2025年1月12日 (日)

今さらながら2024年を振り返る

ますますブログを書く精神的余裕がなくなってきて、映画評に関してはツイッターXには短い感想を書いてから、そのまま放置というパターンが多くなってしまいました。やはり気力と共に脳力も落ちているのでありましょうか。それでもコンサートの感想はなんとか追いついたので、2025年は映画の方も頑張りたいもんです。 【映画】話題作・大作はかなり見てません(堂々と断言)。そのせいか昨年、一昨年同様9作品しか決められず。10作目を決められないので次点を二つ選ぶことに  『デュ...

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2025年1月 5日 (日)

「エイレングラフ弁護士の事件簿」

著者:ローレンス・ブロック(田村義進 訳)文春文庫2024年 弁護士の看板を掲げながら法廷には立ったことない男……いや正確に言えば、その男が扱うといつも裁判が開かれる前に事件はカタが付き依頼人が無罪放免になってしまうのである。そんな事件が12件、約40年に渡りその「事件簿」に書き足されてきた。 中には自分が犯人なのを認めている者にさえ彼は「あなたは無罪です」と断言し、「無罪にならなかったら依頼料は不要」とさえ告げて、いつの間にか釈放に至ってしまうのだ。摩訶不思議とはこのこと...

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2025年1月 4日 (土)

「恋する心に安らぎを」:いにしえの心を探るには

演奏:イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ会場:今井館聖書講堂2024年12月22日 フルート&リコーダー中島恵美、バロックハープ曽根田駿のコンビに、テオルボ上田朝子がゲスト参加して、オトテールの作・編曲の歌曲を器楽にて演奏するというコンサートだった。ルイ14世~15世のフランス宮廷で人気だった牧歌的な恋愛歌(ブリュネット)が中心となっている。フルート用に編曲した作品とはいえ、原曲の情緒を理解できるようプログラムには歌詞対訳が付いていた。 大きなイベント用とか宗教作品ならば理解もし...

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2025年1月 2日 (木)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年1月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *5日(日)新音楽の調べ(松本更紗ほか):ロバハウス*8日(水)ヴィオラ・ダ・ガンバデュオコンサート5(森川麻子ほか):日暮里サニーホールコンサートサロン*11日(土)ニコラ・マッティスの源流をたずねて(みのりてんデュオ):今井館聖書講堂*  〃   クヴァンツのフルート奏法を読む 特別記念...

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2024年12月31日 (火)

まだあるぞ2024年鑑賞作「HOW TO BLOW UP」

監督:ダニエル・ゴールドヘイバー出演:アリエラ・ベアラー米国2022年 見る直前まで存在も知らなかったマイナー作品だけど、なかなかに面白かった。様々な出身、境遇、思想の若者たち8人が石油企業告発のために無血エコテロを仕掛けるために集合する。準備の進行と共に各人の過去が描かれる。なぜ彼らは計画に至ったのか。冒頭ではバカげた計画と思えるが、見ているうちに納得してしまう。社会の現状への怒りが渦巻き合体していく様子は、もはや非暴力の手法は無効だと感じさせる。 一方で爆弾作りの場面で...

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2024年12月30日 (月)

まだあるぞ2024年鑑賞作「バティモン5 望まれざる者」

監督:ラジ・リ出演:アンタ・ディアウフランス・ベルギー2023年 『レ・ミゼラブル』が話題を呼んだラジ・リ監督の新作。前作は警察対民衆という構図だったが、今回は行政がテーマである。利権にしがらみのないクリーンな人物を市長代理に選んだら、開発のため後先考えない強硬路線を取るという日本でもありそうな話だ。ただそれを支持して拍手する市民は登場しないし、社会体制の矛盾というようなものも描かれない。あくまでも市長と移民出身者たちとの二者対立と軋轢が描かれる。 見終わった直後の感想は「...

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2024年12月29日 (日)

まだあるぞ2024年鑑賞作「ゴッドランド GODLAND」

監督:フリーヌル・パルマソン出演:エリオット・クロセット・ホーヴデンマーク・アイスランド・フランス・スウェーデン2022年 デンマークの若い牧師が19世紀当時植民地だったアイスランドへの布教を命じられる。島内を進む道は過酷で、さらにガイドの老人とはうまく行かない。過去の紛争の因縁が背景にあるのか。言葉が分かっているらしいにもかかわらず、無視した態度を取る。 植民地の過酷な自然の中での道行きと、住民との軋轢となると「闇の奥」を想起させる。もっともトラブルの種は外部ではなく最初...

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2024年12月24日 (火)

「イタリア・バロックを歌う」:萌ゆる二重唱

演奏:ロベルタ・マメリ&波多野睦美会場:ルーテル市ヶ谷ホール2024年12月10日 ロベルタ・マメリ久々の来日  北とぴあ音楽祭のモーツァルトのオペラに主演したが自分の守備範囲外だったので行かなかった。代わりに小さなホールで波多野睦美とのデュオ・コンサートがあり、待ってました!である。 二人は鮮やかな緋色(でいいのかな?)を揃えた衣装で登場。モンテヴェルディから始まってディンディア、メールロなどと進み、段々ともう少し後の初期バロックへと移っていく構成であ...

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2024年12月16日 (月)

「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」:クリスマスに苦しみ増す人々

監督:アレクサンダー・ペイン出演:ポール・ジアマッティ米国2023年 内容は明らかにクリスマス・ストーリー。しかし日本ではなぜか初夏の時期に公開……もう少し何とかならなかったのか。一応、アカデミー賞5部門候補で助演女優賞を取ったんだからさ。 舞台は1970年ボストンの寄宿制の名門高校だ。12月のクリスマス休暇ともなれば皆家に帰るはずが、訳あり&成り行きで教師・学生・女性料理長各1名ずつがガランとした学校にとどまることになる。 イヤミと毒舌で教室に嵐を巻き起こす教師は、頭の中...

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2024年12月12日 (木)

「ジェズアルド・シックス」:6番目の男

ウィッシング・トゥリー会場:東京文化会館小ホール2024年11月26日 アカペラ合唱コンサートに行ったのは久しぶりである。このグループは録音も聞いたことないけどとりあえず行ってみた。会場で耳にしたところによると、ユーチューブで合唱シーンが広く知られているらしい。 名の通り英国男声6人組である。2種類のプログラムで来日し、古楽が大半かと思ったら現代曲と半々ぐらい取り混ぜての構成だった。ちなみに肝心のジェズアルドの曲はどちらのプロも1曲のみである。満員御礼完売とのことだった。ど...

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2024年12月 7日 (土)

「シビル・ウォー アメリカ最後の日」:ウォーリー……じゃなくて、大統領をさがせ!ワシントンだいそうさく

監督:アレックス・ガーランド出演:キルステン・ダンスト米国・イギリス2024年 米国では半年も前に公開されたのに、あえて大統領選一か月前まで日本公開を引き延ばしたというそのヤマっ気や良しっ おかげで最近の洋画ではめっきり少なくなった公開週末の興収第1位というのはメデタイ限りである。 舞台は近未来--というより「近現在」の米国。冒頭で状況が早口でサーッと説明されるが、とても追いつかない。こういう時はパンフレット(千円ナリ)を参照だいっ。広告の宣伝文句には「...

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2024年11月30日 (土)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年12月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *7日(土)ヴェネツィアのクリスマス(コンチェルト・レオノルソ):国際基督教大学宗教音楽センター*  〃  宇田川貞夫ヴィオラ・ダ・ガンバリサイタル 演奏活動60周年記念:豊洲文化センターホール*8日(日)オルガンクリスマスコンサート J.S.バッハのクリスマス(鈴木雅明ほか):神奈川県民ホ...

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2024年11月25日 (月)

映画落穂拾い・ツイッターX編

ブログに感想を書きそこなった映画です。たまっております。 なぜか書く気が失せちゃったやつ。『哀れなるものたち』 『12日の殺人』 実話系。『ダム・マネー ウォール街を狙え!』 『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』 『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』 アーティストもの。『Shirley シャーリイ』 『画家ボナール ピエールとマルト』 まだ続きあり。...

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2024年11月22日 (金)

「マドリガル・コメディ」:笑撃の動物コーラス隊

愉快!!痛快!! ルネサンスのコメディ!!北とぴあ国際音楽祭2024演奏:ラ・フォンテヴェルデ会場:北とぴあつつじホール2024年11月5日 マドリガル・コメディ何か? イタリア古典仮面喜劇コメディア・デラルテの定番キャラクターが登場する音楽劇--ということでいいのかな。以前に藝大プロジェクトでやった時はそういう風に理解した。 このコンサートではバンキエリの作品を2作上演。おなじみの歌手7人がバロックハープ(伊藤美恵)と共に歌った。「老年の乱心」は定番キャラクターによる簡単...

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2024年11月11日 (月)

ベロッキオ監督とこだわりの誘拐事件特集

「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」 監督:マルコ・ベロッキオ出演:パオロ・ピエロボン イタリア・フランス・ドイツ2023年 イタリア映画祭続きでベロッキオ監督作を。これは確か昨年の映画祭で上映して、今年本邦劇場公開となった。ついでに--2010年の映画祭でベロッキオが来日した時のエピソードをこの記事の後半に書いた。ここでは彼の返答した内容は書かなかったが、「どこの国にもそれぞれいいところと悪いところがある」(だから自国を断罪しても仕方ない)...

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