2012年5月28日 (月)

「マラン・マレの肖像」:時空を超える師弟共演

演奏:ヴィーラント・クイケン、上村かおり、クリストフ・ルセ 会場:上野学園 石橋メモリアルホール 2012年5月20日 ステージ上の人数と豪華さは比例しない。 いや「豪華」というと、語弊があるだろうか。「贅沢」とでも言い換えるべきか。奏者は3人きりでも、実に万華鏡のように様々に楽しめた時だった。 タイトルにマレとはあるが、彼と関わりの深いフォルクレとサント・コロンブも演奏された。しかし、この公演の主眼は音楽史的なことよりもクイケンと上村かおり師弟の関係が曲に投影されていること...

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2012年5月27日 (日)

「アーティスト」:人生の上りと下り、どちらが早い?

監督:ミシェル・アザナヴィシウス 出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ フランス2011年 今年のアカデミー賞は、この作品と『ヒューゴの不思議な発明』が多くの賞を獲得したわけだが、両者ともに古の映画を題材にしている。 サイレントからトーキーへ……激動の移行期には、名著「ハリウッド・バビロン」によると、多くの俳優が没落した。昨日までは燦然と輝くshineスターが、あっという間にただの人である。その原因は、声質がヒドイfootとか訛りが抜けないというもの...

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2012年5月26日 (土)

「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」:パイがつなぐ「絆」

監督:テイト・テイラー 出演:エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス 米国2011年 良くも悪くも優等生的映画である。その点において褒めようと思えば幾らでも褒められるし、けなそうと思えばいくらでもけなせるだろう。 1960年代、公民権運動爆発直前の米国南部での黒人メイドたちの変化を描く。子育て・家事を任しながら差別的な待遇を平然と行なうという「過去の悪行」を忌憚なく描いたのは「偉い!shine」と声をかけたいところだ。 しかし、語り手は明らかにヴィオラ・デイヴィス扮する...

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2012年5月20日 (日)

「キリング・フィールズ 失踪地帯」:謎の行方も失踪中

監督:アミ・カナーン・マン 出演:サム・ワーシントン 米国2011年 製作がマイケル・マンで監督がその娘であるアミ・カナーン・マン--という家内制手工業(?)映画。「未体験ゾーンの映画たち」という「渾身の特集上映」(^_^;)での限定公開だった。 女性監督とはいえ、さすがM・マンの娘ということか、ノワール色濃いサスペンスとなっている。 テキサスの田舎町で実際にあった連続失踪事件を元にして、二人の刑事の捜査を追っていく。テキサスというとなんとなく荒野や岩山を思い浮かべてしまうけ...

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2012年5月19日 (土)

「ルート・アイリッシュ」:「兵士」の行く末

監督:ケン・ローチ 出演:マーク・ウォーマック イギリス・フランス・ベルギー・イタリア・スペイン2010年 ケン・ローチが描くイラク戦争--それは民間軍事会社と傭兵の存在に踏み込んだものであった。 この分野も「官から民へ」だろうか、物資補給などの後方支援から護衛、偵察、はたまた拷問指導までこの手の企業は様々な分野に進出しているのであった。正式な軍隊ではないから国際法や条約に縛られることなく、しかも現地の法律に従うこともない。まさにやりたい放題らしい。(過去の関連記事) 英国人...

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2012年5月17日 (木)

「第九軍団のワシ」:異文化の長城を撃て

監督:ケヴィン・マクドナルド 出演:チャニング・テイタム イギリス・米国2010年 ローズマリ・サトクリフは児童文学の作家として有名。日本でも多くの著作が翻訳されているが、内容がファンタジー味はなく純然たる歴史小説なのでホイホイと映画化はされないようだ。 それが地味ながら公開というので見に行ってみた。地味と言っても、監督は『ラストキング・オブ・スコットランド』のケヴィン・マクドナルドだし、役者も決してマイナーではない。 時は西暦2世紀、現在のスコットランドとイングランドに当た...

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2012年5月13日 (日)

「大塚直哉チェンバロリサイタル」:接近禁止のチェンバロになぜか食欲が~っ!

会場:近江楽堂 2012年5月3日 この日は大雨、さらにLFJ開幕日とあって、このような小さな公演には人が来ないのでは?と予想して行ったら、大間違い(!o!) ほぼ満員御礼fullであったよ。 まずスウェーリンクの小品で露払い風に開始。 そしてフローベルガーとルイ・クープラン、そして休憩を挟んでバッハ先生という構成だった。 3人の共通点は、当時頂点に達していたリュートの奏法を鍵盤曲にも応用しようと懸命に試みたということである。 また、同世代のフローベルガーとクープラン...

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2012年5月12日 (土)

「乱歩彷徨」

なぜ読み継がれるのか 紀田順一郎 春風社2011年 高校生の頃だったか、乱歩の全集は一通り読んだ。講談社発行のもので、横尾忠則が描いたカラー口絵がかなり強烈な印象だった。 その横尾忠則が新聞の書評で取り上げていたのを見て、この本を読んでみる気になったのである。 乱歩が戦争を挟んで内向的性格から社交的へと変貌したのは読者ならよく知るところである。戦前は同業者との関わりもほとんどなかったようだが(と言っても推理小説というジャンル自体揺籃期だった)、戦後はマスコミにも登場しミステリ...

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2012年5月 8日 (火)

「スーパー・チューズデー ~正義を売った日~」:あの人に一票!

監督:ジョージ・クルーニー 出演:ライアン・ゴズリング 米国2011年 結論から先に言うと、あまり感心しない出来だった(-_-メ) 米国大統領選を題材にしているから、てっきりTVドラマ『ザ・ホワイトハウス』みたいな「なんで、こうなっちゃうの??」話(両方の候補とも中絶容認派なのになぜかそれが争点になってしまう謎)とか、そこまでやるかの駆け引き(投票が始まってからも猛烈な電話攻勢で逆転を勝ち取ろうとする)が出てくるかと期待してたら、全く違った。 これは別に政治でなくても、企業や...

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2012年5月 7日 (月)

「忠実な羊飼い」:作曲家ならぬ詩人特集

ラ・フォンテヴェルデ第15回定期演奏会 会場:ハクジュホール 2012年4月27日 めでたく結成10周年を迎えた声楽グループ、ラ・フォンテヴェルデのコンサートに久しぶりに行ってみた。 以前は自由席で早く行かないと席が取れないのと、常連のオバハン達の熱気spaに負けて、ここしばらくは敬遠してたのである。 プログラムは「曲」ではなく「詩」を中心にするという極めて珍しいものだった。 16世紀後半にイタリアで人気があったグァリーニという詩人作の牧歌劇に基づいて、同時代の様々な...

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2012年5月 6日 (日)

「カエル少年失踪殺人事件」:カエルが鳴くから帰ろ--とはならなかった悲劇

監督:イ・ギュマン 出演:パク・ヨンウ 韓国2011年 とあるのどかな田舎の村、小学生5人がカエルを捕まえに出かけたとさ。ところが、その子たちは二度と戻ってこなかったそうな--。 「韓国三大未解決事件」というのがあって、その中の一つを取り上げたもの。(別の一つは『殺人の追憶』で取り上げられた事件が入っている) 大規模な操作が行われたが、行方不明のまま十数年後、近所で少年たちの死体を発見。容疑者は何人も浮かべど、結局逮捕には至らず時効となったらしい。 主人公はやり手のTV記者。...

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2012年5月 4日 (金)

「マンク~破戒僧~」:悪魔とチラシ、悪質なのはどっちだ?

監督:ドミニク・モル 出演:ヴァンサン・カッセル フランス・スペイン2011年 「マンク」と聞いて眼前に浮かぶは、図書館で見かけた国書刊行会の「世界幻想文学大系」である。あの特徴ある装丁の本の背にクッキリハッキリとタイトルが記されていたのを今でも思い出す。(2巻目に収録) とはいっても、実際に手にとって読んだわけではない(^^ゞ ただ「異端」そうなイメージが脳内に焼きついていたのであった。 しっかし、この度ヴァンサン・カッセル主演で映画化作品が公開じゃありませんか。しかもチラ...

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2012年4月30日 (月)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 5月版

5月はLFJに限らず色々と目白押しだいっ。 *3日(木)大塚直哉チェンバロ・リサイタル *20日(日)「マラン・マレの肖像」(クイケン+ルセ+上村) 19日所沢公演もありますな。ただ会場はこちらの方が向いているかと……。 *24日(木)ル・ポエム・アルモニーク 26日神奈川公演もありますが、あの会場はおすすめできません(>_<) 他にはこんなのも *3日(木)マチルド・エチエンヌ&野澤知子 *5日(土)松本バッハ祝祭アンサンブル *18日(金)クリストフ・ルセ独奏...

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「ヴェルサイユ宮殿のド・ヴィゼー」:王は踊るよリュートと共に

演奏:佐藤豊彦、ザ・リュートコンソート 会場:近江楽堂 2012年4月21日 前回行ったコンサートではガンバのコンソートを聞いたが、この日はあら珍しや(!o!)リュートの合奏をやっていた。我がコンサート歴を顧みても「初耳ear」だろう。 ロベール・ド・ヴィゼーは正体不明の作曲家。1680年ごろに風のように忽然とパリに現れ、声楽・リュート・ガンバ・作曲なんでもござれと活躍し、王付きのギター教師にまでなったが、1720年にまた風のごとく消えたという。 で、最初にやったのが...

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2012年4月26日 (木)

「ロンドンの呼び声」:今の新大久保と昔のロンドン、賑やかさでは変わらず

演奏:ザ・ロイヤルコンソート&ベツァベ・アース 会場:日本福音ルーテル東京教会 2012年4月18日 ガンバ・コンソートというと録音は多数出ているが、実演となるとなかなか聞く機会はない。アマチュアやセミプロでは盛んなのかもしれないが、プロとなるとそれだけの人数を一度に集めるのは難しい?のだろうか。 日本人ではこのザ・ロイヤルコンソート、あと来日組だとフレッワーク(だったかな?曖昧)ぐらいしか記憶にない。 さて、上村かおりをはじめとするザ・ロイヤルコンソートが今回ゲストに選んだ...

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