2020年10月24日 (土)

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」:結婚は女の墓場か花道か

監督:グレタ・ガーウィグ出演:シアーシャ・ローナン米国2019年 恥ずかしながら原作未読であります(^^ゞということで事前にあらすじと作者オルコットの生涯について解説してある求龍堂グラフィックの「若草物語 ルイザ・メイ・オルコットの世界」を図書館で借りてきて、手っ取り早く予習した。 その上でこの映画を見ると、作者自身の実話とジョーを完全重ね合わせたメタフィクションの構造となっている。で、公開決定時から「なんじゃ、この邦題は~ 」と非難轟轟だったタイトルが...

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2020年10月13日 (火)

「その手に触れるまで」「ルース・エドガー」:男のいない男たちの世界

「その手に触れるまで」監督:ダルデンヌ兄弟出演:イディル・ベン・アディベルギー・フランス2019年 「ルース・エドガー」監督:ジュリアス・オナー出演:ナオミ・ワッツ米国2019年 今回のお題は「構ってほしい、異文化のはざまに立つ良い子の少年」である。共通項は「女教師」「母親」「女の子」だ。 『その手に触れるまで』はカンヌの常連ダルデンヌ兄弟がやはり監督賞を獲得した新作。ベルギーに暮らす移民(モロッコ系?)の少年アメッド、少し前まではゲームに夢中だったのに今はネットでイスラム...

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2020年10月 4日 (日)

「コリーニ事件」:裁かれる法

監督:マルコ・クロイツパイントナー出演:エリアス・ムバレクドイツ2019年 ドイツの弁護士兼作家のフェルディナント・フォン・シーラッハのミステリー小説の映画化。原作は未読。 新米弁護士が国選弁護士として引き受けた事件はなんと、彼が子どもの頃に世話になった人物の殺害事件だった。しかも、犯人は動機や関係など一切黙秘という不可解さ。それでもなんとか弁護しようと奮闘する。 謎の解明に向かう後半にから終盤になって畳みかけるような展開に意表を突かれた。米国とはまた違うドイツの裁判模様も...

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2020年9月28日 (月)

「ハリエット」:聖女か闘士か紙幣の肖像か

監督:ケイシー・レモンズ出演:シンシア・エリヴォ米国2019年 米国で公開された時から「懐かしい(#^.^#)」と思ってぜひ見たかったものだ。なぜ懐かしいかというと、子どもの頃小学校と中学校の図書館に新日本出版社の児童向け世界全集が入っていて(『世界新少年少女文学選』)、その中にこの映画の主人公であるハリエット・タブマンの伝記『自由への地下鉄道』があった。それを気に入って、子どもなので何度も何度も繰り返して同じ本を読んだ。……とはいえ、××年も前の昔のことであり、内容はあまり...

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2020年9月22日 (火)

「囚われた国家」:売国ならぬ売星の輩

監督:ルパート・ワイアット出演:ジョン・グッドマン米国2019年 B級SF設定プラス『影の軍隊』的レジスタンスものという、かなり珍しい取り合わせの映画。といってもかなり地味な作りで、もしコロナウイルスの影響で洋画の新作が入って来なくなったという事態がなければ、大々的な公開はなかったろう類の作品である。 異星人に侵略支配された近未来の地球、侵略者は地下で地球の資源を発掘奪取して自星に送る一方、地上では傀儡政権を操り人々を支配しているのであった。--ってモロにナチス占領下のフラン...

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2020年9月18日 (金)

ナショナル・シアター・ライブ「夏の夜の夢」:ブランコに乗ってさかさまに

作:ウィリアム・シェイクスピア演出:ニコラス・ハイトナー主演:オリヴァー・クリス、グェンドリン・クリスティー上演劇場:ブリッジ・シアター 恐らく『夏の夜の夢』は、シェイクスピア作品の中でこれまで一番見ているものではないかと思う。実演もそうだが、映画化作品や舞台収録を含めるとさらに回数が増える。だから、もうこれ以上見なくてもいいかなと迷っていたのだが、以前に斬新な『ジュリアス・シーザー』をやったN・ハイトナー演出で、使っている劇場も同じということで見に行った。 まさに行って正...

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2020年9月11日 (金)

映画落ち穂拾い 2020年前半その3

「帰ってきたムッソリーニ」監督:ルカ・ミニエーロ出演:マッシモ・ポポリツィオイタリア2018年DVD鑑賞 ご存じ『帰ってきたヒトラー』のイタリア・リメイク版だが、うーん(ーー;)という印象である。ヒトラーの代わりにムッソリーニというアイデアは誰でも思いつきそうなのは、いいとして  ただ、全体に短縮した上に、さらにメタ構造だった終盤の展開を削ってあるのでかなりライトな仕上がりだ。(「右」ではなくて「軽」の方) イタリアは「70年間の間に...

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2020年9月 7日 (月)

「ナイチンゲール」:地と人心の果てで

監督:ジェニファー・ケント出演:アシュリン・フランチオージオーストラリア・カナダ・米国2018年 19世紀イギリスが囚人流刑の地としていたタスマニア。彼らを植民地の労働力として使役するのである。そこに送られたアイルランド女性の悲惨な物語だ。彼女は監獄を出してもらいその地で伴侶を得たが、同時に流刑地を管理している英国軍の将校に「愛人」扱いされている。とあるきっかけで将校たちにレ●プされた上に夫と子どもを殺される--というのが発端。復讐に燃える彼女は先住民の若者をガイドとして雇い...

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2020年9月 5日 (土)

「娘は戦場で生まれた」:想像の埒外

監督:ワアド・アル=カティーブ、エドワード・ワッツイギリス・シリア2019年 2012年から激動するシリアの状況をスマホで撮り続けたドキュメンタリー。アレッポ大学在学中に反政府デモ活動に参加した女性が、空爆が激しくなる中も反体制派の拠点であるアレッポに留まり撮影し、それを発信していく。 その間に、負傷者を治療する救急病院の医師と結婚しマイホームを得て娘も誕生する。そんな日常のホームビデオっぽい映像が全く境がなく、そのまま激しい砲撃が襲う街に繋がっていく。その落差に衝撃を受け...

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2020年8月30日 (日)

METライブビューイング「ヘンデル アグリッピーナ」:母の愛はコワし

演出:デイヴィッド・マクヴィガー指揮:ハリー・ビケット マクヴィガーの演出でヘンデルというと『ジュリオ・チェーザレ』が話題になった。ダニエル・デ・ニースがこれで人気急大上昇した。今回は『アグリッピーナ』を演出、ヘンデル先生イタリア時代の作品である。 タイトルのアグリッピーナはローマ皇帝の后にしてネロならぬネロ-ネの母親。彼女が策謀をめぐらして息子を皇帝の座につけようとする歴史ものだ。 結論から言うと、ヒジョ~に面白かった\(◎o◎)/!大河ドラマ1年分ぐらいが約4時間に凝縮...

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2020年8月24日 (月)

「女帝 小池百合子」

著者:石井妙子文藝春秋2020年 話題の書である。一時は売り切れてしまい書店から姿を消した時期があったほど。都知事再選記念 として、選挙後に買い求めて読んでみましたよ。 出版時から何かと批判の多い本書ではある。しかし面白く読んだ。そもそも私はゴシップ、スキャンダルの類いが三度のメシと同じくらいに好きなのだ。そういうものを下劣と考える人は最初から手に取らない方がいいだろう。 小池氏というと「芦屋のお嬢様」というイメージがあるが、それとは全く異なる実像を幼少...

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2020年8月23日 (日)

「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」:凶暴なだけじゃダメかしら

監督:キャシー・ヤン出演:マーゴット・ロビー米国2020年 『スーサイド・スクワッド』の後日譚、というかスピンオフ?実は私見ておりません...((((((((( ((;-o-)コソコソそれでも話はよーく分かったので見てない人でも大丈夫。いやもうほんとにバカバカしくてくだらなくてメチャクチャでデタラメな内容。よい子はもちろんよい大人にも見せられねえ~ 泣く子も黙るジョーカーの女として好き勝手していたハーレイ・クイン、突如フラれて追い出される。これまではジ...

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2020年8月15日 (土)

「レ・ミゼラブル」「ルーベ、嘆きの光」:生まれは双子、育てば別人

「レ・ミゼラブル」監督:ラジ・リ出演:ダミアン・ボナールフランス2019年 「ルーベ、嘆きの光」(「ダブル・サスペクツ」)監督:アルノー・デプレシャン出演:ロシュディ・ゼムフランス2019年*日本未公開、WOWOWで放映 『レ・ミゼラブル』はサッカー・ワールドカップの応援に沸くパリの街から始まる。熱狂して三色旗を振り回す人々--その中にアフリカ系の少年たちが混じっているが、彼らが無賃乗車して帰っていくのは近郊の犯罪多発地区である。 というドキュメンタリー的な冒頭からつかみは...

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2020年8月 5日 (水)

「ルカ・マレンツィオ 四声のマドリガーレ」:厳戒態勢下での再開

演奏:ラ・フォンテヴェルデ会場:近江楽堂2020年7月28日 本来は4月1日に開催される予定だったが、コロナウイルス感染拡大のためこの日に延期された公演である。元々、昼夜2回公演だったが、会場の定員を減らしたために夕方の回が追加された。私は夜公演のチケットを買ったが、夕方5時の回に移らせてもらった。 会場に入ると客席エリアとステージの部分がちょうど半々ぐらいになっている。椅子は間隔を開けて置かれていて、定員の半分以下ぐらいだろう。4人の楽譜台も間隔(2m以上?)があいている...

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2020年8月 3日 (月)

「萩尾望都と竹宮惠子」

大泉サロンの少女マンガ革命著者:中川右介幻冬舎新書2020年 少年マンガ史における「トキワ荘」に比較されるのが、少女マンガでは「大泉サロン」だ。名前はよく聞き漠然とした知識はあるものの、では実際にどういう人たちが集まってどのぐらいの期間続いたのか、ということはよく知らなかったりする。 実際の期間は2年間(1970~72年)で、しかも肝心の萩尾と竹宮は「サロン」の中心人物ではなかった。集まってくるマンガ家志望者仲間たちと熱く語り合っていたのは増山法恵であったという。増山は元々...

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