「バッド・エデュケーション」
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルティネス
スペイン2004年
いや~、これは怪作である。
この監督の映画は『欲望の法則』の公開時に見たきりだ。チラシには「人間の純粋さと欲望、裏切りと永遠の愛を描く」と書いてあり、それで見に行ったんだが--全然違った。
もっとも、前半まではチラシの文章通りに話は進むんだけどね……。
昔の同級生を名乗る男が新進監督の前に現われる。男が持って来た小説(?)には学校時代の二人の物語が語られており、さらに教師であった神父の背徳行為も綴られている。そして、さらに後年、成長した少年が神父に復讐しようとする話が重なる。
ここでの回想は緊張感に満ちた「禁断・背徳・官能・純粋」な関係性の物語--言ってしまえば耽美~の極致な物語だ。
だが、後半に至ってそれらは全てひっくり返されてしまう。美しき背徳の話はあっという間に、なにやら東スポのゴシップ記事のようにウサン臭げで怪しげなものに変貌する。そして、右往左往する登場人物たちの行動をボー然と眺めているうちに全ては終わってしまうのであった。
実際見ていて、一体何が真実なのかというのはよく分からない。回想部分もどこまで事実なのかははっきり語られていない。(監督が男の原稿を読んで喜ぶのは回想だからではなく、作品としてよく出来ているからである) 信じて観ていると観客の方がバカを見るというようなアヤしい、虚実が入れ子状態になった作品なのだ。
あまりにもウサン臭いのでエンド・クレジットの間大笑い(^○^)--は出来ないのでニヤニヤ笑いが止まらなかった。
純愛話よりも怪しげな話が好きな人に推奨。
ただし、ホモ気満載なのでそれに耐えられない人は避けた方がいいだろう。
G・G・ベルナルはある時は失業中の役者、またある時は女装のゲイ人、はたまたある時は健全な学生……と七変化ほどではないが四変化ぐらいの大活躍。彼とF・マルティネスが登場すると観客の約60%を占めるフ女子(当社推定比)の視線がグサグサとスクリーンに突き刺さるのが感じられるのであった。(^=^;
それにしても、良作よりもこういう怪作を見た方が元気が出てしまうのはどーいう事であろうか。
主観点:7点
客観点:8点
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コメント
おくればせ、私も観ました。
うむむ、妖しい。女性と見紛うホモじゃなくて、どうみても男っ気が抜けないからますます妖しい。目が画面に釘付け。
ストーリーは、わかったつもりなんですが、もしかして解釈のしかたがいろいろ分かれるのだろうかとか思ったりしました。
パンフの表2・表3の画面いっぱいの薔薇の花には悩殺されました。
投稿: しの | 2005年5月30日 (月) 01時03分
しのさん、コメントありがとう \(^o^)/
|女性と見紛うホモじゃなくて、どうみても男っ気が抜けないから
むむむ、鋭い……。
解釈はどうなんでしょうか。パンフは買わなかったんですが、色んな解釈が載ってるのかな。
投稿: さわやか革命 | 2005年5月31日 (火) 06時19分