上野千鶴子×香山リカ トークセッション
場所:ジュンク堂池袋店4階
2005年9月16日
【事前のご注意】
最近とみに記憶力の衰え甚だしく、さらに(これは昔からですが)メモした字は小汚くてほとんど判読不能なので、ここに書かれた内容をマルマル信じないように、さっ引いて読むようにお願いします。
上野千鶴子は黒のチャイナ風ブラウスにスパッツというシックないでたち。対する香山リカはパーカーにジーンズというラフで若目の格好。トレードマークのメガネはなし。
さて、選挙直後という事もあって内容は香山リカの造語である「ぷちナショ」が中心であった。
○コイズミと支持者は、ヨン様とファンの関係同様、一対一の関係だと信じている。つまり、私の事をよく理解し、私だけを見てくれている人だと見なしている。
○オンリーワンを求める背景にはバブル後の先が見えない不安がある。一方で根拠のない全能感も人々は持ち、それは負け組に入らない、入りたくないという気持ちであり、その全能感と不安の間を行ったり来たりしている。
不安を埋めるために、ニッポンを背負う強いリーダーにコミットしたいという願望が生ずるのだ。
○「ぷちナショ」はサブカル系パンク系のナショナリズムであり、確信を持っているのではなく、最後のよすがとして初めて「日本」を発見する。従来のナショナリズムとは違う。
香山リカが雅子サマ本を出した時には彼らからの反応はなかった。(皇室など従来の右翼的なものには興味がないようだ) しかし、イシハラを客観的な立場から少し批判するような事をテレビで言ったら批判がドーッと来た。「韓国へ帰れ」などと言われる。白か黒かしか頭になく、中立な立場を認めない。
○「白か黒か」の世界観は、「万能感-不安」の中間のない状態のままで公の事まで考えていることで生じている。しかし、グレーゾーンの存在に耐えるのが大人であろう。
○香山リカの同世代(宮台真司など)はこのような言論状況下では、沈黙するか転向するかどちらかである(湾岸戦争は衝撃的な事件で、そこで対応が分かれた)。大塚英志は発言を続けているが、そういう者の発言の場自体がなくなってきている。
○日本は中国・米国と同様の、上昇志向(ホリエモンや女性刺客のような)が強くなり、上下の階層の差が拡大しつつある。
○犯罪についての言説で、自分も犯罪の加害者になるかも知れないという想像力が全く働かない。昔だったら、どんな凶悪事件でも「社会」の責任を問うたものだが、今は「心理学化する社会」となって全てを個人の心のせいにしているようだ。
◆香山リカは「ナナ」本を出しているが、なんと上野千鶴子も「ナナ」にはまっているそうな。
◆前日あたりにニュースとなって駆け巡った「中村うさぎがデリヘルを体験」という話題も出た。彼女は自分の価値を直接に確認したくてデリヘルをやったのだが、売春しなくても自己肯定感が得られるようにした方がよいとのこと。
最後は会場との質疑応答があったが、質問者に対し「いや、あなたの場合は××です」とピシッと断言する上野千鶴子に対し、香山リカは「ふむふむ、あなたの話聞いて今こう思ったんですけどね」という対応で、期せずして教員と精神科医という職業の差が出たようなのが面白かった。(^=^;
| 固定リンク | 0
コメント