2021年4月14日 (水)

「ウルフウォーカー」/「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」:異種族との接近遭遇

「ウルフウォーカー」(字幕版)監督:トム・ムーア、ロス・スチュワート声の出演:オナー・ニーフシーアイルランド・ルクセンブルク2020年 秀作アニメを生み出すアイルランドのカートゥーン・サルーン長編第4作目である。内容をかなり乱雑にまとめれば、アイルランド版「もののけ姫」といったところか。絵柄が超個性的だ。中世絵画風の立体感なしに描かれる町の遠景や城内。対して森はケルトの渦巻き文様に彩られた生命にあふれている。 舞台は17世紀半ばの英国統治下のアイルランド...

» 続きを読む

| |

2021年4月 9日 (金)

「音楽の夜会」:正体不明でも満員御礼

演奏:アンサンブル・クォドリベット会場:近江楽堂2021年3月31日 内容やメンバーについてよく分からないままとりあえず聞きに行ってみた。当日渡されたプログラム見ても詳しいことはほとんど掲載されてない。総勢9人のメンバー名もアルファベットでだけ記されているのみで経歴などもない。わざと最低限のことしか載せなかったとのことである。 テノール兼解説役の話で開始。まずはバッハ作品でチェンバロ、チェロの独奏から始まって段々と人数を増やして器楽アンサンブルへ。そして歌手が加わってヘンデ...

» 続きを読む

| |

2021年4月 5日 (月)

「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」/「ラスト・ワルツ」再見:共同幻作

「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」監督:ダニエル・ロアー出演:ロビー・ロバートソンカナダ・米国2019年 ザ・バンドについては完全に門外漢だけど見に行っちゃいましたよ。ロビー・ロバートソンが過去を振り返るドキュメンタリーである。 自らの生い立ちから始まり、ロニー・ホーキンスのバンドに参加、レヴォン・ヘルムと知り合って独立してバンドを結成し、やがてボブ・ディランのツァーでバックを担当する。御存じの通り、このツァーはどこへ行ってもディランがブーイングでヤ...

» 続きを読む

| |

2021年4月 1日 (木)

古楽系コンサート情報(東京近辺、随時更新)4月

「古楽系コンサート情報(東京近辺、随時更新)」4月分を更新しました。←左のサイドバーからご覧ください。実際の開催については必ず確認してください。...

» 続きを読む

| |

2021年3月28日 (日)

「フランスバロックの粋 美の陰影 2」:終焉の暁

演奏:高橋奈緒、福澤宏、山縣万里会場:近江楽堂2021年3月19日 久し振りのコンサートである。この「粋」シリーズ、第1回目がドイツバロックでこれが3回目らしい。私は初めて見参した。(聴参?) ヴァイオリン+ガンバ+チェンバロという王道の組み合わせで、クープランからラモーへ、後期フランス・バロックの道筋をとたどっていくものだった。フランクールという作曲家になるとバロックからロココ調への変化を感じ取れる。そのヴァイオリン・ソナタにフランス革命前の栄光の残滓を受け取れるのであっ...

» 続きを読む

| |

2021年3月26日 (金)

「ストレイ・ドッグ」:怒りをこめてぶち壊せ

監督:カリン・クサマ出演:ニコール・キッドマン米国2018年 ニコール・キッドマンがアル中やさぐれ中年刑事になって薄汚れたLAの街を徘徊する。そのやさぐれ度・ヨレヨレ度が中途半端ではない。「え~~っ あのニコールが。うっそーΣ( ̄□ ̄ll)ガーン」という衝撃が発生するほど、まるで別人だ。 しかし、かといって超人的な活躍をするヒーローというわけではない。ひたすら地べたを這いずり回るように捜し歩く。あまりに強引な無法刑事ぶりにはビックリだ。他者も自分も顧みるこ...

» 続きを読む

| |

2021年3月21日 (日)

「マーティン・エデン」:進むも後悔戻るも絶望

監督:ピエトロ・マルチェッロ出演:ルカ・マリネッリイタリア ・フランス・ ドイツ2019年 原作は作者J・ロンドンで舞台は米国、それをイタリアに移して映画化したものである。文字もろくに読めぬ無学な船乗りの若者がブルジョワ階級のお嬢様と知り合い、知識と教養を身に付けて変貌していく。作家を志して苦労の末に人気と富を得るが、結局は幸福ではなく虚無にとらわれるというストーリーだ。 港町ナポリを舞台にし全体に古めかしい印象で、見る者がネオレアリズモを想起するような画作りになっている。...

» 続きを読む

| |

2021年3月13日 (土)

「大塚直哉レクチャー・コンサート 5 フーガの身体性」:同じバッハなら踊らにゃソンソン

オルガンとチェンバロで聴き比べるバッハの”平均律”出演:大塚直哉、小尻健太会場:彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール2021年2月14日 ついに5回目となったこのシリーズ、今回は平均律第2巻の7~12番である。今年度は異なるジャンルのゲストを呼ぶという趣向で、ダンサー小尻健太が共演だった。この人のことを全く知らなかったが、少し後にさい芸で公演を行うとのこと。これまでのこのシリーズよりも客席に女性や若い人が多かったのは、彼のファンが来ているからのようだった。(なお客席は市松模様で...

» 続きを読む

| |

2021年3月 9日 (火)

映画落ち穂拾い ケナしてスマヌ編

映画人が心血注いで作った作品でも詰まらない時がある。万人がほめたたえる映画でも「金と時間を返せ(>O<)」と言いたくなることもある。ケナしてもいいかな(^^?だって超弩級の映画史に残る傑作も、思い出したくもないZ級以下の駄作も、払うお金はみな同じ。面白くなかったら面白くないと言わせてちょーだい。ケナしてゴメンね。 「異端の鳥」監督:ヴァーツラフ・マルホウル出演:ペトル・コトラール チェコ・ウクライナ・スロヴァキア2019年 第二次大戦中、東欧...

» 続きを読む

| |

2021年3月 7日 (日)

「小池百合子 権力につかれた女」

ドキュメント東京都知事の1400日著者:和田泰明光文社新書2020年 著者は「週刊文春」の記者だそうである。都庁や都議会の取材を続けているとのことで、あの『女帝』とは異なる観点から描いているのではないかと思って読んだのだが…… 内容は都知事に立候補するあたりからのことだが、大部分が国会の方も巻き込んだ政治家同士の勢力争いなのには驚いた。こんなに勢力争いに力と時間を費やしているのでは、都の政策を立てて計画・実行する暇なんかないのではと思えるほどだ。誰それと...

» 続きを読む

| |

2021年3月 1日 (月)

アンサンブル・クセノス第2回演奏会「Vanitas vanitatum 空即是色」:異次元のジェズアルド

イタリアルネサンスの不協和的情感会場:日本福音ルーテル東京教会2021年2月9日 やって来ました~、平日夜の新大久保  さすがに緊急事態宣言下とあって新大久保にしては格段に静かであった。まあそれでも他に比べれば賑やかな方ですかね。久し振りのルーテル東京教会であります。でも以前のような長椅子一つに5~6人というようなことはなく、市松模様配置の座席になっていた。 アンサンブル・クセノスは櫻井元希が中心になって始めた5人組声楽グループとのこと。皆さん、ソロで堂々...

» 続きを読む

| |

2021年2月24日 (水)

「メイキング・オブ・モータウン」:音楽と産業、その深い仲

監督:ベンジャミン・ターナー出演:ベリー・ゴーディ、スモーキー・ロビンソンほか米国・イギリス2019年 米国はデトロイトの地に発するモータウン・レーベル。創始者ベリー・ゴーディJr.がスモーキー・ロビンソンと共に爺さん漫才して笑わせつつ、その音楽とビジネスの歴史を語るドキュメンタリーだ。ゴーディが頑固オヤジ風なのに対して、ロビンソンの喋り方がなんとなくオネエっぽいせいもあって対照的でいいコンビである。テンポよく進み……進み過ぎて全く知識のない人には付いていけない可能性はある...

» 続きを読む

| |

2021年2月22日 (月)

「ダンサー そして私たちは踊った」:明日なき舞踏

監督:レヴァン・アキン出演:レヴァン・ゲルバヒアニスウェーデン・ジョージア・フランス2019年DVD鑑賞 個人的にはほとんどなじみがない国ジョージアが舞台。ジャンル分けしたら青春ものプラス、ダンスといったところか。伝統的な民族舞踏があり、その舞踏団の研修生たちと同性愛を絡ませて、社会に充満する因習と閉塞感からの解放を描いている。なので公開当時はかなり物議をかもしたらしい。ちなみに監督はスウェーデン系ジョージア人とのこと。 国立の舞踏団だというのに床は剥げてるし手すりは壊れて...

» 続きを読む

| |

2021年2月21日 (日)

「真夏の夜のジャズ」:真昼のヨットハーバーにモンクの硬質なピアノが流れるのだ

監督:バート・スターン、アラム・アヴァキアン米国1959年 コンサート映画の名作としてよく知られるドキュメンタリー。これで4回目のリバイバル上映だそうだ。ジャズは門外漢なので今回初めて見た。1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルに加え、同時期に行われたヨットのレース場面、そして風光明媚な港町の光景が並行して(バラバラに)収められている。 一番驚いた点は「なぜにチャック・ベリーが出ているの?」である。当時だとまだジャンル分けが緩いのだろうか。バックのベテラン・ジャズ...

» 続きを読む

| |

2021年2月20日 (土)

「スウィング・キッズ」:前半よいよい後半はこわい

監督:カン・ヒョンチョル出演:D.O.、ジャレッド・グライムズ韓国2018年DVD鑑賞 朝鮮戦争中、米軍が管理する捕虜収容所あり。対外メディア向け宣伝のために、捕虜の中でダンスチームを結成させて踊らせようとする。任務を任されたのはタップダンサー出身の黒人兵士である。というわけで、定番『ロンゲスト・ヤード』風にまずダンスできそうなヤツをスカウトすることから開始だ。 デコボコなチームがなんとか息を合わせ晴れて踊りまくる--という感動系ドタバタコメディかと思って見ていると大間違い(...

» 続きを読む

| |

«「リコーダー・コンチェルトの夕べ」:笛吹く門には福来たる