出せと迫られて、友情にも家族にも亀裂が入る。血気盛んな若者たちと、ワケありの過去を背負って生気を失った影のよ...

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2019年12月 2日 (月)

「模倣か独創か パーセルとイタリアのマエストロたちのトリオ・ソナタ」:ソナタ・ワールドカップ英×伊は勝負より融合

演奏:レザミ・ドゥ・バルバスト会場:近江楽堂2019年11月2日 ヴァイオリン天野寿彦、コリーヌ・オルモンド、チェロ山本徹、チェンバロ辛川太一という4人で、パーセルのソナタを中心として英国バロックの変遷を聞くコンサートである。C・オルモンドはフランス出身。バルバストという土地で開かれた古楽講習会で天野・山本と知り合い、アンサンブルを組んだという。今回は10年ぶりらしい。 パーセルというと声楽曲系がよく演奏されるけど、実際には器楽曲も多い。30代半ばで亡くなったのによくこれだ...

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2019年11月30日 (土)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 12月版

秋の怒濤のコンサート・ラッシュが過ぎればはや師走です(+_+)ショボ *1日(日)ローレンス・ドレフュス氏を迎えて 上野学園大学古学研究室演奏会:石橋メモリアルホールこちらも聞きたかったのに、先に北とぴあのチケット取っちゃってたもんで……。*  〃  ヘンデル リナルド(寺神戸亮&レ・ボレアードほか):北とぴあさくらホール*5日(木)Now may we syngyn 中世イギリスのキャロル(トルブール):近江楽堂*8日(日)選り抜きダウランド(つのだたかし&波多野睦美):松...

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«「アンサンブル・マレッラ」:本場フレンチのかほり