2023年1月23日 (月)

「レゼポペ来日公演~夜のままで」:楽譜以上

会場:北とぴあさくらホール2022年11月18日 ルイ14世時代の宮廷歌曲の世界、歌うはクレール・ルフィリアートルである。レゼポペは彼女とステファン・フュジェ(チェンバロ)、日本在住のエマニュエル・ジラール(ガンバ)がメンバーとなるグループだ。非常に覚えにくい名称だが(私だけ?)、フランス語で「叙事詩」という意味らしい。 休憩なしで80分の予定とのことだったけど実際は100分ぐらいになった。テーマはルイ14世時代の宮廷歌曲(いわゆるエール・ド・クール)で、これには二種類ある...

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2023年1月15日 (日)

「「未熟さ」の系譜 宝塚からジャニーズまで」

著者:周東美材新潮社(新潮選書)2022 意外な視点から見た刺激的な日本近代音楽史である。なぜ日本のポピュラー音楽では「未熟さ」が愛好され支持されるのか。レコード産業の誕生・発達と密接にかかわるこの流れを童謡、宝塚、ナベプロ、ジャニーズ、グループ・サウンズ、スター誕生に始まるオーディション番組……とたどっていく。 その共通点は、第一次大戦後に都市部を中心に形成された近代家族をターゲットにしていること。その茶の間では子どもの存在が大きく「子ども文化」が次々と消費される。そこは...

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2023年1月14日 (土)

今さらながら2022年を振り返る

2022年はもはや記事の更新が全く追い付かない状態。それというのも、持病の悪化で入院するとかしないとかでもめたせいもある。結局入院せずに済んだのだが、何の予定も立たずやる気も起こらずかなりのストレスとなった。コンサートのチケット買っても入院したら無駄になる。映画ならそんなこともないけど、公開予定を眺めてもその時に見に行けるか分からない。つくづく健康は大事 --肝に銘じましたよ(><) 【映画】話題作・超大作の類いはほとんど未見のまま。結局10作...

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2023年1月 5日 (木)

「スペンサー ダイアナの決意」:皇太子妃、三界に屋敷なし

監督:パブロ・ラライン出演:クリステン・スチュワートイギリス・チリ・ドイツ・米国2021年 ダイアナ妃が離婚の決意に至る心理をたどる作品。正攻法で順を追っていくのではなく、結婚10年目のクリスマスの三日間に全てを凝縮して描くという手法を取っている。一般人の妻でも正月に親類が集まる夫の実家に行くという「儀式」は憂鬱なことがほとんどだろうが、その上夫とは別居中、人里離れた暗~い屋敷で(暖房もない!)厳格な当主であるエリザベス女王はまさに家父長の権化のようである。 その様相はJ・グ...

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2023年1月 4日 (水)

「この父ありて 娘たちの歳月」

著者:梯久美子文藝春秋2022年 偉大な父を持ち多大な影響を受けて意に従う、いわゆる「父の娘」案件というのがある。このタイトルからそれについての本かと思ったらそうではなくて、「書く」ことで広く名を知られた9人の女性とその父についてのノンフィクションであった。この娘にしてこんな父(と家族)がいたんだ という内容だ。 冒頭一人目は渡辺和子……ってそもそも誰よ(?_?)と思ったら『置かれた場所で咲きなさい』の人だった。父親は二・二六事件で襲撃...

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2023年1月 1日 (日)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2023年1月編

これまではサイドバーに「古楽系コンサート情報」コーナーを設けて広範囲に情報を集めて掲載してきましたが、あまりに公演数が多くなってきたのと、演奏家がSNSで個別に情報発信するパターンが増えてきてとらえ切れないという理由から中止することにしました。以後は「コンサート情報」以前の「聴かずに死ねるか!」を復活させ、自分の興味のあるもの、知っている演奏家などに限って掲載したいと思います。従って、私の自宅から行きにくい遠方の会場などは内容が良くてもカットしてしまう可能性もありますので、そ...

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2022年12月31日 (土)

カヴァリエーリ「魂と肉体の劇」:宗教的エンタメ劇

演奏:古楽アンサンブル・エクス・ノーヴォ会場:シアター・カイ2022年11月5・6日 1600年というオペラ黎明期にローマで生まれた音楽劇を、演出家を入れて演劇用のホールで上演という画期的な公演である。私は二日目に行ったが、満員御礼だった。 内容はオペラ以前オラトリオ未満な対話歌劇とでも言ったらいいのだろうか、抽象的な概念が人格となって宗教&道徳問答を繰り返すというものだ。この公演で存在を初めて知った。エクス・ノーヴォの前回公演『ラ・ペッレグリーナ』同様、録音よりも実演でな...

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2022年12月25日 (日)

「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」:継ぐのは誰か?!主役・ヒーロー・王の三位一体

監督:ライアン・クーグラー出演:レティーシャ・ライト米国2022年 「行った!見た!面白かった 」となった『ブラックパンサー』、その続編が紆余曲折の末、遂に来たっ。何が紆余曲折かというとコロナ禍もあるが、やはり主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなったことに尽きる。あえて代役を立てることはせずに、シナリオを書き直したという--で、いきなり葬式の場面から始まるのだった。 主演俳優が死んだから演じていた役の方も死んだことになるとなれば、役柄の「後継者」問題...

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2022年12月15日 (木)

「奇跡の丘」「アポロンの地獄」:ハードディスクの底をさらって駆け込み鑑賞、パゾリーニ生誕100年記念イヤー終了直前

かなり前に録画したまま放ったままにしておいたパゾリーニの『王女メディア』『テオレマ』を、今年が記念イヤーということで発掘して感想を書いてから、はや数か月経過。まだ残っているのではないかと探してみたらなんと2作もありました (というか、さっさと見ろよって話ですね)ということで今年が終わる前に鑑賞&感想であります。 「奇跡の丘」監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ出演:エンリケ・イラゾクイ イタリア・フランス1964年 パゾリ...

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2022年12月 6日 (火)

ヘンデル「シッラ」:英雄が来ては溺れる海辺かな

演出:彌勒忠史演奏:ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ会場:神奈川県立音楽堂2022年10月29日・30日10/29 ヘンデル先生ばかりがなぜモテる な今シーズンでありますが、この公演もコロナ禍で2年以上待たされたものだ。無料配布の「神奈川芸術プレス」というPR誌があって2019年10・11月号にビオンディのインタビューが載っていて、上演予定が2020年2月末からになっている。同じ冊子の中の記事を読んでやなぎみわのパフォーマンスを見に行ったのがも...

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2022年12月 1日 (木)

「古楽系コンサート情報」12月分更新

「古楽系コンサート情報」12月分(東京近辺)更新しました。左のサイドバーにもリンクあります。ライヴ配信などは入っていません。...

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2022年11月26日 (土)

「バビ・ヤール」:ご近所の虐殺

監督:セルゲイ・ロズニツァオランダ・ウクライナ2021年 次々と新作を発表しているロズニツァ監督のドキュメンタリーがまた公開された。自国ウクライナが蒸し返されたくない歴史を記録映像だけで掘り起こした問題作だ。 第二次大戦中1941年、ソ連邦の一部であったウクライナ西部をドイツ軍が侵攻した(もっとも元々はポーランド領だったという複雑な経緯があるらしい)。キエフまで進軍する中で市民は熱烈歓迎し、スターリンの絵を引き裂いてヒトラーの肖像を掲げる。また将校たちを招いて歓迎イベントを...

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2022年11月19日 (土)

映画落穂拾い2022年後半編その1

一部、今年の前半に見た映画も入っていますが、細かいことは気にしないように。 「タミー・フェイの瞳」監督:マイケル・ショウォルター出演:ジェシカ・チャステイン、アンドリュー・ガーフィールド米国2021年*オンデマンド視聴 アカデミー賞の主演女優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を見事獲得した本作、日本では配信のみであった。もっともそれも仕方ないだろう。実話を元にしているのだが、日本ではほとんど知られていないからだ。 主人公は貧しくも信仰深い生活の中からTV...

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2022年11月12日 (土)

ヘンデル「王宮の花火の音楽」:群衆と管楽器と混乱と

管楽器の祭典演奏:レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ会場:北とぴあさくらホール2022年10月9日 曲が有名で録音がたくさん出ているにも関わらず、実演で聞く機会がほとんどないという作品がある。この『王宮の花火の音楽』もその一つだろう。当時のままに演奏しようとすると大編成過ぎて難しいためだろうか。 とっころが!1749年の初演ヴァージョンで古楽器使用の復活演奏というコンサートが行われた。これは日本初ということである。管楽器オンリー弦楽器皆無の編成はオーボエ24、ファゴット(...

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2022年11月 4日 (金)

ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」:待ち望んだ英雄は(以下略)

指揮:リナルド・アレッサンドリーニ演出・衣装:ロラン・ペリー会場:新国立劇場オペラパレス2022年10月2日~10月10日 新国立劇場が二年に一度バロックオペラやると発表してこれが最初の演目になる--はずが、コロナ禍で延期。二年以上待たされた中、遂に上演である。メデタイヽ(^o^)丿指揮は当初の予定通りアレッサンドリーニということで、期待はふくらむじゃあ~りませんか。 舞台の設定はエジプトにある博物館の収蔵庫らしい(時代は明示されてないが現代? 少なくとも20世紀)。大勢の...

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