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2005年11月19日 (土)

「「負けた」教の信者たち」(斎藤環)

副書名:ニート・ひきこもり社会論
中央公論社(中公新書ラクレ)
2005年

精神科医の斎藤環が雑誌に連載した時評を中心にした社会論。副題にあるニートやひきこもり問題だけでなく、ネット・コミュニケーション、少年犯罪、虐待などなど色んな問題について論じていて面白い。正直言って、個人的には同じ著者のヲタクを扱った本より読みやすかった。

全共闘・新人類・団塊ジュニアの三世代の差異を「転向」の面から見た章が興味深かったが、一番ハッと思ったのは「護憲派最大のジレンマ」という章の次の文。

 九条と安保のカップリングは、われわれの意識を「分裂」させる。「世界」とはアメリカのことであり、そうである以上はわれわれは真の意味で世界を意識する必要はない。なぜなら、世界との本質的なかかわりは、すべてアメリカの承認を得る必要があるからで、この現実はわれわれから、世界とかかわる自発性を実質的に奪ってしまうからだ。われわれの関心は、必然的に内へと向かう。

先日、掲示板で「うるさい事をゴチャゴチャ文句つける近隣諸国となんかつきあうのは止めて、米国と仲良くする遠方外交をしてればいいのだ」という書き込みを見かけた。それを読んだ時には、はて面妖な意見であるなあ--と思ったが、上記の文のような論理だったら不思議なことではない。
米国に全てを任せてしまえば、お隣さんの苦情や侵犯問題などにいちいちかかわる必要はないのだ。うーむ、全ては一元化されてコトは単純で楽である。
そして全ては楽な方向へと流れていくものなのである。(あ、これは護憲派にも共通することなんだけどね)

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