2025年5月23日 (金)

「西山まりえの歴女学11 本当は怖いヴェルサイユ」:コワくても聞きたい時がある

フランス宮廷の秘話と音楽会場:王子ホール2025年4月23日 西山まりえ主宰のこのシリーズに行ったのは初めてである。ゲストはチェロ中木健二、ソプラノのクレール・ルフィリアートルだった。 西山氏はなぜかギリシャ時代の巫女みたいなファッションで登場。かなり芝居がかった感じで面白おかしくヴェルサイユ宮殿のエピソードを語り、合間にチェンバロを独奏するという形だった。そして途中でゲストが参加する。休憩なしで全10曲演奏で、お目当てのクレールはランベールを3曲、さらにアンコールも歌った...

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2025年5月17日 (土)

「神は銃弾」:弾丸の数より死人が多い

監督:ニック・カサヴェテス出演:ニコライ・コスター=ワルドー、マイカ・モンロー米国2023年 原作は過去に「このミス」海外編第1位(2002年だから結構昔)に輝いたミステリである。一巻本とはいえなかなかの厚さ、そのせいか映画も156分の長尺だ。未読で挑戦した。妻を殺され娘を誘拐された男の豪快な追跡アクションものかと思ったら、暴力に血みどろ残酷が念入りに描写されていて、さらに神について自問自答するなど、どうもこれはノワール系ではありませぬか(ちょっと苦手)。 暴力描写にやたらに...

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2025年5月13日 (火)

ミュージアム・コンサート 「西洋絵画、どこから見るか?」展記念コンサート

東京・春・音楽祭2025会場:国立西洋美術館講堂2025年4月3日・15日 その1 古橋潤一リコーダーの古橋潤一、ヴァイオリン丹沢広樹、オルガン能勢伊津子という顔ぶれでスペイン・バロックもの約1時間のコンサートである。最初に美術館側から10分ほど展覧会の紹介あり。米国のサンディエゴ美術館の所蔵品を中心に西美の関連絵画を組み合わせて展示したものらしい。1600年代初めのスペイン静物画があるとのこと。 取り上げられた初期バロックの作曲家はほぼ知らない人ばかり...

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2025年5月 9日 (金)

「市民捜査官ドッキ」:警察より頼りになる

監督:パク・ヨンジュ出演:ラ・ミラン 韓国2024年 韓国映画の得意技 実話ベースの犯罪もの+コメディである。ノーチェックだったが、評判がいいので見てみた。 自宅兼店舗を火事で失ったシングルマザーがさらに振込め詐欺にあってなけなしの財産を失ってしまう。しかし、再び同じ人物から電話があり問い詰めようとしたら、なんと闇組織から逃れようと助けを求める必死の連絡であった。詐欺の時にも警察から適当な扱いを受けて怒り心頭だったのに続き、またも取り合ってもらえず遂に「...

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2025年5月 3日 (土)

ヘンデル「時と悟りの勝利」:美しいだけじゃダメかしら?

指揮:ルネ・ヤーコプス演奏:ビー・ロック・オーケストラ会場:東京オペラシティコンサートホール2025年4月4日 ヘンデルが22歳の若い時の作曲で、寓意劇のオラトリオ、演奏会形式ということで、あまり期待せずに行った。東京で一回だけの公演ということは、アジアツァーか何かでついでに来日したということなのだろうか。まあ、この不景気なご時勢では日本に来てくれただけでもありがたい。オペラシティは3階までほぼ満員状態だった。 ともあれ、行ってみると内容は予想とはかなり違っていた[E:#x...

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2025年5月 1日 (木)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年5月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *3日(土)~5日(月)ラ・フォル・ジュルネ東京2025*3日(土)古楽器で聴くドイツ・バロック音楽(新井道代ほか):松明堂音楽ホール*5日(月)チェンバロの日:浜離宮朝日ホール*6日(火)森のフォリオ 五月の新緑が奏でる音楽会(アルティザン・ブリュイオン):フェニックスラウンジ*10日(土...

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2025年4月26日 (土)

「タイタン・ノワール」

著者:ニック・ハーカウェイ(訳:酒井昭伸)ハヤカワ文庫2025年 タイトルからなぜか土星(の衛星)を舞台にしたSFミステリかと思い込んでいたが違った。タイタンは神話の巨人のことだった。舞台は恐らく欧州のどこかの都市(ギリシャ?)、近未来といってもテクノロジーが発達しているようには思えない。唯一異なるのが若返り医療が存在し、それを受ければ不老不死(少なくとも病気や怪我は克服)となることである。 それは薬剤の投与によるものなのだが、実は一気に若返るものの身体が巨大化してしまう。...

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2025年4月25日 (金)

「ザ・バイクライダーズ」:男と男と女とバイクと

監督:ジェフ・ニコルズ出演:ジョディ・カマー、オースティン・バトラー、トム・ハーディ米国2023年 原作はシカゴのバイカー集団をエスノグラフィーの手法で捉えた写真集とのことである。バイクには全く縁がないけど見てきた。カメラマンの前でメンバーの妻が回想する形式で、1960年代から70年代初めにかけてクラブの結成・拡大・変質の過程を描いていく。 そもそもは町のクラブの一つに陣取る一団が徐々に大きくなっていき、やがて評判を聞きつけた外部の者が加わって来て変質を遂げる。もはや元のまま...

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2025年4月18日 (金)

「タブラトゥーラ・リターンズ」:若者力も発揮

会場:ハクジュホール2025年3月21日 時の流れは速い  タブラの2年ぶりのコンサートであった。今回はタテ笛要員としてケーナの岩川光がゲスト参加。音だけ聞いているとリコーダーのようなリコーダーでないような--という不思議な境地へいざなってくれるのだった。 定番曲が粛々と演奏されるも、近藤郁夫のハンマーダルシマーはすぐに調弦が狂ってなかなか開始できなかったり。そしてつのだ団長の老人力はさらに強まっていて一曲飛ばそうとする、使う楽器を間違えるなど小ハプニン...

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2025年4月10日 (木)

映画落穂拾い・映画に続編はあるが人生にはない

続編を見るということは当然第一作目を見ていることが前提でしょう。しかし前作が面白くなくても続きを見るかというと、面白かったからこそ見る気になるものです。しかし、たまに詰まらなくても「今度こそ面白いに違いない!」とあえて意気込んで見ることがあります。そしてまたガッカリするという(-_-;) こうなると賭けですな。チケット代返せ と叫ぶより「また詰まらぬものを見てしまった……」嘆くことになるかもしれません。とはいえ、前作があるからこそ続編がある。何もないところ...

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2025年4月 1日 (火)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年4月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *3日(木)東京・春・音楽祭「西洋絵画、どこから見るか?」展記念コンサート1(古橋潤一ほか):国立西洋美術館講堂*4日(金)ヘンデル 時と悟りの勝利(ルネ・ヤーコプス&ビー・ロック・オーケストラ):東京オペラシティコンサートホール*5日(土)聖母マリアのカンティガ集(メネストレッロ):番町教...

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2025年3月30日 (日)

「リコーダーコンチェルトの楽しみ」:教会にご注意

古楽器によるアンサンブル演奏:柿原よりこほか会場:日本ホーリネス教団東京中央教会2025年3月20日 リコーダー奏者の柿原よりこを中心としたアンサンブル公演を聞きに行った。肝心の柿原氏についてはこれまで演奏を聞いたことがない(多分)のだけど、若松夏美など6人の豪華共演陣に引き寄せられ行ってしまった。 全6曲中4曲がリコーダーのための協奏曲で、合間に残り弦楽によるソナタ2曲を挟むという構成だった。前半はバベル、ノードというよく知らない作曲家(二人とも1690年生まれ)の協奏曲...

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2025年3月26日 (水)

時代と政治と音楽ドキュメンタリー「Two Trains Runnin'」「ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?」

「Two Trains Runnin'」監督:サム・ポラード米国2016年 ぴあフィルムフェスティバルにて鑑賞。P・バラカンの選定作品である。ブルース(ズ)はについてはほとんど知識がないけど、極めて興味深いドキュメンタリーだった。 1964年6月のある日、ミシシッピーの同じ地区をたまたま3組の若者3人グループがおのおの車で移動していた。そのうちの二組はブルース・オタクの若者たちだ。彼らは全く別々に数十年前に録音を残してそのまま消えてしまったミュージシャン...

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2025年3月23日 (日)

つらい職場特集・産科病棟編「助産師たちの夜が明ける」

監督:レア・フェネール出演:カディジャ・クヤテ フランス2023年 最初に予告を見た時てっきりドキュメンタリーと思ったのだがフィクションである。舞台はフランスの産科病棟、二人の新人助産師が過酷な現場にやってくる。医療ドラマ定番のオープニングである。 一人は自信なくウロウロ、もう一人はやる気満々で積極的に担当を引き受ける。彼女たちのその後の明暗が後半の展開の中心となる。機器の故障に慢性人手不足、様々な立場の妊婦--燃え尽き症候群にならない方が不思議な状況だ。しかも待遇は良くな...

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2025年3月19日 (水)

つらい職場特集・スポーツ界編「ボストン1947」

監督:カン・ジェギュ出演:ハ・ジョンウ韓国2023年 1936年のベルリン五輪マラソン競技で不本意ながら日本国籍の「孫基禎」として金メダルを獲得したソン・ギジョン。その時、ユニフォームの日の丸を隠したという理由で引退させられてしまった。しかも記録は「日本代表」のものなのである。戦後、コーチとしてボストンマラソンで若手選手を韓国として優勝させるまでの彼の復活譚をドラマチックに描いている。監督は懐かしや『シュリ』の人だ。 戦前の部分は日本人からすると冷汗をかく場面が出てくるかと...

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«「コンセール・スピリチュエル パリに集った名手たち」:名演復活