「アビエイター」
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット
米国・日本・ドイツ2004年
オスカーを取り損ねて余計に話題になった観もあるスコセッシの新作。
ハワード・ヒューズって紹介記事の略歴で見ると、かなりの二枚目で、金持ちのボンボンで飛行機飛ばすわ、映画好き勝手に作って女優と浮き名を流すわ、色んな技術を開発するわ、企業買収はするわ、国とケンカはするわ、とまるで時代の寵児というかスーパースターというかすごいド派手な活躍をした人ではにゃあの!
そういう人物の裏面は悲惨で孤独で……という所がまた面白いのだろうけど、実際にこの映画では華やかな面と同時に悲惨な面を出しちゃっているんで、見ているとあんまりスター的な感じがしない。最初から惨めな人なんだなあと思ってみてしまうので、彼の活躍を見てもワクワク感はない。
つまり、この映画のヒューズは憧れの対象とかカッコエエとか思われる部分をすっとばして、いきなりカワイソウな変人になってしまっているのだ。だから、見ている側はどうにも感情移入できないのである。
ハリウッドの描写にしても、いきなりジュード・ロウ扮するエロール・フリンはおバカだし、レッドカーペットでは細菌攻撃して来るし--。ハリウッドバビロンの腐敗たって、腐敗の表面は華やかだから面白いと思うんだが。
ただ、空中飛行場面や事故の場面は見事。感心した。
見てて詰まらないとは思わないが(冗長と思う人はいるだろうが)、あまりにも見ているうちにウツウツとした気分になって来る。ということで、精神的に落ち込んでいる状態のときにはオススメできない。
そもそもオリバー・ストーン向けの題材である。『アレキサンダー』と交換すれば良かったかも。
それにしても、企業買収に新規参入、談合、汚職--今もやってることはあんまり変わらないんだねえ。
脇役は盛り沢山で豪華。ジュード・ロウやウィレム・デフォーは瞬間芸並みの登場時間だ。事前に知らなかったが、イアン・ホルムはしょぼくれた学者役。それから、後でスタートレックTNGのデータ役ブレント・スピナーが出ていると知ったが、全く気付かなかった。飛行機の売買の場面の重役か?
悪役のアレック・ボールドウィンやアラン・アルダはもちろん、祝オスカー獲得のケイト・プランシェットはさすがに良かった。ただ、主役のディカプリオは……他の作品でオスカーを目指して頑張って下さい。
スコセッシについては、次作の『インファナル・アフェア』のリメイク、そして遠藤周作の『沈黙』に期待。特に『沈黙』はどうなるか今から楽しみだ!
主観点:5点
客観点:7点
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