「ヴェラ・ドレイク」
監督:マイク・リー
出演:イメルダ・スタウントン
イギリス・フランス・ニュージーランド2004年
オスカーは逃したものの、この年の主演女優賞を総ナメにして話題となった映画。
良き妻、良き母のヴェラは家政婦として働きながら、平凡ながら幸せな家庭生活を送っていた。しかし、彼女は「人助け」として陰で堕胎を行なっていたのである。そしてとうとうある日、警察が踏み込んでくる--。
冒頭から戦争直後の英国庶民の地味な暮らしがよく描かれている。ヒロインもいかにも地味~なおばさんで、鼻歌交じりに家政婦の仕事を着実にこなしていく。そして、彼女にとっては中絶の作業も家政婦の仕事とあまり変わらないような調子に見える。
もっとも中絶の是非についてなどはほとんど触れられない。金持ちの娘と貧乏人では差がある、ということが描かれているだけだ。
代わりに後半の逮捕されてからの、彼女の家族の対応に重点が置かれている。ダンナさんは立派な人物で、ヴェラを支える。ダンナの弟は立派な人物で、兄を支える。娘の婚約者も立派な人物で、一家を支える。
えー、つまりここに描かれているのは固い絆を持った家族の姿なのだが、あまりに立派過ぎて現実には思えず、ほとんどSFかファンタジーを見ているような気がする。
一言で言えば良い話だが「辛気くさい」のである。イメルダ・スタウントンの熱演は疑いようはないんだけどさ。(恐るべし!英国オバさんパワー)
私のようなひねくれ者だと、ヴェラが仕置人みたいに人助けで「暴力亭主」とか「守銭奴の金貸し」を殺したりする方が面白いと思っちゃうんだが。……あれ、前にこういう映画あったっけ(^^?(さもなければ、ポックリ逝くことを願う老人を殺し回ったりとか)
さらに、私は監獄の中で鼻歌交じりに鉄格子をキュッキュッと磨いている彼女の姿を思い浮かべてしまったのであった。(^=^;
まあ、ひねくれ者には向いていなかった映画であるということで……。
主観点:6点
客観点:7点
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コメント
コメントありがとうございました。
>あまりに立派過ぎて現実には思えず、ほとんどSFかファンタジー
↑笑いました。
そうですね~。
私としては、ありえないからこそ信じたいって感じですかね~。
投稿: toe | 2005年9月18日 (日) 12時08分