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2005年9月24日 (土)

「シンデレラマン」

監督:ロン・ハワード
出演:ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー
米国2005年

大恐慌時代に実在したボクサーの話を、アカデミー賞受賞歴のある監督・男優・女優トリオが作った--となれば、初めからこれも候補に上がるのは確実か!ってな感じの感動作である。

かつては売れっ子ボクサーであったジムは大恐慌の波と身体の故障のため、今や港湾作業の肉体労働でかろうじて日銭を稼ぐ毎日。子どもは泣き、妻は困り、電気ガスは止められそう。さらにボクサーのライセンス剥奪の憂き目に……。と、その時一発逆転の奇跡が起こったのであーる。

ここに描かれているのは妻子を抱えた中年男の「セカンド・チャンス」であり「敗者復活」である。どちらかというと、今の日本に向いているような内容だ。
主人公の誠実さと家族愛が強調されていて、また貧困生活の描写も際立っている。特に、ボクシング業界の人間が集まるクラブ(?)に行って物乞いをするという情けない場面は圧巻である。見ているこっちまで居たたまれなくなって、映画館の座席の上でちぢこまってしまった。
こういうのを見ると、やはりラッセル・クロウは才能ある役者だと思わざるを得ない。相変わらず芸能面のゴシップ欄を賑わしているが、それを差し引いてもおつりが来るほどだろう。

そんな状況で再起する主人公の姿は確かに感動的である。が、いかんせん真っ向勝負過ぎて、こちらとしてはひねった技も見せて欲しくなってしまう。
というのも、ここにはかなり長い試合と家庭のシーンしかないのだ。実話にも関わらず、主要なセリフのある人物は限られていて他に彼のマネージャーと妻ぐらいのもんである。失業者の友人も登場するが、ややぞんざいな描き方だし。
家庭のシーンは毎回同じような印象でくどくて、この部分をもう少し短くして他の描写を増やせばよかったのにと思ってしまう。(例えば、市民の応援ぶりとか)

一方、ボクシングの試合場面はスゴイ迫力! クレーン使ったり接写したり様々な手を使ってそれをうまく編集している。こちらは長くても気にならないほどだ。(もっとも、実際の試合はこんなには面白くないのが事実である。互いに様子を窺うだけで、ちょっと打ち合ったかと思うとすぐクリンチなんてのを15R続けられたら、「バーロー、金返せ」と座布団を投げたくなる)

役者は、マネージャー役のP・ジアマッティも良かった。助演賞候補の線もありか? 代わりに妻役のR・ゼルウィガーは見ているうちに段々うっとーしくなってきてしまった。内助の功という訳でもなし、もちろん悪妻愚妻でもなし、なんだかどっちつかずのキャラクターである。これは彼女のせいというより、脚本のせいか。子役は末の女の子が可愛かったですよ(*^-^*)ハイ。

二時間半の長丁場を長さを感じさせずに見せてくれたのは感心はするが、単調過ぎて物足りない感がぬぐえなかった。


主観点:7点(試合場面にプラス1点)
客観点:6点

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