2024年5月22日 (水)

「ミュージアム・コンサート 藤木大地&大塚直哉」:桜満開なれどパンフは薄く

東京・春・音楽祭2024会場:国立科学博物館日本館講堂2024年4月7日 今回唯一のハルサイ参加。サブタイトルに〈「イタリア古典歌曲集」へのディスカヴァリー〉とある。そもこの曲集は声楽レッスン用として非常にポピュラーなものらしい。歌手志望なら誰でも通る道ってことなのかな(詳細を知らず)。 ということで、その「イタリア古典歌曲集」を原点に戻って作曲された当時の形と精神をよみがえらせ、カウンターテナー藤木大地が歌うという趣旨のコンサートである。取り上げたのはカッチーニの定番「ア...

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2024年5月20日 (月)

実録女の肖像・その3「ティル」

監督:チノイェ・チュク出演:ダニエル・デッドワイラー米国2022年 配信スルーになりそうだったのがめでたく劇場公開された。「エメット・ティル事件」というと公民権運動前(1955年)、黒人少年がリンチされて殺害された--という一行分ぐらいでしか知らなかった。しかしこれを見ると事件発覚前と発覚後も、裁判中にも色々とあったのがよーく分かった。黒人人権団体もこの事件をアピールして地位向上を……みたいな計算が先に来てた節もあり。さらには母親の個人的なスキャンダルが書き立てられたりと、一...

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2024年5月18日 (土)

「イタリアの香り リコーダーとリュートが奏でる17世紀の音楽」:東京の下町に流れるよ、ヴェネツィアの響き

演奏:向江昭雅&佐藤亜紀子会場:マリーコンツェルト2024年3月14日 リコーダー向江、アーチリュートとテオルボ佐藤による、ルネサンス期及び初期バロックのイタリア器楽曲の演奏会に行った。シリーズらしいのだが、私は今回が初めてである。 作曲家はフレスコバルディ、メールラから始まり、デ・セルマとかモンタルバーノなど初めて聞く名前も複数登場した。主にソプラノリコーダーを使用して前半はアーキリュート、後半はテオルボと合奏するという形だった。途中で佐藤亜紀子の新アルバムからピッチニー...

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2024年5月14日 (火)

実録女の肖像・その2「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」

監督:マルジャン・サトラピ出演:ロザムンド・パイク イギリス2019年WOWOW視聴 キュリー夫人と言えば子どもの頃に偉人伝で読んだなあ、ぐらいの知識で見てみた。頑固、不愛想、妥協を知らず、研究一番、愛してはいるが夫は二番2️⃣……。えー、こんな人だったのかと驚いちゃう。偉人伝とは程遠いような人生である。これほど不倫スキャンダルや誹謗中傷にまみれていたとは知らなかった。お子ちゃま向けの伝記本にはとても書けません。 しかし、そんな常道外れの女性だからこそロザムンド・パイクは好ん...

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2024年5月13日 (月)

「ナポリの『ペトリッロ』」:めざせ!40周年

新発見のマルキテッリのトリオ・ソナタ作品演奏:アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア会場:今井館聖書講堂2024年2月23日 4人組もはや今年はなんと結成20周年とのこと。メデタイぞ ペトリッロことピエトロ・マルキテッリは16世紀末から17世紀前半にナポリで活躍したヴァイオリニストとのことである。その腕前の優秀さはコレッリさえもすごすごとローマに帰らせたという逸話があるくらいだそうな。 この日は新発見された彼のトリオソナタ5曲が披露された。日本初...

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2024年5月10日 (金)

実録女の肖像・その1「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」

監督:オリヴィエ・ダアン出演:エルザ・ジルベルスタインフランス2022年 シモーヌ・ヴェイユというと哲学者の?と思い浮かぶが、この映画の主人公は同姓同名らしくフランスの保健相として活躍しさらに女性初のEU議長となった人物である。全く知らなかった(!o!) 1974年に怒号飛び交う国会で中絶法を通し、刑務所内での囚人の待遇改善やエイズ患者救済など功績は数知れず。その背景にはユダヤ人収容所での壮絶な体験がある。その描写がまた半端なものではない。女性の収容者の忌憚ない体験談は珍し...

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2024年5月 7日 (火)

「アブソリュート・チェアーズ」

会場:埼玉県立近代美術館2024年2月17日~5月12日 県民の義務として行ってきました(^O^;そもそも椅子の所蔵が多い近美、いろんな椅子が展示してあるのかなと予想してたら、思いのほか椅子の概念に迫る内容であった。 既存の椅子を使用した作品、椅子を描いた平面作品、新たに作った変わりダネ椅子、椅子の存在を問うもの、椅子に関する報道写真なども。車椅子を使ったプロジェクトと映像記録もあった。 椅子と権力についての考察が語られているが、それなら排除ベンチをもう少し深掘りしてほしか...

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2024年5月 1日 (水)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年5月編

個人の好みで適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *4日(土)ハインリヒ・シュッツの音楽4 白鳥の歌(サリクス・カンマーコア):台東区生涯学習センターミレニアルホール  9日公演もあり*10日(金)ルカ・マレンツィオ 6声のマドリガーレ 金子浩氏を偲んで(ラ・フォンテヴェルデ):としま区民センター多目的ホール*11日(土)トランスフォーメーショ...

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2024年4月27日 (土)

「奏で手のヌフレツン」

著者:酉島伝法河出書房新社2023年 この作者の本は以前『皆勤の徒』(短編集)を読んだが、タイトル作は非常に読みにくい作品だった。そのせいか結局感想を書けずに終わった。本作はそれに次ぐくらいに読み進めにくい長編である。 恐らくは、閉ざされた球体の内側の表面(裏面?)に築かれた世界に人々が暮らしている。その中のとある家族の年代記--といっても単為生殖し苦痛を教義として信仰する生命体なのだ。外見は細かくはどのようなものか分からない。一応、人類と同じようではある。 その球体には五...

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2024年4月22日 (月)

「大塚直哉レクチャー・コンサート J.S.バッハの楽器博物館」:遺産目録は語る

会場:埼玉会館小ホール2024年2月11日 すでに長く続いているこのシリーズ、さい芸が休館中なので臨時に会場を移しての開催2回目だった。(前回はこちら)今回はなんと鍵盤4種(オルガン、チェンバロ、クラヴィコード、ヴァージナル)が出動。さらにバッハ作中に登場するオーボエ、リュート&テオルボ、ガンバに焦点を当てた企画だった。舞台にずらりと各種楽器が並ぶ光景は確かに「博物館」に違いなくて壮観である。 最初に大塚氏が鍵盤をそれぞれ弾いて、バッハの遺品目録から楽器の項目を解説した。鍵...

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2024年4月17日 (水)

「コンクリート・ユートピア」:地獄で団地祭り

監督:オム・テファ出演:イ・ビョンホン 韓国2023年 イ・ビョンホンがしがない中年男を演じたことが話題になった一作。日本では能登半島の地震があった直後に公開され、観客を「偶然とはいえこの時期に……」とビミョーな気持ちにさせた。 冒頭、原因不明の災害が発生。地震なのか、それ以外の天災なのか、未知の兵器によるものかも分からない。建築物は全て崩壊しソウルは壊滅状態となった(らしい)。食料・インフラ・情報、何もかもなくなってしまう。なぜか奇跡的にただ一つだけ無事に残った団地には周辺...

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2024年4月14日 (日)

「フキダシ論 マンガの声と身体」

著者:細馬宏通青土社2023年 「いろんな種類のフキダシが紹介されてる本だろう」と、気軽な本かと思って読み始めたら全く違っていた。マンガのフキダシがいかに読者の視覚を枠やコマを超えて導いていくかという考察なのだった。 コマ割りについてはこれまで色々と論じられてきて本も複数出ている。しかしそれとはまた異なるものだ。一つのフキダシには話し手、その相手、語られる内容がおのおの存在する。しかもそれらが必ずしもコマ内に描かれているとは限らない。複雑に絡み合って紙面での展開を認知させて...

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2024年4月 8日 (月)

「フランス・バロック 悲劇の女性たち」:時代を超えて!嘆き恨みつらみ

古楽21世紀シリーズ7会場:東京オペラシティリサイタルホール2024年2月10日 寺神戸亮をはじめとする4人の奏者(前田りり子、上村かおり、曽根麻矢子)がメゾソプラノの湯川亜也子をゲストを迎えて、18世紀前半フランスの器楽曲と女性を主人公にした悲劇的な歌曲を取り上げた。作品はラモーとルクレールのオペラ、モンテクレールのカンタータから選ばれている。どれも神話・伝説に登場する女が意中の男に裏切られて感情を爆発させるような内容である。まさに悲劇の中で女たちの恨み節が炸裂する[E:...

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2024年4月 1日 (月)

「マエストロ:その音楽と愛と」:悩み相談・妻が段々コワくなっていきます。どうしたらよいでしょうか?

監督:ブラッドリー・クーパー出演:ブラッドリー・クーパー米国2023年 ネトフリ配信前の劇場公開で鑑賞。レナード・バーンスタインの半生を描いた作品ということで、クラオタな方々の間で話題沸騰 ……というようなことはなくて一部の映画ファンがザワザワしていたようだ。なにせプロデューサーにスコセッシやスピルバーグが入っている。さらに直前には監督・主役を兼ねるB・クーパーの付け鼻が「いくらユダヤ人が鼻が大きいといったって大きすぎでは」と批判されたというどうでもいい...

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2024年3月31日 (日)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年4月編

個人の好みで適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。既に何件か完売しています。ご注意ください。 *3日(水)マチェイ・スクシェチュコフスキ チェンバロ・リサイタル:横浜市青葉区民文化センター  5日に東京公演、6日に埼玉公演あり*  〃  宮廷とサロンの音楽シリーズ 春の宮廷 イタリアとフランス:南青山マンダラ*4日(木)預言者エレミアの哀歌が始まる 受難節と復活のモテット(ベアータ・ムジカ・...

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