痕跡(東京国立近代美術館)
サブタイトル:戦後美術における身体と思考
期間:1月12日~2月27日
これは面白い。見て損無し!保証つき!バンバン(←太鼓判を押す音)
内容は一言で紹介するのは難しい。何事かをやった、あるいはやり続けた--という行為そのものが(物体としての作品ではなく)アートである、というような「作品」を集めた展覧会である。従って、作られたという記録はあっても作品そのものは残っていないものも多い。
行為としては瞬発性のものと反復性のものとに分かれるが、前者はハプニングやアクション・ペインティング、自動書記であり、後者は偏執的・粘着的なミニマリズムの極みみたいな感じになる。
前者で面白かったのはガラスを重ねて衝撃を与えてヒビを入れた作品。美しくて、しかも暴力的な痕跡がクッキリハッキリ示されている(しかも美しい)。絵の具瓶をカンバスに投げつけたりしたのは個人的にはあまりそそられなかった。後者は地図の上にトレーシングペーパーを重ねて5回コピーしたヤツが面白かった。それと、頭髪を「半刈り」にした男の記録--これはすごい。そのまま普段は会社員として生活していたというのだから、まさしく「生活はアートだ」を実践している!
それ以外では脚立の「影」を作品としたのもよかった。
日本の「具体美術協会」がかなりのパワーを有していたらしいのはここで見ていても実感できた。芦屋市のコレクションはどうなってしまうんだろか、思わず心配。
よくコンセプチュアル・アートなどで作品に全く説明がないと訳ワカラン状態になってしまう事が多いが、今回は全て詳しい説明が付いていてよく分かった。--が、詳し過ぎて難し過ぎて読むのに時間がかかってしまうのが難。あと「フォンタナよりも強度がある」と書いてあるが、強度がどちらの作品にあるかを決めるのは客の方だと思うのだが? それから河原温が出品拒否したのは(と書いてあったと思う)何故だ。
ともあれ、説明書きのせいもあって見るのに結構時間がかかって最後は駆け足になってしまった。二時間ぐらいかけてじっくりと見てみたかったところだ。
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