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2005年7月24日 (日)

私の愛した「スター・ウォーズ」--はもう存在しない!

『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』
監督・脚本:ジョージ・ルーカス
出演:ユアン・マクレガー、ヘイデン・クリステンセン
米国2005年

ハッキリ言おう。私はガッカリした。
いや、もちろん期待していたわけではない。前作の「エピソード2」はヒドイ出来だった。目まぐるしいバトル場面とデレデレダラダラしたラブシーンの繰り返し。主人公はいつも不平不満でいっぱいの小僧だし、ヨーダはどこの誰が作ったかもよく分からんクローン軍を勝手に使っちまうし、あまりに矛盾したストーリーに口アングリ状態であった。当時の自分の感想を見てみると、点数は3点をつけている。

だが、今回は好意的な評が多いので少しはマシになったかと思っていたのだ。点数制の映画サイトを見ると、低い点数を付けているのはごくわずかの人数である。また、ココログで検索してみても、どれもこれも誉めてる感想ばかりだ。批判的なのはこちらの感想ぐらいしか見つからなかった。

信じられん。(=_=;)

★ネタバレ警報発令中★
怒りのあまり、ネタバレしております。未見の方はご注意下さい。


わずかばかりの期待は冒頭の議長の救出劇で早くも粉砕された。この一連のシークエンスはモタモタした流れ、センスのない会話(もしかしてギャグを言ってる?)、棒立ち状態の役者、バカらしい展開で、もう児戯に等しい。
おまけに空中戦の場面は(ここだけではないが)ゴチャゴチャ色んなものを詰め込んで、まるでルーカスは空間恐怖症なのではないかと疑いたくなるほどだ。多過ぎる情報は飽和状態になると無に等しくなるのに。

さらに、各場面で台詞や映像によって伝えられる情報がバラバラで、見ていて混乱してしまう。例えば、アミダラとアナキンの仲は秘密と言ってるわりには公の場で(柱の陰でとはいえ)抱き合ったり、ド田舎の別荘とかならともかく都市のど真ん中のビルのバルコニーなんて衆人環視の場で逢い引きしてたりして、訳ワカランのである。
もし、写真週刊誌なんてものがあったら「元老院議員がエロい衣装で年下のジェダイ騎士をお出迎え!」などとたちまちスクープされてしまうだろう。
てっきり周囲の近い人間は知っているのかと思ってたら、後半でオビ・ワンが知らなかったような事を言ってるのでまた驚いてしまう。

アナキン君がジェダイと議長の板挟みになって葛藤するのも、どうにもよく分からん。板挟みで困っている、という事態が起こっているのは理解できるのだが、どうして板挟みになっているのかその理由が見ててどうにも分からないのだ。政治的な動きが絡んでいるのだろうと考えても、単に生意気なアナキン君が自分を認めてくれない!と駄々をこねているようにしか見えない。だから、ダークサイドに至る過程もどうも説得力がない。
いや、言い直そう。説得力はある。あるが、それは主人公がどうしようもない愚か者だという「喜劇」としてである。事前に喧伝されていたような「悲劇」としてではない。

それに対するジェダイ評議会の態度も理解できない。「怪しい」とか疑ってるヤツにどうしてスパイやらせようとするかね。ここから出せる結論は、ジェダイ達もまた愚か者の集団である、という事だけだ。
家に帰ってからビデオにとっておいた『鋼の錬金術師』を見たら、よっぽどこっちの方が主人公のギリギリの葛藤と危機をうまく描いていていて、愕然としてしまった。どーしてこうなる? あー、もうガックリだよ。泣ける(T_T)

その他、例をあげればきりがない。ストーリーの整合性の無さ、人物の感情の不自然さ、どうにも理解しかねる行動……。
それらの間に長いバトル場面が挿入される。で、他の戦闘に力入れ過ぎたのか、もっとも重要であるはずのジェダイ虐殺の短くてあっさりしていること! もうあっという間、である。あのー、ジェダイってちっとは強いんじゃなかったんですかっ、どうしてそんなにあっけないんですか(>O<)と問い詰めたくなっちゃう。
ついでに、R2-D2は大活躍なのに、C-3POはウロチョロしてるだけなのも気に食わんぞ、ゴルァ。

見てて唯一、良かったのはヨレヨレに負傷したアナキン君がダース・ベイダーのマスクを装着する場面であった。あそこはいかがわしくて、思わずドキドキワクワクしてしまった。元々、旧三部作での皇帝とダース・ベイダーの関係をSM的解釈している批評があったが、正しくそういう印象である。女とのラブシーンはデレデレしてるだけでどうしようもないが、こういう所はルーカスの暗黒面の面目躍如といえよう。
それから、J・ウィリアムズの音楽も良かった。今までなぜか、彼の仕事をいいと思ったことは無かったのだが、今回ばかりは感心した。彼の音楽が無かったら、無味乾燥な紙芝居を眺めているだけになっていただろう。


まあ、これが単体の作品なら「詰まんなかった」で終わり、で済む。
だが、これは「えぴ4~6」に続くのだ。そうすると、矛盾が色々出て来てしまう。一番、大きな矛盾はレイアがルークに母親の記憶について語る部分だろう。もっとも、ルーカスはそのうち「決定版」なんてのを出して、この場面を削除してしまうかも知れん。
いや、それどころか既に「えぴ6」のラストで出現するアナキンのオヤヂ化したジェダイ姿を、DVD版では若いアナキン君に差し替えてしまったというではないか! 過去の「えぴ4」の改定に始まり、どんどん訂正していってしまうつもりだろうか。
なんということだ……もう私が昔見た『スター・ウォーズ』は残っていないのだ。

そして、何よりもこたえたのはあの!希代の悪役ダース・ベイダーの中身が、なんと不平不満だらけの分からず屋の青二才だったということである。そして、全ての始まりが分別のない若夫婦の自分勝手な行動だったとは--トホホ。(x_x)
これだったら、謎は謎で知らない方がまだよかった。

「えぴ3」から「えぴ4」につながってハッキリした事は……
ヨーダもオビ・ワンもアナキンも実はみんなみんなDQNだった。
かつて熱狂した『スター・ウォーズ』は、もうこの世界のどこにも存在していない。

あー、もうガッカリだ。_| ̄|○ 


主観点:2点(もちろん、10点満点でだよ)
客観点:4点

【追記】
こちら↓の感想もありました。遅まきながらトラックバック--しようとしたらなぜか出来ないのでリンクだけさせていただきます。
神話に著作権者はいない。~「バットマン」と「スターウォーズ」~

【オマケ】
字幕版を見たのだが、なんだか訳の分からないセリフ、辻褄のあわないセリフが幾つか出て来た。頭をひねっていたら、最後に出て来た字幕担当者の名前を見て納得。またもや!冥王の回し者こと「あの人」ではにゃあの。もはや日本の映画界も完全にダークサイドに落ちているようである。なんとかしてくれよ。

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