2021年10月26日 (火)

【旧盤紹介】カヴァッリ「聖母マリアの夕べの祈り」

演奏:コンチェルト・パラティーノ(1995年) 17世紀半ばヴェネツィア、サン・マルコ大聖堂の楽長を務め、一方で人気オペラ作曲家だったカヴァッリ。残っている彼の作品としては数少ない宗教曲だ。当時、大聖堂で演奏されたそうで、その壮麗さと美しさを十二分に味わうことができる録音である。 コルネットとトロンボーンのアンサンブルはブルース・ディッキー、シャルル・トートを始めとする10人。バーバラ・ボーデン、マーク・パドモア、ゲルト・テュルクなど歌手は8人、他にヴァイオリンはエンリコ・...

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2021年10月22日 (金)

「ルート66を聴く」

アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか著者:朝日順子青土社2021年 ルート66って名前はよく聞くが具体的には……よく分かりません(^^ゞ などと曖昧な知識しかないのだが、シカゴからロサンジェルスまで米国の3分の2ぐらいを横切る道路である。しかし、やがて州間高速道路のインターステイトが使われるようになってさびれてしまったそうな。(ピクサーの『カーズ』の背景はこれなのね)イメージとしては、時代遅れの「各駅停車」といったところなのだろうか。そのような道路沿いにミュージシ...

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2021年10月17日 (日)

「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」:主役はどっちだ?

監督:シャカ・キング出演:ダニエル・カルーヤ、レイキース・スタンフィールド米国2020年DVD視聴 アカデミー賞5部門候補になり2部門獲得!なのによもやのDVDスルーとはどうしたこったい(!o!) 『プロミシング・ヤング・ウーマン』も同じく5部門候補で、獲得したのは一つだけでも公開されたっていうのにさっ  やはり黒人が主人公だと敬遠されるのかね。などと文句を言いつつツ●ヤの新作棚から早速借りてきた。 60年代末の米国シカゴ、ブラックパンサーの州支部に若干2...

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2021年10月 7日 (木)

「ホロコーストの罪人」:善き隣人の犯罪

監督:アイリク・スヴェンソン出演:ヤーコブ・オフテブロノルウェー2020年 ノルウェーでユダヤ人家族に起こった実話を映画化。辛い話で、見てて涙でマスクの内側が濡れてしまったほど(T^T)クーッ 主人公は若いボクサーで、親の意向に反して宗教熱心ではない。ノルウェーの国旗を背負って試合をし、結婚相手もユダヤ人ではない女性を選んだぐらいだ。しかし、いくら自分ではノルウェー人だと思っていてもナチスドイツが侵攻して占領下に入ると、見逃してはもらえない。 劇的なことが起こるわけでもなく、...

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2021年10月 6日 (水)

【旧盤紹介】「バロック・ギター・トリオ」

演奏:バロック・ギター・トリオ(1999年) その名の通りバロックギターの3人組がテレマン、バッハ、ロウズの作品を編曲して演奏したものである。親しみやすいテレマン、落ち着いたロウズに比べ、何事も極めなければ気の済まないバッハ。トリオ・ソナタでは、あくまでも対位法を鬼のように追及している音像が浮かび上がってくる。 期せずして、そのようなバッハ先生の「鬼」ぶりが立体的な音として実際に迫ってくる好企画といえるだろう。...

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2021年10月 2日 (土)

「古楽系コンサート情報」10月分更新

「古楽系コンサート情報」10月分(東京近辺)更新しました。左のサイドバーにもリンクあります。ライヴ配信などは入っていません。...

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2021年10月 1日 (金)

「グリード ファストファッション帝国の真実」:ローマは安価にして成らず

監督:マイケル・ウィンターボトム出演:スティーヴ・クーガンイギリス2019年 英国に実在するファストファッション経営者をモデルに、虚飾以外に何もない男をブラックユーモアで描いている。イギリスでは有名な人物らしいからこの映画の存在自体、スキャンダルの一端と言えるかもしれない。しかも実際に彼の部下だった人物が出演していたりする。 若い頃から既に傲岸不遜にしてあくどいやり口で資産を増やしていく。これを果たして経営と呼べるのであろうかと言いたくなるレベルだ。富を築いてからは『グラディ...

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2021年9月27日 (月)

【旧盤紹介】ミシェル・ランベール「エール・ド・クール」

演奏:今村泰典&フォンス・ムジケ(1998年) ルイ13世・14世時代の宮廷歌曲の美しさをた~っぷり味わえるランベール作品集である。歌手はモニカ・ザネッティ、パスカル・ベルタン、二人の歌唱が華麗で素敵 今村泰典のテオルボの響きは典雅の極みである。 録音から20年以上経っているが、今なお「古楽の楽しみ」でかかるのでこのジャンルの定番(定盤)と言っていいだろう。ヴァイオリンの一人はアマンディーヌ・ベイエなのに今頃気づいた(^^;ゞ...

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2021年9月24日 (金)

「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」:歌と共に時代あり、時代の陰に政治あり

監督:アミール・“クエストラヴ”・トンプソン米国2021年 ロック年表などというものがあるとしたら1969年の項にはウッドストックの野外コンサート開催と太字で書かれるだろう。一方、同じ年にこんなことがあったのは知らなかった(!o!) ニューヨーク、ハーレムの公園で6週間にわたり無料コンサートが行われたのだという。しかも映像の記録が残されていたというのに映画にもならず長年放置されていた。50年ぶりにその「ハーレム・カルチャラル・フェスティバル」の記録を掘り起こしたのがこの映画...

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2021年9月15日 (水)

【旧盤紹介】「イングランド、マイ・イングランド」

最近音楽ネタ記事が激減しているので自宅のCDの沼をさらって紹介します(^^; これはヘンリー・パーセルの伝記映画のサントラ(1995年)である。ジョン・エリオット・ガーディナー&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団が音楽担当している。 ナンシー・アージェンタ、マイケル・チャンスなど歌手が多数参加しているが、映画自体は見たことがない(日本未公開)ので、彼らがスクリーンに登場するのかは不明。サントラには器楽曲や歌劇など色々と入っていて、パーセル作品のショ...

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2021年9月11日 (土)

「プロミシング・ヤング・ウーマン」:少女老いやすく復讐なり難し

監督:エメラルド・フェネル出演:キャリー・マリガン イギリス・米国2020年 今年のオスカーで5部門候補になり脚本賞獲得。キャリー・マリガンも主演女優賞の下馬評高かったが取れずに終わったものの、話題の一作である。 正直、理解に苦しむ映画だった。登場人物のほとんどが何を考えているのかよく分からないのだ。例えば『ライトハウス』はホラーだか幻想ものだか、話自体はぶっ飛んでいて訳ワカランものであった。だが、少なくとも登場人物がその時どういう精神状態でそういう行動をするのかは大体理解で...

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2021年9月 5日 (日)

「ライトハウス」:なんで、私が灯台に!?

監督:ロバート・エガース出演:ウィレム・デフォー&ロバート・パティンソン米国2019年 *最後にネタバレ感想があります。 事前に「怖い映画」だと聞いていた。さらに「変な映画」だということだ。おまけにモノクロでスタンダードよりも狭い昔の画面サイズらしい。どうも嫌な予感がする。途中で映画館出たくなったらどうしようと不安であった。しかし、狭い孤島の灯台でデフォーとパティンソンが二人きりでゴニョゴニョする話(誤解を招く表現)だとあっては、何がなんでも見に行かずばいられない。 心して...

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2021年8月29日 (日)

【少女マンガ再読】「見えない秋」(樹村みのり)

*初出「別冊少女コミック」誌1974年11月号、『ポケットの中の季節』第1巻(小学館フラワーコミックス1976年)所収 訳あって樹村みのりの古いコミックスを掘り返してチラ見していたら、思わずドトーのように涙を流してしまったのがこの短編である。 樹村みのりには「病気の日」という名短編があって、これは小学生の女の子が家で寝ていて「病気の日はちょっと楽しいな 」と思うという、ストーリー的にはただそれだけの作品なのだ。この「見えない秋」も同じタイプで、同級生の突...

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2021年8月25日 (水)

「ブラック・ウィドウ」(字幕版):腐敗オヤヂ退散

監督:ケイト・ショートランド出演:スカーレット・ヨハンソン米国2020年 アベンジャーズの一員ブラック・ウィドウの初ソロ作品。コロナ禍より前に撮影は終了していたらしく宣伝映像が映画館の予告枠で流されていたが、結局一年以上待たされての公開である。シリーズ内のタイムラインでは『シビル・ウォー』の後ということらしい。 待たされただけあって大いに期待して見に行ったが、正直期待しすぎたかな~という印象だった。 本業(?)は女スパイで特殊能力や超能力の類いは持っていないブラック・ウィドウ...

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2021年8月22日 (日)

「令和元年のテロリズム」

著者:磯部涼新潮社2021年 他の人の感想を見かけて興味を持ったルポルタージュ書である。平成31年=令和元年に起こった4つの事件を取り上げている。「川崎殺傷事件」(R元年5/28)、「元農水省事務次官長男殺害事件」(同6/1)、「京都アニメーション放火殺傷事件」(同7/18)、「東池袋自動車暴走死傷事故」(H31年4/19)。 読み始めて衝撃だったのは、第1章の川崎の殺傷事件(スクールバスを待つ小学生・保護者などを襲撃)は20人もの被害者を出したのだが、私は事件以降スッパリ...

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«「ヴァージナルと歌で聴くイギリスの音楽」:女王陛下の鍵盤弾き