2022年11月26日 (土)

「バビ・ヤール」:ご近所の虐殺

監督:セルゲイ・ロズニツァオランダ・ウクライナ2021年 次々と新作を発表しているロズニツァ監督のドキュメンタリーがまた公開された。自国ウクライナが蒸し返されたくない歴史を記録映像だけで掘り起こした問題作だ。 第二次大戦中1941年、ソ連邦の一部であったウクライナ西部をドイツ軍が侵攻した(もっとも元々はポーランド領だったという複雑な経緯があるらしい)。キエフまで進軍する中で市民は熱烈歓迎し、スターリンの絵を引き裂いてヒトラーの肖像を掲げる。また将校たちを招いて歓迎イベントを...

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2022年11月19日 (土)

映画落穂拾い2022年後半編その1

一部、今年の前半に見た映画も入っていますが、細かいことは気にしないように。 「タミー・フェイの瞳」監督:マイケル・ショウォルター出演:ジェシカ・チャステイン、アンドリュー・ガーフィールド米国2021年*オンデマンド視聴 アカデミー賞の主演女優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を見事獲得した本作、日本では配信のみであった。もっともそれも仕方ないだろう。実話を元にしているのだが、日本ではほとんど知られていないからだ。 主人公は貧しくも信仰深い生活の中からTV...

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2022年11月12日 (土)

ヘンデル「王宮の花火の音楽」:群衆と管楽器と混乱と

管楽器の祭典演奏:レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ会場:北とぴあさくらホール2022年10月9日 曲が有名で録音がたくさん出ているにも関わらず、実演で聞く機会がほとんどないという作品がある。この『王宮の花火の音楽』もその一つだろう。当時のままに演奏しようとすると大編成過ぎて難しいためだろうか。 とっころが!1749年の初演ヴァージョンで古楽器使用の復活演奏というコンサートが行われた。これは日本初ということである。管楽器オンリー弦楽器皆無の編成はオーボエ24、ファゴット(...

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2022年11月 4日 (金)

ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」:待ち望んだ英雄は(以下略)

指揮:リナルド・アレッサンドリーニ演出・衣装:ロラン・ペリー会場:新国立劇場オペラパレス2022年10月2日~10月10日 新国立劇場が二年に一度バロックオペラやると発表してこれが最初の演目になる--はずが、コロナ禍で延期。二年以上待たされた中、遂に上演である。メデタイヽ(^o^)丿指揮は当初の予定通りアレッサンドリーニということで、期待はふくらむじゃあ~りませんか。 舞台の設定はエジプトにある博物館の収蔵庫らしい(時代は明示されてないが現代? 少なくとも20世紀)。大勢の...

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2022年11月 1日 (火)

「古楽系コンサート情報」11月分更新

「古楽系コンサート情報」11月分(東京近辺)更新しました。左のサイドバーにもリンクあります。ライヴ配信などは入っていません。...

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2022年10月25日 (火)

「アザー・ミュージック」:音楽が終わる前に

監督:プロマ・バスー、ロブ・ハッチ=ミラー出演:マーティン・ゴア、ジェイソン・シュワルツマン 米国2019年 音楽関係ドキュメンタリーのブームもあってか、こんな作品も公開。ニューヨークの名物レコードショップの歴史をたどる映画である。監督は元スタッフだったカップルとのことだ。 1995年、レコードショップの従業員たちが独立して超マニアかつマイナーな品揃えの店を開く。場所はなんとタワー・レコードの向かい側という大胆さだ。タワーに来た客が流れてくるのを狙った選択である。 自らもマ...

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2022年10月17日 (月)

「ガラスの動物園」:父親のいない半地下

作:テネシー・ウィリアムズ演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ出演:イザベル・ユペール2022年9月28日~10月2日 正直に言うとテネシー・ウィリアムズって芝居を観たことないし、戯曲も読んだことがなかった。それをなぜチケット取ったか、「生ユペール」見たさとイヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出だからである。彼の演出作は『オセロー』、『じゃじゃ馬ならし』(こちらは記録映像)を見たことがある。いずれも非常に過激だった。でも『ガラスの動物園』は死人も暴力もなし、どんな演出をするのだろうかと興味...

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2022年10月10日 (月)

「大江戸バロック ルクレールの愉しみ」:多彩にして難しい……ヤツ

演奏:桐山健志、大塚直哉&大西律子会場:日本福音ルーテル東京教会2022年9月26日 既にコンビを組んで長~い二人による大江戸バロック、諸般の事情によりなんと2か月ぶりに行ったコンサートとなった。鉄壁コンビにさらに大西律子が客演で参加してルクレールとなれば、聞かずばいられないのよ(>O<) プログラムは4巻あるソナタ集から各1曲ずつ、それ以外のトリオの演奏を3曲というものだった。こうして聞いてみると、ルクレールのヴァイオリン曲は数が多くしかもヴァラエティに富んでい...

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2022年10月 1日 (土)

「古楽系コンサート情報」10月分更新

「古楽系コンサート情報」10月分(東京近辺)更新しました。左のサイドバーにもリンクあります。ライヴ配信などは入っていません。...

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2022年9月28日 (水)

映画落穂拾い2022年前半編その2

忘れた頃にやってくる落穂拾い、書いてる本人も忘れています。 「白い牛のバラッド」 監督:ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム出演:マリヤム・モガッダムイラン・フランス 2020年 冤罪死刑問題をテーマにしたイラン映画である。国内では上映中止になったらしい。夫が死刑に処された後に冤罪が明らかになった未亡人のところに、夫の旧友を名乗る男が現れて親しくなっていく。ところがその男の正体は……というとサスペンスぽいが、罪をめぐる人間の葛藤と構造的な社会問題を取...

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2022年9月21日 (水)

「NOPE/ノープ」:見られるうちに見よ

監督:ジョーダン・ピール出演:ダニエル・カルーヤ米国2022年 ※後半にネタバレあります。 今季注目作の一つ。公開前から一部で「IMAXで見ないとダメだ」と話題になっていた。はて(?_?)どんなもんだろうと思ったが、あまりホラー系は得意でない人間なので(実際見てみたらホラーではなかったけどな )余計に料金払って気に入らなかったら暴れたくなるに違いないので通常版にした。 最初の感想は「なんだかよく分からんけど、強烈で変な映画だなー」であった。冒頭現れる過去...

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2022年9月13日 (火)

「バズ・ライトイヤー」(字幕版):無限の彼方へ--行って戻ってこない

監督:アンガス・マクレーン声の出演:クリス・エヴァンス米国2022年 『トイ・ストーリー』1作目は1995年公開(!o!) えっ、四捨五入すれば30年前になっちゃうじゃないですかっ。そんな昔なの? 私も歳を取るわけだ~ そして今頃になってスピンオフ作品が登場である。1作目でアンディ少年が見て夢中になった(で、人形を買ってもらった)、バズが主人公の熱血アドベンチャーSF映画そのものという設定だ。なので、バズが出ているという以外は『トイ・ストーリー』自体とほ...

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2022年9月 9日 (金)

「モガディシュ 脱出までの14日間」:ここまでやるか!てんこ盛り

監督:リュ・スンワン出演:キム・ユンソク韓国2021年 映画のありとあらゆる要素を全部乗せして余さずに差し出してきて、しかも実話を元にしているという。これ一本で満腹間違いなし!の力作である。ごっつぁんでした~(^^)/ 舞台は1990年のソマリア、韓国の国連加盟案件を控えて首都のモガディシュで南北それぞれの大使館が互いに暗躍し工作を繰り返すという状況が続いていた。当地の権力者に対しては金品とヨイショ攻勢は欠かせない。しかしクーデターが起こり、内戦が勃発する。南と北の大使館の対...

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2022年9月 5日 (月)

中高年洋楽ロックファン必涙🎸ドキュメンタリー「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」

「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン出演:リンダ・ロンシュタット 米国2019年 なぜか最近絶賛人気継続中(?)の音楽ドキュメンタリー映画ブーム。おかげで次々と公開が続いておりますが、リンダ・ロンシュタットのファンでもなく録音を一枚も持っていないにもかかわらず見たのであった。リンダというと次々とヒットチャートをにぎわした曲と派手な恋愛ゴシップでしか知らなかったのだが、すみませんっ_(...

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2022年9月 2日 (金)

祝🎀パゾリーニ生誕100年「王女メディア」「テオレマ」

「王女メディア」監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ出演:マリア・カラス イタリア・フランス・西ドイツ1969年 見てからかなり時間がたってしまったが取りあえず書いてみる。自らをよくよく顧みればパゾリーニってこれまで見たことないな という、ふがいない映画ファンなのであーる。ギリシャ悲劇「メディア」の映画化ではあるけど、原作のセリフを削りまくり(よく喋るのはケンタウロスのみ)あくまで映像と音を優先。作り上げられたイメージはあまりに毒気タップ...

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