2020年5月25日 (月)

【回顧レビュー】東京グランギニョル「ワルプルギス」

平常が戻るまで昔の公演を振り返る。今回はコンサートではなく芝居を紹介。 会場:大塚ジェルスホール1986年10月 かつての情報誌「シティロード」(古い!)の星取表にこの劇団の前作(『ライチ光クラブ』)が取り上げられ、どの評者も絶賛状態だった。それを読むとどうにも見に行きたくてたまらなくなり、芝居など全く縁がない人間だったが突撃したのだった。小劇場については当然何も知らなかった。開場よりも前に行って整理番号貰って並んで待ち、中は椅子もない階段状の狭い所でギュウギュウに押し込め...

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2020年5月24日 (日)

「プリズン・サークル」:罪と罰の狭間

監督:坂上香日本2019年 島根に新しい半官半民の刑務所があり、そこだけで唯一行われている犯罪者更生プログラムを取材したドキュメンタリー。「初めて日本の刑務所にカメラを入れた」という惹句が誤解を招くかもしれないが、主題は刑務所ではなくあくまでもプログラムの方である。特別な刑務所だから許可が出たというのはあるだろうけど。 そもそもそのプログラムは、坂上香監督の過去作『ライファーズ 終身刑を超えて』が取り上げた米国のアミティという更生プログラムを参考にしたものなのだという。監督...

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2020年5月21日 (木)

【回顧レビュー】「愛は恐ろしきもの」

平常が復活するまで過去の公演を振り返る。 演奏:セクエンツィア会場:東京文化会館小ホール1994年12月21日 セクエンツィアはベンジャミン・バグビーとバーバラ・ソーントンの中世音楽専門の二人組ユニット。この時は3人での来日公演で、主に13世紀の宮廷歌曲とフォン・ヴォルケンシュタインの作品を演奏した。「ニーベルンゲンの歌」は歌唱というより完全に朗誦だった。そのように宮廷で叙事詩が披露されたのだろう。 何といってもソプラノのソーントンの声は、一点の濁りもなく金剛石のように硬質...

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2020年5月20日 (水)

「フォードvsフェラーリ」:サーキット萌ゆ

監督:ジェームズ・マンゴールド出演:マット・デイモン、クリスチャン・ベイル米国2019年 公開時絶賛の嵐だったので大いに期待して、近所の映画館でやっているのにわざわざ音響のいい都心のシネコンまで見に行った。が……どうも私にはあまり合わなかったようだ。なんだか判然としない部分があまりに多すぎる。 タイトルだけ見るとフォードとフェラーリが産業界の覇権争いで激突か 、予告を見ればカーレースで対決か みたいな印象だが、実際にはフォード内部の抗...

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2020年5月12日 (火)

【回顧レビュー】「北とぴあ国際音楽祭 プレ'94」

平常が復活するまで過去の公演を振り返る。 会場:北とぴあ1994年11月21~28日 東京・北区で現在も開催されている音楽祭、この年が最初だった。全体のプログラムを見るとレクチャー、スクールコンサート、公開レッスンも多く行われている。 合唱と古楽が中心で、BCJのヘンデル「メサイア」がオープニングだった。私が行ったのは「W・クイケン&上村かおりデュオ」。M・ロック、サント・コロンブ、クープランなど。アンケート書いてサイン色紙をもらった(今でも持っている) ...

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2020年5月11日 (月)

「パラサイト 半地下の家族」:ハイヤーグラウンド 高望みの芝生

監督:ポン・ジュノ出演:ソン・ガンホ韓国2019年 2020年前半最大の話題作(あらゆる意味で)なのは間違いないだろう。カンヌからアカデミー賞まで各映画賞にノミネート&受賞、字幕作品の韓国映画としては珍しく米国ではランキング入り、日本でもロングランのヒットとなった。(コロナウイルスの影響で新作が公開されなくなったせいもあるが) これまでダルデンヌなど貧困や格差問題を取り上げて映画祭で高評価をされても、いざ公開となると実際に見るのは少数の観客だけということが多かった。しかし、...

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2020年5月 5日 (火)

【回顧レビュー】「マドリガル・コメディ」

平常に戻るまで昔のコンサートを振り返る。 第11回〈東京の夏〉音楽祭会場:パナソニック・グローブ座1995年7月8~12日 音楽祭のテーマは「笑いのかたち」で古楽部門はクレマン・ジャヌカン・アンサンブルのメンバーの公演が中心だった。 このステージは、上演形態はヴェッキ、バンキエリなど複数の作曲家の作品をつなぎ合わせ仮面音楽劇として再現したもので、A・メロンを含むECJの歌手たちに加え器楽奏者、俳優、ダンサー、アクロバットも参加する大掛かりなものだった。これを4回上演したので...

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2020年5月 2日 (土)

「家族を想うとき」:ステイ・ホーム 止めてくれるな妻よ子よ

監督:ケン・ローチ出演:クリス・ヒッチェンイギリス・フランス・ベルギー2019年 ケン・ローチ83歳、参りました~(_ _) 前作の『わたしは、ダニエル・ブレイク』よりさらに強力になり、自己責任論の名の下に行われる搾取を直撃する作品である。 宅配ドライバーは形式上は個人事業主だが、実際にはノルマを課されて過酷な労働条件で働かねばならない。主人公は自分の家を持ちたいという願いをかなえるために、そんな世界に飛び込んでしまう。しかも、それは他の家族にも犠牲を強いるものであった。 ...

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2020年5月 1日 (金)

【回顧レビュー】モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」

平常に戻るまで昔のコンサートを振り返る。第10回〈東京の夏〉音楽祭会場:サントリーホール1994年7月6日この音楽祭のオープニング公演である。指揮はルネ・ヤーコプス、演奏コンチェルト・ヴォカーレ、ラ・フェニーチェ、歌手はバーバラ・ボーデン、マリア・クリスティーナ・キール、アンドレアス・ショルなど。このメンバーに加えて、グレゴリオ聖歌専門の合唱団(指揮者も別)もいるという豪華な陣容だった。 作品についての知識もなく、とにかく聞いて華やかな曲だなーと思ったと記憶している。非常に...

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2020年4月30日 (木)

聞けずに終わった!古楽コンサート 5月版

5月も予定していたコンサートがすべて中止または延期になってしまいました(+o+)トホホしょうがないのでタイトルだけ書いておきます。 *マリアン・コンソート*「いき」フェルメール時代のリュート音楽(佐藤豊彦)*帰ってきたひまな日曜6 古歌巡礼(つのだたかし&佐藤裕希恵) コンサートじゃないけど*少女仮面(糸あやつり人形一糸座)...

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2020年4月26日 (日)

「テッド・バンディ」:レクターなんかに負けない!シリアルキラーの真実

監督:ジョー・バーリンジャー出演:ザック・エフロン米国2019年 米国犯罪史上名高いあの連続殺人鬼をザック・エフロンが演じる。長年彼と付き合っていた女性の手記が原作とのことである。そのため犯罪自体の描写はほとんど出てこない。それよりも逮捕・脱獄・裁判による騒動が中心である。メディアに露出してファンが大勢いたというのも彼が最初だろう。 事件のことを何も知らずに見ていたら、こいつやはり冤罪じゃないの?とか思ってしまう。当時もそういう人が多かったんだろう。それほどに弁が立ち、外見...

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2020年4月24日 (金)

【回顧レビュー】「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」

監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ出演:グスタフ・レオンハルト西ドイツ・イタリア1967年 平常に戻るまで昔の公演を振り返るシリーズ。コンサートではないがこんな映画のチラシが出てきた。言わずと知れたグスタフ・レオンハルトがバッハを演じた異色作だ。ケーテン公をアーノンクールがやってて二人で合奏の場面もある。ドラマチックな表現を完全に消去した「伝記」(しかも演者の外見がモデルに全く似ていない)は衝撃であった。それまで多く作られてきた、そしてこの後もやはり多く作ら...

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2020年4月23日 (木)

映画落ち穂拾い 2019年後半その3

「少女は夜明けに夢をみる」監督:メヘルダード・オスコウイ イラン2016年 イランの少女更生施設を取材したドキュメンタリーである。よくぞ許可を得られたものだ。日本だって難しい。撮れたとしても顔出しはできないだろう。薬物売買、窃盗、家出、自傷、さらには殺人!--彼女たちは様々な理由で施設にいる。しかし、その根本は貧困やDVなど家庭内の不和のために追いやられたことにある。それが彼女たち自身の口から語られるのだった。 一見どこにでもいそうな女の子が、14歳で結...

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2020年4月22日 (水)

【回顧レビュー】「バッハ・コレギウム・ジャパン第16回定期演奏会 クリスマスコンサート」

*コンサートが軒並み中止になっているので、復活するまで大昔のコンサートを振り返ってみることにした。会場:カザルスホール1994年12月BCJに初めて行ったのがこの時かどうかは不明。今のところ掘り出したプログラムはこれが一番古い。 内容はほとんど覚えていないのだが、クリスマスということで友人を誘って行ったような気が……。内容は「クリスマス物語」などシュッツを3曲演奏。コンマスは寺神戸亮、ツィンク(濱田芳道)やサックバットも入っていた。古楽を初めて聞いた友人がツィンクの音と楽器...

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2020年4月21日 (火)

「失くした体」:手は口ほどにものを言い

監督:ジェレミー・クラパン声の出演:ハキム・ファリス フランス2019年 これもまたネトフリで配信前に限定公開されたフランス製アニメ。やはり数々の映画賞にノミネート・受賞するなど評価が高く、今年のアカデミー賞の長編アニメーション部門に候補に入った。 事前に、切断された手が「本体」である若者を探して街をさまようというストーリーだというのを聞いていた。だからミステリーがかった物語と思ったら、全く違って青春の悶々を描いたものだった。「手」がかつての幸福な子ども時代や、家族の記憶、最...

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«「ブレッドウィナー」:まぼろしの闘い