「スーパーサイズ・ミー」
監督・被験者(←とチラシにある):モーガン・スパーロック
米国2004年
予想よりも意外とまともなドキュメンタリーであった。(と、他の人の感想を見てもこう書いている人が多い) マイケル・ムーアのTVドキュメンタリーのような大笑いできるものを期待すると肩透かしを食うだろう。そうなのだ、こいつはマクドナルドを訴訟した二人の少女に便乗したおふざけではなくて、真面目に食生活について考えるドキュメンタリーなんである。むしろ、入門編としてよくここまで分かりやすく面白くできたとほめなければならないだろう。
中で紹介されている学校の食堂の実態には驚かされるが、『ファストフードが世界を食いつくす』(エリック・シュローサー/草思社)という本にはもっとスゴイことがでてくる。公立学校の学区が予算を削減されたために仕方なくファストフード企業と契約して資金援助を受ける。校舎の廊下やスクールバスや学校新聞に広告を出し、スポーツの試合中に拡声器で宣伝を流し、その切符にも広告を刷る。企業提供の安い教材を使い、重役が経済学の講義を行ない、企業ロゴの人文字コンテストを開催する。学区内の年間売り上げのノルマがあり、それを達成しないとカネを減らされてしまうのである!
さらに別の章では、ハンバーガーを「おいしい」と感じること自体、もはや虚構であることが暴露されている。いやはや、恐ろしい……。
もっとも日本でも程度の差はあれ似たような事はあった。とある県立高校で生徒が出す缶、ビンのゴミを地元の自治体が回収してくれないので、仕方なくゴミを引き取ってくれる某社の飲料水の自販機を校内に設置したのだ。家庭科の授業では名指しで「健康に悪いので飲んではいけません」と某社の製品について言ってるのにさ。
あと、他の人の感想では「どうせ日本では関係ない」というのが多かったが、そんなことはないだろう。ペットボトルや缶入り飲料なんて砂糖の塊としか思えないほど甘いのが多い。最近ではコンビニ食が問題になっているようだ。
--と色々考えさせるだけでもこの映画の効果はあったということか。
それにしてもスパーロック氏、実験開始前はかなりの健康体ですねえ。私なんかコレステロール値が……(トホホ)
主観点:7点
客観点:8点
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