ギュスターヴ・モロー展
会場:渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム
期間:2005年8月9日~10月23日
平日に休みが取れたので早速行ってみた。夏休みのせいか大学生風の若い人も多い。もっとも、日曜だったらもっとスゴイ人出になるんだろうけど。
モローは非常に好きな画家だ。約十年前に国立西洋美術館でやった時ももちろん見に行った。カタログを引っ張り出してみたら今回のと作品が結構重なっている(数は前回の方が多かったようだが)。
しかし、今回の目玉作品は『出現』だろう。踊るサロメの前にデローンとヨハネの首が現われるのを描いた油彩である。右から見て左から見て正面から見て……と何度も眺めてしまった。
その傍らに習作が幾つか並べられているのだが、その中の一つ『「サロメ」のための構想画』というのにも目を引かれた。ほとんど何を描いてあるのか分からない抽象画っぽいものだがとにかくコッテリ塗られた赤い絵具が強烈であった。
同一の主題で幾つかの作品が並べられているのもあったが、私は明確に描いているのよりモーローとした「朦朧体」の方が好きである。そして、景色や人間の顔が朦朧としているのに装飾品や馬具や竪琴の飾りなんかは緻密に書き込んであったりして、そういうアンバランスな部分にこそ引かれるのだなーと今回初めて気付いた。
それから水彩画によく使われている青緑というか緑青というか、その系統の色が鮮やかで他の画家にない独特さを感じた。
他には晩年の作品『死せる竪琴』もヒジョーに気に入った。同主題の大きい油彩もあるそうだが、展示してあったのはもっと小型の水彩である。で、やはり何が描いてあるのか分からないような絵だ。でも、何かがそこにあった。なんだか分からないが戦慄すべきものを感じたのである……。
展示期間は前期と後期に別れていて、水彩や素描は半分ぐらい入れ替わるらしい。有名な『ケンタウロスに運ばれる死せる詩人』や『死せる竪琴』も前期だけなので、見たい方はグズグズしない方がよろし。
後期にも、もう一度行くぞーと心に誓ったのであった。
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