NEC古楽レクチャー「バッハのモテット」
内容:声楽アンサンブルの伝統と奥義
鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン
会場:東京オペラシティ リサイタルホール
2005年7月11日
年に数回、NECは古楽関係のレクチャー・コンサートをやっていて、BCJの鈴木雅明も年に一回ずつ担当している。今回は7月末のバッハのモテットの演奏会に合わせたものである。
内容は毎回濃ゆくて、ほとんどの人がペンを片手にメモを取りながら懸命に聞いている。ホールはほぼ満員御礼であった。
バッハより前の世代のモテット(葬式などの機会音楽でしかも声楽アンサンブルの曲、カンタータとは違う)を解説、そしてその古い手法を意図的にモテットやカンタータで使用しているとのこと。
意外だったのは、完全なアカペラ合唱が盛んになったのは19世紀に入ってからで、バッハには合唱だけの(器楽を使ってない)曲はないそうである。
後半では実際の曲(BWV227)をの歌詞と楽譜を示して解説し、さらに実演を聞いてみる。聴衆も配られた楽譜とにらめっこだ。
ここでもまた驚いてしまったのが、テキストの内容(聖書から取られている)に合わせて音型やリズムが細かく沿うように作曲されている事。ホントに細かいんである。
曲の終盤の「聖霊 Geist」の一節が「肉体」との対照で強調されて作られているところなど、なるほどと納得した。ここまで細かく色々と検討してみて、初めて曲の構造と意図がようやくハッキリとしてくる。
日常で楽譜など全く眺めないようなトーシロの人間にとっては(演奏会でたまに楽譜を見ながら聴いている人がいるが)、非常にタメになったレクチャーであった。ボーッと流し聞き、どころか単に歌詞を眺めていても容易には分からない事だ。また一つ賢くなった気分。2500円のモトは完全に取れた感じだ。
ただ、例の如く鈴木雅明は後半時間が足りなくなって駆け足状態になってしまい、終了時刻は予定オーバーであった。毎回同じでこりないのう。(^^)
モテットの演奏会が楽しみだ。
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