「アレキサンダー」
監督・脚本:オリバー・ストーン
出演:コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー他
米国・イギリス・ドイツ・オランダ2004年
アレキサンダー大王がいかに権力を奪取してさらに版図を広げて行ったか、そしてその追いまくられてるような行動の背景に何があったのか?……という事で、これは時代と場所は異なれど「ニクソン」系の話である。最後にその意識は混乱し王国と自身の死を迎える。ここら辺もよく似ている。
ただ、ほとんど母親と父親との関係についての描写が多くて、実際のところ彼が何をやったのかとか、何を目的にしていたのかというのは今ひとつ分からん。
『遺跡が語るアジア』(大村次郷/中公新書)という本を見てたら「アレキサンダーのためにゾロアスター教徒は現在五千人しかいない」とかペルシャの都市を略奪しまくった話とか出て来て、「スゴー(!o!)」と思ったけど、そういうエピソードや描写はこの映画には出て来ないのであった。単に遠方の土地をゾロゾロ歩いているような印象しかない。
ジャレッド・レト扮する腹心との友情以上・同性愛未満の関係の描写もなんだか奥歯に物か挟まったような曖昧さではがゆく、もうちっとハッキリしてくれい、と言いたくなる。
ただ、戦闘シーンは迫力あり! 土煙がもうもうとして敵の姿もよく見えないところなんかは、昔の闘いはそんな感じだろうなと納得させるものがあった。アレキサンダーが軍勢の前で檄を飛ばしている場面は、予告で見た時は『ロード・オブ・ザ・リング』の同じような場面に完全に負けていたが、本編で見るとそうでもなかった。
それにしても、アンジェリーナ・ジョリーの母親はコワイ。こんなにコワくっては最果ての地まで逃げたくなる気も分からないでもない。ギャ~ッ(>O<)
それから、こちらは『ロード・オブ・ザ・リング』より遥かに恐ろしい「じゅう」!じゃなかった、インド象の襲来!!いや~、これも怖いわ。この時の恐怖の記憶が二千年の時を越えてトールキン教授に「じゅう」を書かせたのであろうか、ってなもん。そのぐらいに恐ろしいのである。
しかし、この映画の一番の見どころはいわゆる「オリエンタリズム」--誤解された東洋の描写であろう。なんか全体におかしくって、ムズムズしてしまい、くすくす笑いをしたくなるような「変」さなのである。
とはいえ、やっぱりこの暴力オヤヂ監督の作品を、出来がどうあれ好きなんだなーと思ってしまうのであった。
ところでジャレッド・レトもジョナサン・リース・マイヤーズも同じく軟弱系二枚目なのに、後者の方が悪役専門みたいになっているのは何故だ?!
主観点:7点
客観点:5点
| 固定リンク | 0
コメント