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2005年7月15日 (金)

「ラヴェンダーの咲く庭で」

監督・脚本:チャールズ・ダンス
出演:ジュディ・デンチ、マギー・スミス
イギリス2004年

#名も知ら~ぬ遠き島より流れ着きたる男ひとり~
時代は大戦前、英国はコーンウォールの岸辺の家にのどかに暮らす姉妹二人。ある嵐の翌朝、岸に正体不明の二枚目の若いにーちゃんが打ち上げられているのを発見する。おお、これこそ往年の猫十字社の言い回しを流用すれば、「美青年がネギと鍋をしょって表われた」状態ではないか!
テキパキとしたしっかり者の姉に比べ、これまでラブロマンスにも縁なくマタ~リと日々を送って来た妹は、そのにーちゃんにのぼせ上がり一目でホの字になってしまったのであった。大昔の少女マンガならば、バックに華麗な花が開いて瞳に星輝きハートは真ピンクと化してドキドキと鼓動するであろう。

だが(=_=;)その恋には大きな障害があった。
なにせ彼女はチビでブスでドジでド近眼
……じゃなくて、なんと七十代のばーちゃんだったのである!
これはいかんともしがたいことだ。2ちゃんねるの毒女スレに相談しても解決できないだろう。できるとしたら、神様ぐらいのものだ。

例の記憶喪失の「ピアノマン」騒動と類似していると騒がれて、にわかに注目された作品である。実際見てみると物語は捻りもなく淡々としていて、予想した通りに結末を迎える。ストーカーな医師のエピソードも、他になんにも起伏がないから無理してくっ付けたという印象だ。
特にはっきりしないのが、青年の設定である。推測するに、戦乱を逃れて米国へ移住しようとして船が難破したということらしいが、いくらヴァイオリンの名手ったって英語も全く出来ないんじゃどーするつもりだったの、と問い質したくなる。一方、姉妹は怪我が回復した後に彼をどのように処遇するつもりだったのか、ということが判然としない。本人の意志を確認するわけでもなく、そのままずっと一緒に住まわせるつもりだったのだろうか? ホントに「記憶喪失」だったらこういう状況もあるだろうが、映画の方はちゃんと記憶があるんだから不自然である。
このせいで、物語は現実感に乏しいメルヘンのような印象になってしまったといえる。

姉妹役のJ・デンチとM・スミスはもちろんだが、家政婦のオバサンを始め村人役の役者がみんな味があってよかった。いかにも英国田舎風な個性ある顔の面々だ。
若者役のD・ブリュールは「中高年の奥様がた百人に聞きました。息子にしたい男優は誰?」で高位にあがりそうな感じだが、基本的にはおとぎ話の王子様的な役なので演技がどうこういうという感じではない。
特にJ・デンチの演技は見事で(当然といえば当然)思わずもらい泣きしてしまったほどだった。(T_T) 役者っつーのはおそろしいもんだのう。

海岸の村の風景、自然の描写、家具や衣装のデザイン、おいしそうな家庭料理などなどすべて見事である。さらに役者の演技もいうことなし!--であるのに今イチなのは、やはり脚本が不十分なせいだろう。映画において脚本が重要かということを如実に示している例である。
あと、肝心の音楽も今イチに感じられた。

観客は老いから若きまで女ばっかりで、カップルがチラホラ。一組だけ中年男性の二人連れがいて人目を引いていた。この女度の高さは『バッド・エデュケーション』以上ではないの。少女マンガならぬ、中女マンガの恋愛ものといった感じだからか。

英国の料理は美味くない、という話を聞くが、この映画の中には料理がいっぱい出て来ておいしそうだった。特に面白かったのはイワシのパイである。パイの中身はいわしなのだが、その表面の皮は海面のように波打っていてイワシの頭と尾の部分が、まるで海面で飛び跳ねているように皮に乗せてあるのだ。
ただ、あんな料理を毎日食べていたら、私なんかあっという間に10キロぐらい肥えてしまいそうだ。


主観点:5点(泣かされたんで一点減点(;_;))
客観点:6点


【追記】
こちらの感想が面白かったのでご紹介。

 〔恩はきっちり金で返せ!〕

全くその通りである。

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受信: 2005年7月21日 (木) 09時01分

» ラヴェンダーの咲く庭で [銀の森のゴブリン]
2004年 イギリス 原題:Ladies in Lavender 原作:ウィリ [続きを読む]

受信: 2006年2月15日 (水) 19時19分

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