2025年4月18日 (金)

「タブラトゥーラ・リターンズ」:若者力も発揮

会場:ハクジュホール2025年3月21日 時の流れは速い  タブラの2年ぶりのコンサートであった。今回はタテ笛要員としてケーナの岩川光がゲスト参加。音だけ聞いているとリコーダーのようなリコーダーでないような--という不思議な境地へいざなってくれるのだった。 定番曲が粛々と演奏されるも、近藤郁夫のハンマーダルシマーはすぐに調弦が狂ってなかなか開始できなかったり。そしてつのだ団長の老人力はさらに強まっていて一曲飛ばそうとする、使う楽器を間違えるなど小ハプニン...

» 続きを読む

| |

2025年4月10日 (木)

映画落穂拾い・映画に続編はあるが人生にはない

続編を見るということは当然第一作目を見ていることが前提でしょう。しかし前作が面白くなくても続きを見るかというと、面白かったからこそ見る気になるものです。しかし、たまに詰まらなくても「今度こそ面白いに違いない!」とあえて意気込んで見ることがあります。そしてまたガッカリするという(-_-;) こうなると賭けですな。チケット代返せ と叫ぶより「また詰まらぬものを見てしまった……」嘆くことになるかもしれません。とはいえ、前作があるからこそ続編がある。何もないところ...

» 続きを読む

| |

2025年4月 1日 (火)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年4月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *3日(木)東京・春・音楽祭「西洋絵画、どこから見るか?」展記念コンサート1(古橋潤一ほか):国立西洋美術館講堂*4日(金)ヘンデル 時と悟りの勝利(ルネ・ヤーコプス&ビー・ロック・オーケストラ):東京オペラシティコンサートホール*5日(土)聖母マリアのカンティガ集(メネストレッロ):番町教...

» 続きを読む

| |

2025年3月30日 (日)

「リコーダーコンチェルトの楽しみ」:教会にご注意

古楽器によるアンサンブル演奏:柿原よりこほか会場:日本ホーリネス教団東京中央教会2025年3月20日 リコーダー奏者の柿原よりこを中心としたアンサンブル公演を聞きに行った。肝心の柿原氏についてはこれまで演奏を聞いたことがない(多分)のだけど、若松夏美など6人の豪華共演陣に引き寄せられ行ってしまった。 全6曲中4曲がリコーダーのための協奏曲で、合間に残り弦楽によるソナタ2曲を挟むという構成だった。前半はバベル、ノードというよく知らない作曲家(二人とも1690年生まれ)の協奏曲...

» 続きを読む

| |

2025年3月26日 (水)

時代と政治と音楽ドキュメンタリー「Two Trains Runnin'」「ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?」

「Two Trains Runnin'」監督:サム・ポラード米国2016年 ぴあフィルムフェスティバルにて鑑賞。P・バラカンの選定作品である。ブルース(ズ)はについてはほとんど知識がないけど、極めて興味深いドキュメンタリーだった。 1964年6月のある日、ミシシッピーの同じ地区をたまたま3組の若者3人グループがおのおの車で移動していた。そのうちの二組はブルース・オタクの若者たちだ。彼らは全く別々に数十年前に録音を残してそのまま消えてしまったミュージシャン...

» 続きを読む

| |

2025年3月23日 (日)

つらい職場特集・産科病棟編「助産師たちの夜が明ける」

監督:レア・フェネール出演:カディジャ・クヤテ フランス2023年 最初に予告を見た時てっきりドキュメンタリーと思ったのだがフィクションである。舞台はフランスの産科病棟、二人の新人助産師が過酷な現場にやってくる。医療ドラマ定番のオープニングである。 一人は自信なくウロウロ、もう一人はやる気満々で積極的に担当を引き受ける。彼女たちのその後の明暗が後半の展開の中心となる。機器の故障に慢性人手不足、様々な立場の妊婦--燃え尽き症候群にならない方が不思議な状況だ。しかも待遇は良くな...

» 続きを読む

| |

2025年3月19日 (水)

つらい職場特集・スポーツ界編「ボストン1947」

監督:カン・ジェギュ出演:ハ・ジョンウ韓国2023年 1936年のベルリン五輪マラソン競技で不本意ながら日本国籍の「孫基禎」として金メダルを獲得したソン・ギジョン。その時、ユニフォームの日の丸を隠したという理由で引退させられてしまった。しかも記録は「日本代表」のものなのである。戦後、コーチとしてボストンマラソンで若手選手を韓国として優勝させるまでの彼の復活譚をドラマチックに描いている。監督は懐かしや『シュリ』の人だ。 戦前の部分は日本人からすると冷汗をかく場面が出てくるかと...

» 続きを読む

| |

2025年3月18日 (火)

「コンセール・スピリチュエル パリに集った名手たち」:名演復活

古楽21世紀シリーズ8演奏:寺神戸亮ほか会場:オペラシティリサイタルホール2025年2月25日 昼の回に行った。18世紀パリで開かれていた人気コンサート・シリーズを再現。今、目の前に(耳の前に?)鮮やかに当時の響きが蘇る という趣向である。取り上げた作曲家はテレマンをはじめルベル、ギユマン、ラモー、ブラヴェという顔ぶれだった。 当時大人気だったテレマンは2曲(アンコールも)演奏。ルベルは寺神戸氏のビブラートのかけ方(?)のせいか妙にひずんで揺らいで聞こえ...

» 続きを読む

| |

2025年3月15日 (土)

つらい職場特集・酒場編「ロイヤルホテル」

監督:キティ・グリーン出演:ジュリア・ガーナー オーストラリア2024年 昨今の映画にしては短い91分。しかしその3倍ぐらいに感じた。「まだ、この状況続くの? 耐えられねえ~ 」というぐらい。同じ監督(主演も同じ)の前作『アシスタント』も相当イヤな話だったが、こちらはさらに上回るイヤさである。楽しい女二人の観光旅行のはずが旅費が無くなって、オーストラリアの荒野でパブの住み込みバイト--したらそこは酔っ払い野郎どもの巣窟であった。 セクハラ暴言当たり前、ひ...

» 続きを読む

| |

2025年3月 8日 (土)

「1690年代のローマ」:根に持つタイプ

マンネッリ、ミガーリ、コレッリの作品を巡って演奏:アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア会場:今井館聖書講堂2025年2月22日 4人のうち3人が海外在住のグループゆえ、コンサートは年に一回になってしまうのか。昨年2月に続き、今年もやってきました。夕方の回はやや寂しい客の入りだった。2回公演なので昼間の方に皆行ったのか。それとも神奈川の『オルフェオ』と重なってしまったのが悪かったか。 前回はナポリの作曲家マルキテッリを日本初演し、そして今回はローマへ向かう。1690年代...

» 続きを読む

| |

2025年3月 1日 (土)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年3月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *2日(日)バグパイプ三昧 近藤治夫バグパイプ・ソロライブ:音楽茶屋奏(国立)*8日(土)レクチャーコンサート バロック音楽の魅力(太田光子ほか):横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール*9日(日)宇治川朝政・芥川直子デュオリサイタル:今井館聖書講堂*12日(水)ベーバー マルコ受難曲 ド...

» 続きを読む

| |

「ソウルの春」:勝つのはどちらだ?暁の死闘

監督:キム・ソンス出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン韓国2023年 昨年12月の韓国大統領により戒厳令が出されるという事態の際に、盛んに引き合いに出されて広く知られるようになった本作。2024年に見た映画の中でも上位に来る面白さである。タイトルから社会派政治劇なのかと思ってたら、ハードな軍事サスペンスだった。史実に基づいているが、登場する軍人・政治家たちの名前は微妙に変えている(が、韓国史を知っている人ならだれでもわかりそう)。見てて「本当にこんなことあったのか[E:...

» 続きを読む

| |

2025年2月20日 (木)

「大塚直哉レクチャー・コンサート 鍵盤の上で踊るバッハ!?」:舞曲演奏は体力勝負か

会場:彩の国さいたま芸術劇場2025年2月9日 11回目を迎えるこの企画、今回は「イギリス組曲」を素材にバッハと舞踏の関係に深~く迫る。ゲストは西洋舞踊史・音楽史研究者の森立子。外は寒かったが中はほぼ満員の聴衆の熱気と暖房が効き過ぎて暑いぐらいだった。 イギリス組曲……はて、大昔CDを買ってどこかにあるはずだがどこにあるか分からない。それぐらい聞いてないのである(;^_^A これは私だけでなく、バッハの鍵盤作品では一般的になじみが薄いものとされているそうな。プレリュードとほ...

» 続きを読む

| |

2025年2月15日 (土)

「密輸 1970」:勝つのは誰か?五つ巴の死闘

監督:リュ・スンワン出演:キム・ヘス韓国2023年 この映画を紹介するのは難しい。知り合いに「すごく面白い」とすすめようとしたけど「韓国の港で、1970年代の、えーと海女さんがいて--密輸品の--海底で--サメが、えーと-- 」って、説明すればするほど訳が分からなくなってくる。どうしたらいいんじゃい(~O~)後は「とにかく面白い 」と繰り返すしかない。 あえて紹介を試みると、化学物質で汚染された港で漁業が成り立たなくなったため日本から...

» 続きを読む

| |

2025年2月 7日 (金)

美術ドキュメンタリー特集・その2「アンゼルム“傷ついた世界”の芸術家」

監督:ヴィム・ヴェンダース出演:アンゼルム・キーファードイツ2023年 あれは30年前~ (なぜか歌う)今はなきセゾン美術館にて開催されたキーファー展は、作品がデカけりゃ衝撃もデカい。その迫力は夢にまで出てきそうだった。そんな恐ろしさがヴェンダースによりクリアな3D映像でスクリーン上で味わえる……と期待して行った 映画は二つの要素によって構成されている。一つは広大なアトリエでの制作活動の紹介である。広すぎて移動するのに自転車や運搬車で...

» 続きを読む

| |

«美術ドキュメンタリー特集・その1「美と殺戮のすべて」