2019年10月14日 (月)

「ベルリン古楽アカデミー×ソフィー・カルトホイザー」:歌心あればオーボエ心あり

会場:トッパンホール2019年9月29日 ベルリン古楽アカデミーのコンサートは多分5回目。(前回の感想はこちら)今回のコンマスはベルンハルト・フォルクという人である。武蔵野でも公演あり、完売という人気だった。 前半は器楽のみのプログラム。J・SならぬJ・B・バッハって誰(?_?)と思っちゃうが、「ヨハン・ベルハルト」でバッハ先生の又いとこだそうだ。その「管弦楽組曲」の第1番は6楽章からなる。1730年頃にコレギウム・ムジクムで演奏されたものらしい。バッハ先生の同名タイトルの...

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2019年10月10日 (木)

「未来を乗り換えた男」:終着の港

監督:クリスティアン・ペッツォルト出演:フランツ・ロゴフスキドイツ・フランス2018年*DVDにて鑑賞 久方ぶりに「映画館で見ておけばよかったと大後悔」案件に出会ってしまった。思えばハネケの『ピアニスト』以来である。どうしてロードショー時に見なかったかというと、同じ監督の作品『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』は見ていた。しかし「面白いけど今ひとつ」な感じだったのである(特に『あの日』の方)。それで今回はどうしようかと迷っているうちに公開終了……と見送ること...

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2019年10月 3日 (木)

「クァルテット in Paris 2」:風が吹けば……

パリジャンを魅了したエスプリの香気演奏:AYAMEアンサンブル・バロック会場:近江楽堂2019年9月20日 後期--というより終期バロックにおけるパリの音楽状況を、粋すなわちエスプリという観点からそのままに体現してみせた4人の女性奏者によるコンサートである。取り上げられた作曲家はギユマン、カンタン(二人とも知らなかったです)、ラモー……と聞いてみるとなるほど、ここにおいてはバッハも古くさくて野暮というしかない。 さらに、何よりもテレマンの「パリカル」が見事。当時の人気作曲家...

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2019年10月 2日 (水)

「ドッグマン」:ホール・ロッタ・ラヴ で、飼い主はどっちだ?

監督:マッテオ・ガローネ出演:マルチェロ・フォンテイタリア・フランス2018年 ガローネ監督は『ゴモラ』が衝撃で、その後も『リアリティー』『五日物語』も見た。後者は映像はキレイだけど話自体はなんだかなあという印象だった。今回の作品はどれかと言えば『ゴモラ』系ではある。 舞台となるはイタリアの田舎町。これがまた、よくぞこんな場所見つけてきたものよと言いたくなるほどの寂れ具合である。主人公は街の商店街の一角で犬のトリミングサロンを開いていて、腕前は良いようだ。時折商店街の仲間と...

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2019年9月30日 (月)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 10月版

早くも芸術の秋でコンサートラッシュですよ。 *4日(金)LA PARTIDA(出帆)~渡邊さとみさんを偲んで(アンサンブル・デルフィヌス):近江楽堂*5日(土)佐藤俊介とオランダ・バッハ協会管弦楽団:彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール*  〃  甘美なるイタリア・バロックの響き(レ・タンブル&ハルモニア・レニス):小金井宮地楽器ホール*6日(日)爛熟のイタリア 楽器を彩るディミニューション(ソフィオ・アルモニコ):近江楽堂*  〃  ジルヴィウス・レオポルド・ヴァイスの作品を弾...

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2019年9月26日 (木)

「イギリスのリュートソング」:埼玉に英国の香りが~

演奏:冨山みずえ、ゲイブリエル・ゴットリーブ、つのだたかし会場:松明堂音楽ホール2019年9月15日 文化果つる地埼玉には貴重な小ホールでのコンサート。主にダウランドを中心としたソロとデュエット曲のプログラムである。他の作曲家はトマス・キャンピオンとジョン・ダニエルで、後者は全く知らなかった。 冨山みずえのソプラノは優しく清澄で、ちょうどこの小さな(というより狭い?)空間によく合っていた。バリトンのG・ゴットリーブの大柄な身体から繰り出される声量は豊か、会場からあふれんばか...

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2019年9月23日 (月)

「アートのお値段」:ノー・モア・マネー 芸術家のラスボスはあの人

監督:ナサニエル・カーン出演:アート界の皆さん米国2018年 現代アートに興味のある人は見て損なしの面白いドキュメンタリーだった。金、かね、カネ……の面からアートの価値を徹底追求。アーティスト、コレクター、サザビーズの担当者(オークショニアっていうの?)、評論家が様々に語る。「ギャラリスト」というのは「画商」のことか(?_?) 教科書に載るような過去の古典的名画は供給が限られているが、現代アートは作者が生きてて作品が作られ供給され続けるので、投機の対象となるのだという。しか...

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2019年9月19日 (木)

「フィンランド・リコーダー四重奏団《ブラヴァーデ》」:笛の嵐到来

会場:武蔵野市民文化会館小ホール2019年9月8日 フィンランドのリコーダー・カルテットが来日。初来日かと思ったら過去にも来ているようである。(NHK-BSで放送されたらしい。これも会場は武蔵野ですよね?)外見はもろに北欧系おねーさま4人組という感じ。主に低音担当のメンバーは産休で、別の若手が急遽入ったとのことだった。 全体に感じたのはリコーダーのアンサンブルだけの演奏で飽きたりしないように、色々と工夫を凝らしているということ。大抵は椅子に座って4人で演奏しているが、曲によ...

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2019年9月17日 (火)

「COLD WAR あの歌、2つの心」:生きて別れし物語

監督:パヴェウ・パヴリコフスキ出演:ヨアンナ・クーリク、トマシュ・コットポーランド・イギリス・フランス2018年 『イーダ』の監督の新作はカンヌで監督賞受賞、オスカーも3部門ノミネートという高評価だった。どうも恋愛映画っぽいということで、二の足を踏んでいたのだが評判が良かったので見ることにした。 戦後数年経ったポーランドから始まる。冒頭農民たちによって歌われる、野卑にして強烈なエネルギーを持つ民族音楽に引きつけられる。場面はそのまま歌手のオーディション場面に繋がり、一人の若...

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2019年9月14日 (土)

「バルバラ・ストロッツィ 生誕400年記念コンサート」:400年目の復権

演奏:ディスコルシ・ムジカーリ会場:豊洲シビックセンターホール2019年9月2日 生誕400年だったとは知らなかったストロッツィ。結成されたばかりのグループによって記念公演が行われた。主催者は佐々木なおみという研究者で、そのため曲間に詳しい解説が入ってレクチャーコンサートと言っていい濃い内容になっていた。コンサート全編ストロッツィというのはさすがに聞いたことがない。しかも日本初演というのが数曲入っている。 以前は、彼女はパッとしないまま認められず忘れられた作曲家という見方を...

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2019年9月11日 (水)

「新聞記者」:ヒューマン・ドキュメント スクープしなけりゃ意味ないよ

監督:藤井道人出演:シム・ウンギョン、松坂桃李日本2019年 過去に度々「日本では社会派映画の伝統は途絶えた!なんてこったい(>O<)」みたいなことを書いてきたので、その手前どんなもんかと見てきましたよ。結論から先に言うと、これって「社会派」なのか?と思わざるを得ない内容であった。 まず、女性記者の設定に驚く。日本人と韓国人のハーフでしかも米国からの帰国子女(母語は英語のようである)、失脚した記者であった父親の復権のためにわざわざ日本で自らも新聞記者となる--っ...

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2019年9月 7日 (土)

「Ut/Faコンサート」:リコーダーが登場する推理小説はあるか?

演奏:宇治川朝政&福間彩会場:近江楽堂2019年8月31日 二人組ユニットのウトファ、今回は「やりたいものをやろう」と選曲していったら、国も時代もバラバラになってしまったという。ただ唯一の共通点はリコーダー である。 18世紀ベルギーのフィオッコという作曲家に始まり、17世紀のファン・エイク(リコーダー独奏)、16世紀はバード(こちらはチェンバロ独奏)。ロンドンのイタリア人バルサンティ、さらにオトテール、テレマンといった次第だ。リコーダー曲というのが共通と...

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2019年9月 3日 (火)

「訣別」上・下巻

著者:マイクル・コナリー講談社文庫2019年 刑事ボッシュ・シリーズの19作目が早くも出た。前作では心ならずも犯罪者の弁護側調査員として働いてしまったボッシュであったが、今は私立探偵の免許を取り直し、さらに近隣の小都市サンフェルナンド市の警察でボランティアとして働く日々である。 警察にボランティア(?_?)と驚くが、財政問題から人員を減らしたことへの対応策だという。完全無休で月2回出勤する代わりにバッジを持てるらしい。多分、実際にこういうボランティア制度が存在するのだろうが...

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2019年8月31日 (土)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 9月版

夏が未消化のまま、あっという間に秋に突入でしょうか。 *2日(月)バルバラ・ストロッツィ生誕400年記念コンサート(ディスコルシ・ムジカーリ):豊洲シビックセンターホール*3日(火)丸山韶バロック・ヴァイオリンリサイタル:五反田文化センター*8日(日)フィンランド・リコーダー四重奏団 ブラヴァーデ:武蔵野市民文化会館小ホール*11日(水)品川治夫 古希コンサート:近江楽堂*13日(金)ビーロック・オーケストラ:武蔵野市民文化会館*  〃   魂の響き旋律の鼓動2 十五夜によせ...

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2019年8月30日 (金)

「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」:壁の西側へ跳躍せよ

監督:レイフ・ファインズ出演:オレグ・イヴェンコイギリス・フランス2018年 冷戦時代、ヌレエフ亡命の顛末を描く。単なる「事件」ではなく、貧しい少年時代、バレエ学校、パリ公演の3つの時代を並行しつつ彼の内面に迫っていく構成だ。注意深く見てないと学校時代と公演直前がゴッチャになる可能性がある。 彼の強烈な自負心と背中合わせの劣等感に驚かされる。ただ、実際のヌレエフは憎めない「人たらし」だったようで、そこら辺の描写はあまりない。それと、セクシュアリティの描写は妙に曖昧なのはどう...

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