クイケン兄弟2連発
○ヴィヴァルディの夕べ
クイケン・アンサンブル(クイケン3兄弟、ロベール・コーネン、マルレーン・ティールス、寺神戸亮)
会場:王子ホール
2005年6月2日
先月は三つのコンサートのチケットを買っていながら行くことができなかった。その内の二つは仕事のためである。コンサートのチケットの売り出しは何ヶ月も前から始まるのに、どーして仕事の予定は一ヶ月前にならなければ分からないのかっ!(怒)
ということで、何が起ころうとも絶対に今月のコンサートは行こうと固く決意した次第である。
さて、三兄弟そろっての公演はなんと18年前の初来日以来だという。だとしたら、私は初めて三人揃っているのを見る訳だが、あまりそういう気はしない。単独や二人の組み合わせで何回も見ているせいだろうか。
それにしても平均年齢は高い。寺神戸亮が若いけど(40代)それ以外はいつ舞台の上で楽器を取り落としてパッタリ倒れてしまってもおかしくはない(-_-;)と緊張感にハラハラドキドキしっぱなし……というのはもちろん大げさである。ただ、R・コーネンは赤ら顔で血圧高そう~に見えたのは事実だ。
しかし、年齢層の高さでは舞台上よりむしろ舞台下の客席の方に驚いた。見回すとかなりの率で白髪頭が多い。ほとんどが中高年以上である。さすがにこれほど白髪率が高いのは見たことがない。クラシックのコンサートに若い人が来ない、という事が言われているがこれほどまでとは驚いて不安になってしまった。
さてこの日はオール・ヴィヴァルディ・プログラムで、実に楽しみにしていた公演である。ヴィヴァルディというと、やたら『四季』ばかり演奏されてこの手の曲はなかなかやってくれない。この日のチケットを買うために、わざわざイープラスに加入したほどだ。
『チェロ・ソナタ』はこれまで聴いたことのあるA・ビルスマや鈴木秀美とは全く違った弾きぶりであった。
通奏低音がないという珍しい『協奏曲ニ長調』はヴァイオリン二台とチェロだけで演奏されて、とても面白かった。
それからおなじみ『ラ・フォリア』はヴィーラントのチェロが目を引いた……じゃなくて、耳を引いた。この曲は、録音だとチェロはそれほど聞こえて来ない(私の装置が悪いんか?)が実演で聴くと、二つのヴァイオリンと拮抗するだけの冴えた動きがあるので驚いた。
フルート協奏曲になると末弟のバルトルドが入って来て演奏。しばらく見ないうちに髪の毛が白くなっちゃってビックリ。まだ50歳代のはずだよね--(ってどうでもいい事か)。
それにしても、通して聴いてみてヴィヴァルディの作品というのはどのような形式の曲であっても受けが良くノリやすいなあ、と強く感じた。(そこがまたヴィヴァルディに対する評価について誤解を生む理由でもあろう)
アンコールは次の日に演奏予定とおぼしきバッハを2曲。客の拍手は熱狂的で、ロックのライヴでのアンコール時みたいに全員の拍手のリズムが一致してしまったほどであった。私も大満足してスキップしながら(心の中で)帰った。
○ドイツ、イタリアのバロック音楽
クイケン・アンサンブル
東京オペラシティ・コンサートホール
2005年6月3日
年寄りをこんな連チャンで公演させて大丈夫なのかーと思いつつ、翌日、新宿初台に向かう。
客席は昨夜とはうって変わって若い人もフツーにいて安心した。やはり昨日の方が異常事態だったのか。テレビカメラが入っていたが、後日どこかで放送されるのだろうか?
途中で近くに座っていた中年オヤヂさんがいびきをかき始めてしまい、どうしたものかと周囲は一瞬凍りついたが、隣席の女性(オヤヂの知り合いではなく、赤の他人な人だったもよう)がつついて起こしたので安心した。やはり、こういう時は起こすのが礼儀なのね~。
第一曲めは昨夜アンコールでもやってたバッハの『管弦楽組曲第2番』。全部で6人だから、ホントに一パート一人で最低限度の小編成である。
私はどうも『管弦楽組曲』って「分かりにくい」作品という気がしていて、これがイイっ(^o^)bという録音にもめぐり合わず、困っていたものなのだが、この演奏を聴いて初めて納得するものを感じた。特にサラバンドのゆったりしたノリの良さ(矛盾した言い方であるが)には心奪われるものがあった。どこが良かったかといっても言葉にするのが不可能で「 」と空白スペースでしか表せないような何ものかがそこには存在したのである。
続いてシュメルツァー、コレルリ、テレマン、最後はヴィヴァルディ--といっても、昨夜とは別の曲のフルート協奏曲。アンコールは昨晩のプログラムの中から二曲演奏された。コレルリの『合奏協奏曲』は二曲演奏され、それぞれジギスヴァルトと寺神戸亮が第一・第二ヴァイオリンを交代して弾いた。
寺神戸亮は実に安定した弾きぶりで、年齢的にもノリに乗っている時期だなあと思えた。
ネットの感想などを見ると、「ずっと寺神戸さんで第一ヴァイオリン聞いていたかった」とか「ジギスヴァルトもう年寄り過ぎ」などという意見が出ていたのもうなずける。
確かに、今回二人を対比的に聴いてみて、ジギスの演奏は美しくもなく、滑らかでもなく、それどころか音がガサガサゴソゴソしている。おおよそ洗練などという言葉とは縁がない。「ジギスヴァルト下手くそ」説や「モダン楽器だったらとうていプロの水準ではない」論が一般に語られるのも納得である。
しかし、そういう音だからこそ私は大好きだー \(^o^)/とつくづく感じたのであった。
なお、オペラシティのコンサートホールはこういう小編成には大き過ぎ。最初、音が拡散して聞こえた。せいぜい5~600人ぐらいの紀尾井ホールやカザルスホールがいいとこだろう。客の数を入れないと採算取れないというのは分かるが--。
王子ホールは満員御礼、オペラシティもほぼ満員だったので興行側は満足だったろうけど。(でも、大阪は悲惨な入りだったとか?)
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