2025年6月13日 (金)

「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」:無から金を生み出す

監督:フェリックス・チョン出演:トニー・レオン、アンディ・ラウ香港・中国2023年 久しぶりに見た香港映画。中心の二人を黄金コンビが演じる。イケイケ押しの一手のトニー・レオンに対してアンディ・ラウは地味に受けるというパターンである。 冒頭は70年代中頃、東南アジアで食い詰めて香港に流れてきた男が一人。やがて口八丁手八丁で成り上がり、イケイケのバブル期を背景に株と人と不動産を転がして巨額の利を得る。しかし、このハッタリを極める詐欺師を常に注視し、地道な捜査を十数年にもわたり根気...

» 続きを読む

| |

2025年6月 8日 (日)

「わたしの涙 愛を綴るイタリアの古歌」:嫉妬から諦念まで

演奏:クレール・ルフィリアートル、上村かおり、西山まりえ会場:今井館聖書講堂2025年5月10日 先日の王子ホール公演ではフランスものだった西山まりえとC・ルフィリアートルのコンサート、今回は上村かおりを迎えてイタリア作品プログラムである。上から見て長方形の会場、いつもなら短辺の方にステージを設定して椅子を並べるのだが、この日は横長に使っていたのが珍しかった。そのせいかなんとなくサロンっぽい雰囲気になっていた。 カッチーニ、フレスコバルディなど定番曲あれば初めて聞くものもあ...

» 続きを読む

| |

2025年6月 1日 (日)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年6月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *3日(火)古楽器で楽しむバロック音楽inアミーゴ14(新井道代ほか):入間市文化創造アトリエアミーゴホール*5日(木)ドイツ=ネーデルランドに響くガンバ・デュオの音色(田中孝子ほか):横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール*7日(土)プティ・サロン2025(平井み帆ほか):チャボヒバホー...

» 続きを読む

| |

2025年5月31日 (土)

「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」:優秀過ぎる弟子

監督:アリ・アッバシ出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング米国2023年 米国では大統領選前に公開。日本では就任式直前の時期で見事に当選祝い公開となった。まだ20代の青二才トランプが悪名高き弁護士に気に入られて「弟子」入りし、金魚のフンの如く後ろにくっ付いて歩いてるうちに悪徳の全てを吸収し、いつの間にか制御不可能な怪物になるという半生を描いたものである。なお監督の過去作品は『聖地には蜘蛛が巣を張る』を見たことがあるが、全く違うタイプの作品だった。 冒頭では彼はベビ...

» 続きを読む

| |

2025年5月23日 (金)

「西山まりえの歴女学11 本当は怖いヴェルサイユ」:コワくても聞きたい時がある

フランス宮廷の秘話と音楽会場:王子ホール2025年4月23日 西山まりえ主宰のこのシリーズに行ったのは初めてである。ゲストはチェロ中木健二、ソプラノのクレール・ルフィリアートルだった。 西山氏はなぜかギリシャ時代の巫女みたいなファッションで登場。かなり芝居がかった感じで面白おかしくヴェルサイユ宮殿のエピソードを語り、合間にチェンバロを独奏するという形だった。そして途中でゲストが参加する。休憩なしで全10曲演奏で、お目当てのクレールはランベールを3曲、さらにアンコールも歌った...

» 続きを読む

| |

2025年5月17日 (土)

「神は銃弾」:弾丸の数より死人が多い

監督:ニック・カサヴェテス出演:ニコライ・コスター=ワルドー、マイカ・モンロー米国2023年 原作は過去に「このミス」海外編第1位(2002年だから結構昔)に輝いたミステリである。一巻本とはいえなかなかの厚さ、そのせいか映画も156分の長尺だ。未読で挑戦した。妻を殺され娘を誘拐された男の豪快な追跡アクションものかと思ったら、暴力に血みどろ残酷が念入りに描写されていて、さらに神について自問自答するなど、どうもこれはノワール系ではありませぬか(ちょっと苦手)。 暴力描写にやたらに...

» 続きを読む

| |

2025年5月13日 (火)

ミュージアム・コンサート 「西洋絵画、どこから見るか?」展記念コンサート

東京・春・音楽祭2025会場:国立西洋美術館講堂2025年4月3日・15日 その1 古橋潤一リコーダーの古橋潤一、ヴァイオリン丹沢広樹、オルガン能勢伊津子という顔ぶれでスペイン・バロックもの約1時間のコンサートである。最初に美術館側から10分ほど展覧会の紹介あり。米国のサンディエゴ美術館の所蔵品を中心に西美の関連絵画を組み合わせて展示したものらしい。1600年代初めのスペイン静物画があるとのこと。 取り上げられた初期バロックの作曲家はほぼ知らない人ばかり...

» 続きを読む

| |

2025年5月 9日 (金)

「市民捜査官ドッキ」:警察より頼りになる

監督:パク・ヨンジュ出演:ラ・ミラン 韓国2024年 韓国映画の得意技 実話ベースの犯罪もの+コメディである。ノーチェックだったが、評判がいいので見てみた。 自宅兼店舗を火事で失ったシングルマザーがさらに振込め詐欺にあってなけなしの財産を失ってしまう。しかし、再び同じ人物から電話があり問い詰めようとしたら、なんと闇組織から逃れようと助けを求める必死の連絡であった。詐欺の時にも警察から適当な扱いを受けて怒り心頭だったのに続き、またも取り合ってもらえず遂に「...

» 続きを読む

| |

2025年5月 3日 (土)

ヘンデル「時と悟りの勝利」:美しいだけじゃダメかしら?

指揮:ルネ・ヤーコプス演奏:ビー・ロック・オーケストラ会場:東京オペラシティコンサートホール2025年4月4日 ヘンデルが22歳の若い時の作曲で、寓意劇のオラトリオ、演奏会形式ということで、あまり期待せずに行った。東京で一回だけの公演ということは、アジアツァーか何かでついでに来日したということなのだろうか。まあ、この不景気なご時勢では日本に来てくれただけでもありがたい。オペラシティは3階までほぼ満員状態だった。 ともあれ、行ってみると内容は予想とはかなり違っていた[E:#x...

» 続きを読む

| |

2025年5月 1日 (木)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年5月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *3日(土)~5日(月)ラ・フォル・ジュルネ東京2025*3日(土)古楽器で聴くドイツ・バロック音楽(新井道代ほか):松明堂音楽ホール*5日(月)チェンバロの日:浜離宮朝日ホール*6日(火)森のフォリオ 五月の新緑が奏でる音楽会(アルティザン・ブリュイオン):フェニックスラウンジ*10日(土...

» 続きを読む

| |

2025年4月26日 (土)

「タイタン・ノワール」

著者:ニック・ハーカウェイ(訳:酒井昭伸)ハヤカワ文庫2025年 タイトルからなぜか土星(の衛星)を舞台にしたSFミステリかと思い込んでいたが違った。タイタンは神話の巨人のことだった。舞台は恐らく欧州のどこかの都市(ギリシャ?)、近未来といってもテクノロジーが発達しているようには思えない。唯一異なるのが若返り医療が存在し、それを受ければ不老不死(少なくとも病気や怪我は克服)となることである。 それは薬剤の投与によるものなのだが、実は一気に若返るものの身体が巨大化してしまう。...

» 続きを読む

| |

2025年4月25日 (金)

「ザ・バイクライダーズ」:男と男と女とバイクと

監督:ジェフ・ニコルズ出演:ジョディ・カマー、オースティン・バトラー、トム・ハーディ米国2023年 原作はシカゴのバイカー集団をエスノグラフィーの手法で捉えた写真集とのことである。バイクには全く縁がないけど見てきた。カメラマンの前でメンバーの妻が回想する形式で、1960年代から70年代初めにかけてクラブの結成・拡大・変質の過程を描いていく。 そもそもは町のクラブの一つに陣取る一団が徐々に大きくなっていき、やがて評判を聞きつけた外部の者が加わって来て変質を遂げる。もはや元のまま...

» 続きを読む

| |

2025年4月18日 (金)

「タブラトゥーラ・リターンズ」:若者力も発揮

会場:ハクジュホール2025年3月21日 時の流れは速い  タブラの2年ぶりのコンサートであった。今回はタテ笛要員としてケーナの岩川光がゲスト参加。音だけ聞いているとリコーダーのようなリコーダーでないような--という不思議な境地へいざなってくれるのだった。 定番曲が粛々と演奏されるも、近藤郁夫のハンマーダルシマーはすぐに調弦が狂ってなかなか開始できなかったり。そしてつのだ団長の老人力はさらに強まっていて一曲飛ばそうとする、使う楽器を間違えるなど小ハプニン...

» 続きを読む

| |

2025年4月10日 (木)

映画落穂拾い・映画に続編はあるが人生にはない

続編を見るということは当然第一作目を見ていることが前提でしょう。しかし前作が面白くなくても続きを見るかというと、面白かったからこそ見る気になるものです。しかし、たまに詰まらなくても「今度こそ面白いに違いない!」とあえて意気込んで見ることがあります。そしてまたガッカリするという(-_-;) こうなると賭けですな。チケット代返せ と叫ぶより「また詰まらぬものを見てしまった……」嘆くことになるかもしれません。とはいえ、前作があるからこそ続編がある。何もないところ...

» 続きを読む

| |

2025年4月 1日 (火)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2025年4月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。 *3日(木)東京・春・音楽祭「西洋絵画、どこから見るか?」展記念コンサート1(古橋潤一ほか):国立西洋美術館講堂*4日(金)ヘンデル 時と悟りの勝利(ルネ・ヤーコプス&ビー・ロック・オーケストラ):東京オペラシティコンサートホール*5日(土)聖母マリアのカンティガ集(メネストレッロ):番町教...

» 続きを読む

| |

«「リコーダーコンチェルトの楽しみ」:教会にご注意