2023年9月18日 (月)

「イタリアへの憧憬」:ロンドンより愛をこめて

18世紀ロンドンのイタリア趣味演奏:鷲見明香ほか会場:今井館聖書講堂2023年8月11日 なぜか18世紀ロンドンで横溢したイタリア趣味。かの地で人気だったイタリア人演奏家・作曲家についてはよくコンサートのテーマに上がるが、誰を取り上げるかは様々でネタは尽きない。この日は定番コレッリ、ジェミニアーニからポルポラやニコラ・マティスはまだしもコスタンツィ、パラディエスとなると一体誰(^^?である。 聞かせてくれたのはヴァイオリン鷲見明香、テオルボ&バロック・ギター上田朝子、チェロ...

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2023年9月16日 (土)

見たら今イチだった! 世評は当てにならない映画その3:「サントメール ある被告」

監督:アリス・ディオップ出演:カイジ・カガメ、グスラジ・マランダフランス2022年 事前に伝わって来た評判がよくても実際見てみたら、自分にはどうもなあ~という案件の最後です。 ヴェネチア映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を取り、絶賛する人も多数の作品。セネガルからの留学生が幼い娘を海で殺害した実話の裁判劇である。だからといって社会派作品というわけではなく、様々な文化と概念が衝突する混乱を突き詰める思弁的な作品だった。裁判場面は法廷での発言をそのまま再現したということで、事件の謎...

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2023年9月15日 (金)

見たら今イチだった! 世評は当てにならない映画その2:「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

監督:サラ・ポーリー出演:ルーニー・マーラ米国2022年 事前に伝わって来た評判がよくても実際見てみたら、自分にはどうもなあ~という案件の続きです。 オスカー脚色賞受賞作。一言で言えば見ててしんどい内容だった。最近見た中では『対峙』に似ていた。閉ざされた場所で限定された人々の対話だけで話が進む。しかも苦しく暴力的な事件が発端だ。役者の技量が試される。 予想よりも遥かに抽象的哲学的な議論が続くので驚いた。しかも根底に流れるキリスト教信仰。理解するのがハードである。字幕を見ていて...

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2023年9月13日 (水)

見たら今イチだった! 世評は当てにならない映画その1:「aftersun/アフターサン」

監督:シャーロット・ウェルズ出演:ポール・メスカルイギリス・米国アメリカ2022年 事前に伝わって来た評判がよくても実際見てみたら、自分にはどうもなあ~という案件を連続投稿します。 見たいような見ない方がいいような、そもそもどういう映画なのか不明だしな--と迷っていたけど激賞のツイートが次々とネットを流れてくるので行ってみた。しかも主役のポール・メスカルはオスカーの主演男優賞にノミネートされたではないか。一見の価値はあるだろう。 結果 「いくらみんな誉めて...

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2023年9月 4日 (月)

「パリのソナタ」:笛の音に都市を見る

演奏:宇治川朝政ほか会場:としま区民センター小ホール2023年8月8日 昼の回の方に行った。リコーダー3本(宇治川、田中せい子、ダニエレ・ブラジェッティ)+ガンバ(上村かおり)&チェンバロ(福間彩)という編成で、パリで活躍したボワモルティエとドルネルを中心にソナタや組曲を演奏。他にマレやフォルクレ息子もあった。もちろん楽器についても解説付きで、渋めのプログラムといえる。 前半のボワモルティエは音楽史上初 、誰にも仕えずフリーランスとして活躍した音楽家との...

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2023年9月 3日 (日)

「帰れない山」:友情は山小屋と涙とため息か

監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、シャルロッテ・ファンデルメールシュ出演:ルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ボルギイタリア・ベルギー・フランス2022年 イタリアの都市トリノに住む少年が夏休みだけ山村にある家で両親とともに過ごす。そこで村でただ一人の子どもである少年と知り合う。この境遇も性格も対照的な二人の長年に渡る友情を描く。原作はイタリアのベスセラー小説とのことだ。 村の少年ブルーノは貧しく親戚の家に厄介になって、教育も受けられず牛飼いをしている。都会育ちの...

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2023年9月 1日 (金)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2023年9月編

個人の好みで適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。 *2日(土)もっと知りたい!もっと聴きたい!テレマン(佐藤康太ほか):3F・音楽室*3日(日)ドイツ音楽の饗宴(ソナトーリ・デル・フォンテゴ):としま区民センター多目的ホール*6日(水)A.チェスティ誕生400年記念演奏会(ディスコルシ・ムジカーリ):豊洲シビックセンターホール*7日(木)本村睦幸のバロック音楽サロン3:鶴見区民文化センターサルビアホール*8...

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2023年8月26日 (土)

「快楽の庭園 チェコ、クロムニェジーシュ城に響いたバロック音楽」:貴婦人も拝聴、輝ける時代と土地の音楽

演奏:アンサンブル・アカデミア・ムジカ会場:品川区立五反田文化センター2023年8月4日 前回の公演に続き「ボヘミアン・バロックを聴く」シリーズ第2弾である。今回の編成はナチュラル・トランペット×2、ヴァイオリン×2を含む総勢9人に、さらにゲストが3人という豪華出演陣だ。 現在のチェコにあるクロムニェジーシュ城、17世紀後半に音楽に造詣の深い領主がいて各地から優れた音楽家たちを招き、自らの宮廷楽団の活動にリキを入れていたという。そこに残された楽譜コレクションから選んで演奏す...

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2023年8月24日 (木)

「TAR/ター」:立てば指揮座れば作曲歩く姿はハラスメント

今年度上半期最大の話題作・問題作なのは間違いなし ケイト・ブランシェットが、ベルリン・フィル初の女性主席指揮者にして同性愛者、激しい権力志向、セクハラ、パワハラ当たり前という特異な人物を、事前の予想を遥かに超えて見事に体現していた。主人公の秀でた才能(と実は必死の努力も)と共に尊大さ、卑賎さを容赦なく描き出している。彼女の個人芸をみっちり見せられたという感があり、もう頭からしっぽまでケイト様がギュギュッ と詰まっていると言ってよい。 人...

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2023年8月15日 (火)

「正義の弧」上・下

著者:マイクル・コナリー訳者:古沢嘉通講談社文庫2023年 刑事ハリー・ボッシュシリーズ、ここ数作は若い女性刑事レネイ・バラードと「共演」へと舵を切ってきた。果たして警察ミステリーで主人公の代替わりとかあるのだろうか……などとヤキモキしていた。しかも前作出た時から「次は衝撃的展開に」などという噂が巷で囁かれているではないか。「衝撃的」ったらそのなんだあれか?あれなのか(>O<)イヤーッと恐る恐る読み進めたら予想の一部は当たり、一部は外れた。 前作ではもう警官なん...

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2023年8月11日 (金)

ヘンデル「トロメーオ」:英雄来たりてお嬢様燃ゆ

主催:日本ヘンデル協会音楽監督・演出:原雅巳会場:東京文化会館小ホール2023年7月29日 日本ヘンデル協会主催のヘンデル作オペラシリーズ、コロナ禍で中断していたのが復活したということで非常にメデタイ。(前回の感想はこちら) ヘンデルがこのオペラを作ったのはロンドンで大活躍中の時期、新作も次々発表され--それらの中に埋もれてそうなのが本作である。エジプト王の座をめぐるお家騒動という内容で、主人公となるプトレマイオス9世ことトロメーオ(中村裕美)はクレオパトラの祖父にあたると...

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2023年8月 6日 (日)

「モリコーネ 映画が恋した音楽家」:見てから聞くか、聞いてから見るか

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ出演:エンニオ・モリコーネイタリア2022年 最初は見る気がなかった。なぜかというと157分 という長尺だし、モリコーネが担当したような昔のイタリア映画はほとんど見てない。トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』だって未見なのであーる。しかしあまりに絶賛評を多く見かけたので行ってみた。 その結果、なるほどこれは映画館で鑑賞するのがデフォルトだと納得した。だって映画音楽なんだもん(*^▽^*)そしてタイ焼きのように頭から...

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2023年8月 1日 (火)

「大塚直哉レクチャー・コンサートin埼玉会館 1」:三種の神楽器

バッハ家の音楽帳より演奏&お話:大塚直哉会場:埼玉会館小ホール2023年7月23日 ただ今改修中のさいたま芸術劇場から舞台を移して、シリーズ再出発の第1回目である。埼玉会館に行ったのは十ウン年ぶりぐらいかな。テーマは現存するバッハ家の3冊の音楽帳。有名なのは「アンナ・マグダレーナ」のためのものだがこれは2冊あり、さらに「ヴィルヘルム・フリーデマン」も1冊あるとのこと。多分他の子どもたちの音楽帳も作られたと考えられるが、散逸したらしい。 それらに収録されているバッハの曲や他の...

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聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2023年8月編

個人の好みで適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。 *3日(木)「音楽堂 室内オペラ・プロジェクト」プレレクチャー オペラ「ジュリオ・チェーザレ」の魅力(藤原一弘):神奈川県立音楽堂ホワイエ*4日(金)快楽の庭園 チェコ、クロムニェジーシュ城に響いたバロック音楽(アンサンブル・アカデミア・ムジカ):品川区立五反田文化センター*5日(土)真夏のバッハ8 オルガンで聴くチェンバロで聴く(大塚直哉ほか):ミューザ川...

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2023年7月28日 (金)

「幻滅」:パリへ行きたしと思へども、パリはあまりに冷たし

監督:グザヴィエ・ジャノリ出演:バンジャマン・ヴォワザンフランス2022年 原作はバルザック、舞台は19世紀前半のパリという華麗なる歴史ものである。2時間半という長尺で、大道具小道具衣装など当時の雰囲気をたっぷりと味わわせてくれる。 印刷所で働きつつ田舎でくすぶっていた詩人志望の若者は、青雲の志を抱いて花の都へ出奔する。もっともその背景には年老いた夫に満たされぬ貴族夫人との情事が原因で、故郷にいられなくなったということもあるのだが……。という冒頭から分かるように、かなり『バ...

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