「暗く聖なる夜 上・下」(マイクル・コナリー):感動するもラストで、なんだかなあ
発行:講談社(講談社文庫)
2005年
マイクル・コナリーのL.A.の刑事ヒエロニムス・ボッシュを主人公としたシリーズはずーっと愛読してきた。これは久々の新刊。元々は扶桑社から出ていたのが前作は早川書房から出て、今度は講談社に……。大丈夫かいな。(;^^)
講談社からは先にこのシリーズのスピンアウトとでも言ったらいいような「夜より暗き闇」が出ている。こちらは一作目がイーストウッドの主演・監督によって映画化された心臓病病みの元FBI心理分析官テリー・マッケイレブが主人公で、それにボッシュが絡んでくるという趣向。なんだか、作者自身によるボッシュ・シリーズのファン小説みたいな感じの変な作品だった。
(余談だが、コナリーはイーストウッドによる『ブラッドワーク』が気に入らなかったもよう。それをハッキリ自作の中で言明するのも珍しいけどさ。もっとも、主人公のイメージと全然合ってなかっただけでなく、『ミスティック・リバー』あたりと比べると明らかに手抜き作品なのはありありと分かるので、原作者としては当然かも知れない)
さて、前作のラストで刑事を辞職したボッシュ……というのを、これを読み出してから初めて思い出した。自分の記憶力減退に加え、刊行の間が開き過ぎです。
で、最初から何やらモヤモヤと違和感が--と思ったら、これまでは三人称だったのに今回は一人称になっているのだ! 私立探偵に商売替えしたせいであろうか。
冒頭に売れっ子映画プロデューサーが登場。これなんか、やはり映画化の時に遭遇した人物をモデルにしたのだろうか、などと色々と想像してみたりして。
まあ、ミステリなんで粗筋を細かく語る訳にも行かんが、謎解きの面でもかなり満足できた。
それ以外の面では--名曲「この素晴らしき世界」の所で泣けてしまった。(T_T) 読んでたのは騒がしい病院の待合室だったが。泣けたのである。
小説読んで涙が出たなんて何年ぶりのことだろうか。あんまり昔のことなんで忘れてしまったよ。それほどに心動かされたのであるが……。
だが、ラストのラストでなんだかビミョ~に白けてしまった。うーむ、男っつーのはああいうのがいいのかね、きっと。
というわけで、訳者推奨の次作に大期待。で、それが無事に日本で出るようにこの『暗く聖なる夜』をみなさん買って下せえ。友人や図書館から借りるのもダメ、もちろんブックオフもダメダメダメッ(`´メ) 新刊を購入しましょう(^^)/
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コメント
はじめまして
>ラストのラストでなんだかビミョ~に白けてしまった
同感です。ひねくれ者の同志に会えて嬉しいです。
投稿: goldius | 2007年6月23日 (土) 10時10分
おお、コメントありがとうございます。
|ひねくれ者の同志に会えて
こういう感じですかね。
ナカマ( ^^)人(^^ )ナカマ
この次作は力作だったんで、ファンとしてまた気を取り直しました。
今イチ分かりにくいかも知れませんが、プロフィールの画像は一応H・ボス(ボッス、ボッシュ?)です。
以後もよろしゅう!
投稿: さわやか革命 | 2007年6月23日 (土) 22時44分