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2005年7月 3日 (日)

「バットマン ビギンズ」

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベールその他豪華多数
米国2005年

インディーズ系や海外から出て来て注目された新人監督が、ハリウッドの娯楽大作に抜擢されて……されたはいいけどその後鳴かず飛ばずになったり、初期の個性や秀逸さがスッカリ消えて単なる「現場監督」になってしまった例は多い。ちゃんと成功しているのは、近年だとブライアン・シンガーとかロバート・ロドリゲスあたりぐらいか--。

さてクリストファー・ノーランというとやはり何と言っても『メメント』。アイデアはすごかったが、逆にアイデアだけの一発屋なんじゃねーのか?という疑いも濃厚であった。次の『インソムニア』はリメイクだし、そもそも中心の二人の俳優が大物過ぎ(R・ウィリアムズのヌエ的な犯人像は迫力あったが)。「バットマン」なんて大作シリーズやって大丈夫かいなという感じである。

ということで、この映画も全く期待しないで見に行った。いやそもそも見に行こうかどうか迷ったぐらいだ。一応、大昔のTV版や過去の四作全部見ているが、だいたいバットマンというキャラクターに思い入れが全くないし、世評の高いティム・バートン版もバートン監督自体今イチ合わない所がある。もう見なくてもいいかなーという感じだったが、それを見ようと思ったのは結構評判がよさそうだったのと、後で述べる理由のためである。でまあ、職場で貰ったタダ券で足を運んだのだった。
さて、結果はどうだったかというと--

いや~、すごーく面白かった! \(^o^)/

最近では珍しいくらいワクワクして見てしまったぞ。タダ券どころか普通料金払ってもオツリがくるぐらい。

そもそもバットマンものを見てていつもノレなかったのは、「な、なんでコーモリなのよ?」とか「いい歳こいた男(おまけに大金持ち)が夜な夜な何やってんじゃ?もっとまっとうな生活をしなさい(説教モードに入る)」などという基本的な疑問がふくれ上がってくるため。それに小道具やら車やらコスチュームやらのフェティッシュな面も個人的には興味ないし、地下の基地も(よくある設定だが)なんだか子どもだましな印象だ。

しかしである。この映画の中ではそれらの疑問・反論・イチャモンに全て納得の行く回答が用意されていたのだ。なぜ富豪がコーモリの格好して闇夜を徘徊して悪者を倒して回らなければならないのか、よーく理解が出来た!
そして、小道具や衣装・装備のこだわりもニンジャが原型となれば、なるほどと頷ける。子供の頃、マンガの「サスケ」や「伊賀の影丸」の忍術解説部分をワクワクしながら読んだのを思い出した。その他、内なる恐怖を逆手に取るとか、闇を利用して襲撃するなども、いちいち納得であった。
もし、『スター・ウォーズ』えぴ1&2がこれぐらいの出来だったら、もう「ルーカスは神!」と土下座しちゃうくらいなんだが……頼むよ~、ルーカス(泣)

それから、脚本も良かった。少年時代の主人公の前に二人の警官が現われるが、一言のセリフで二人の性格の差をはっきり分からせるのは巧かったし、終盤でヒロインが主人公に語る言葉はとてもシビアで痛い。私は見ていてかなり彼に同情してしまった。
ただし、後半のストーリー展開は少し強引すぎな部分があるし、『空想科学映画読本』で突っ込まれそうな場面も多数あり。まあ、見ている最中は気にならない(というか、気にするヒマがない?)ので良しとしよう(大甘)。
ついでに、蜘蛛男とゾンビものの引用もあったようだがジョークかな(?_?)

もう一つの欠点は、どの感想でも指摘されてるが、格闘場面がカメラ近づけ過ぎてゴチャゴチャして訳ワカラン状態な事。もっとも、これは『グラディエーター』を始め最近のアクション物はほとんど共通していることなので、ノーラン監督に限らず、ジョン・フォード映画の殴り合い場面でも見て研究して欲しい。

ゴッサム・シティの街並みはこれまでのレトロっぽい風情とは異なって、現代の都市に近い感じになっている。これを見ると、どうもこの映画のスタッフたちはもう一度「バットマン」をやり直す気ではないかと思えた。
この話はこれまでの四作へとそのまま続くと思っている人が多いようだが、そんなことはあるまい。どう考えてももう一度ジョーカーの話をやり直す気だぞ、ありゃ。

さて、極めて豪華な男優陣であるが、その中でもリーアム・ニーソンが主人公を教え導く役だと聞いて、私は「なんだよ、スター・ウォーズえぴ1そのままイタダキかよ。情けねえなあー(-o-;)」と思ってしまったのだが、実際見てみて納得……というかヤラレタよという感じだった。このキャスティングをした奴には脱帽である。
ルトガー・ハウアーは出演自体、事前に全く知らなかったので途中で気付いてビックリしてしまった。正直言って

ルトさん、やっぱりカッコエエ~ヾ(^^)∧(^^)ヾ ←単なるミーハー

これきりじゃなくて、敵方の企業あたりに再就職して是非続編にも出て欲しい。
もう一人、クレイン博士役のキリアン・マーフィーが目を引いた。色白、軟弱な二枚目でおまけに赤い唇だ! 悪役ならぬ風情である。脳内エンマ帳に書き留めておくことにしよう。
ケン・ワタナベは……こういうのを「チョイ役」というのではないかね。

一方、女優陣はというと、ヒロイン役のケイティ・ホームズのみ。こ、これはいくらなんでもあんまりな話だ。おまけに、別に彼女以外の役者でもいいような感じだし。次はアンジェリーナやニコールを出せまでは言わんから、せめてバーチャンでもオバハンでも女の役をもう少し増やして欲しい。

さて、最後にこの映画を見ようと思ったもう一つの理由だが、それはあの両親ブチ殺し自宅爆発事件を起こした少年が犯行直後に見に行ったのがこれだからだ。
よりによってなぜ『キングダム・オブ・ヘブン』でもなく『戦国自衛隊1549』でも『ザ・リング2』でも『サハラ』でもなく『バットマン ビギンズ』を選んだのか。
主人公のブルースは両親の死の原因は自分にあると考え、自責の念に苦しむ。一方、彼は悪人であっても殺すことはできないという設定である。そのようなヒーロー像を自ら両親をブチ殺したばかりの少年はどういう気分で見ていたのであろうか?

その答えを求めつつ、ずーっとスクリーンを凝視していたのだが、当然ながら答えを発見することはできなかった。いや、見てみて余計に分からなくなってしまったというのが本当のところだろう。
まさに事実は映画より奇なりである。(~_~;)


主観点:9点
客観点:8点


【オマケ】この"Batman Begins"の邦題を最初『バットマン・ビキンズ』だと思ってココログ内を検索したが一件もヒットしなかった。な、なんと中黒の記号がなかったのだ! しかも正しいのは『バットマン ビギンズ』なのか『バットマン ビギンズ』なのか? 普通の雑誌やチラシでは区別がつかんぞ。それに縦書きの文章でも半角ってありか? データベースによっては半角スペースの差によって検索でヒットしないこともあるかも。『バットマンビギンズ』で検索したらどーなる。紛らわしい邦題付けるんぢゃねえっつーの(怒)

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