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2005年3月 2日 (水)

「子どもが減って何が悪いか!」(赤川学)

筑摩書房(ちくま新書)2004年
700円

少子化の言説を統計データをチェックすることで再検証した本。書名の感じとは裏腹にかなり数字がグラフが出て来るので、いささか文科系人間には厳しいものがあるが、内容的には目からウロコが落ちる所が多い。
前に著作権法改正騒ぎの時に、国会に出されるような数値でもいい加減だったり恣意的に使用されていることを知ったが、この本でも少子化について同様の数値の使われ方がされているのを証明している。

結果、子どもが減る要因としては女性の高学歴・高年収、都市居住、従業(フルタイムでもパートでも)であり、影響しない要因は世帯年収、職種、母・姑同居、夫の家事参加となる。そこで、男女共同参画社会として言われているような子育て支援や家事の負担の減少では少子化の対策にならないし、そもそも男女共同参画と少子化は関係がないということを明らかにしている。
その上で、著者は今さら時代を逆行させるわけにもいかんし、どうしたらよいのかということを提言している。
当然、男女共同参画の立場の人からは批判されそうな内容であるが、なるべく誤解されないように、また逆の立場の人たちからも利用されないように、双方にかなり気を使って書いているようだ。(ご苦労さまです)

同じ著者の『性への自由/性からの自由』は以前大変面白く読んだ(特に「ワイセツ」とは近代以降の産物である、という事など知って納得)。この本も統計と言説のズレを明確にして面白かったです。

ただし、あとがきの最後のページは言わんとすることは分かるが、なんだかロマンチック・ラブ系の感慨で「なんだかなー」と思ってしまった。こんな事言ってたら、永遠に結婚できまい。
さらにこのインタビューの4ページ目はかなり異議あり!「ソースを出せ、ゴルァ」とか「統計で証明できるんですか」などと言いたくなってしまう。脇が甘いのは要注意、である。

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コメント

>永遠に結婚できまい。
ですから結婚しない人ばかりになって、子供が減っても良いと赤川先生は言ってると思います。

投稿: goldius | 2007年6月25日 (月) 11時25分

ご本人自身は結婚しなくても構わないと思ってるんですかねえ。(謎)

投稿: さわやか革命 | 2007年6月26日 (火) 06時44分

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