シュテファン・バルケンホール展:ああっ、あんな所にもオヤヂ像が!
サブタイトル:木の彫刻とレリーフ
会場:東京オペラシティアートギャラリー
2005年10月15日-12月25日
日本におけるドイツ年の一環ということか、またもドイツものである。
粗削りな木の彫刻作品が中心だが、そのほとんどはヘンなものばっかり)^o^( 台の上に立ってる3人のオヤヂとか、小さな裸体の男女とか、シマウマとか巨大な二つ頭のドラゴンとか--。男が象の頭だけ被ってる「エレファントマン」は、チラシとか「美術手帖」誌に載ってたので期待してたら、意外にも小型なのでちょっとビックリ。
とにかく変~な感覚にあふれている。
レリーフの方は二種類あって、一つは幾何学的な模様が彫られており、木像と組み合わせて眺めるヤツ。もう一つは人物の肖像や建築物を彫ったもの。実は一番面白く感じたのはこの種類のものだった。
特に建物(教会とか高層住宅なんか)を彫ったのものは、見ているとなんだか遠近感が混乱して頭がクラクラしてくる。どうしてかと思ったら、背景の空にあたる部分を削っているのでなく、そのまま手つかずで残して絵具を塗ってあるからだ。そうすると、当然背景の方が建物の部分より前に浮き出てみえるのでおかしく見えるのだ。
全体的ににそこはかとなくユーモア漂う奇妙な味の作品群だった。ただ、どうもなんか釈然としないところがあるなあ、と思いつつ会場外のアートショップに行った。そしたら、バルケンホールの作品集が並んでいて、それを見ると野外の橋の上にドーンと巨大な男の頭部の作品なんかが展示してある。こういう展示場所とのギャップを面白がるのが本来の姿なのかもと腑に落ちたのであった。
--ということで、是非オヤヂ像なんかを都庁あたりで展示して貰いたいもんである。あ、シマウマでもキリンでもいいけどね。
ところで、個々の作品名が会場のどこにも書いてないなあ、そういう方針なのかしらん……と首をひねってたら、なんと入口で貰ったリーフレットの内側に配置図と作品名が書かれていた。全然気付かなかったウッカリ者である。(・_*)\ペチッ
しかし、白地に蛍光オレンジ色の細かい文字じゃ、最近とみに老眼化が進んでいる我が目にはかなり読みづれえ~のよ。なんとかしてくれい。
同じ券で二階の収蔵品展「相笠昌義」とプロジェクトN「森本太郎」も見られる。世代や作風も全く正反対だが、それぞれ楽しめた。特に森本太郎はアクリル絵具を単色でバーッと塗り固めるような感じでとてもキレイ。金と飾れる場所があったら、是非一枚買って家に飾りたいとマジに思った。でも、二階まで上がって見にくる人は少なくて残念。
【追記】
上記の記事をアップしてから、他所のブログではなんと書かれているのだろうと、ブログ検索してみたら、123件ヒット……したはいいけれど、読んでみると「木彫りで暖かい」とか「優しい」とかあたかも癒し系であるかのような感想が結構多かったんで驚いた。
本文には明確に書かなかったんだけど、特に人物像には絶望の入口の一歩斜め手前から振り返って諧謔的に眺めたもの、という印象を私は受けた。
「冷笑」とまでは行かないけれど、かなり辛辣なものがある--ユーモアにくるまれているんで直接的にはグサリと来ないけれど。どう見ても癒し系ではない。
同じ作品を見ても、こうも受け取り方が違うのかとある意味感心したのであった。
【関連リンク】
東京オペラシティアートギャラリー
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