『獣と肉』(イアン・ランキン):表紙のイラストに号泣だー
早川書房2005年
スコットランドはエジンバラの警部であるジョン・リーバスを主人公としたシリーズ。半分ハードボイルド、半分警察ものという感じだが、大好きでずーっと読んでいる。
これは日本での10冊目か? 早川は相変わらず、シリーズの途中から出版し始めるもんだから全部が訳されているわけではない。
最近のこのシリーズは複数の事件が複雑にからまりながら展開して見事解決--というパターンになっているが、今回は他国からの移民・難民問題が絡んだ事件が三つ巴となっている。しかも、相棒であるシボーンとも完全別行動なのが目新しいところか。
だが三つ巴が過ぎて途中で何がなんだか分からなくなり、後半になると集中力と記憶力も途切れ「ありゃ、こんなヤツ出て来たっけ?パラパラ」(←前のページをめくり返す音)などというおなじみのパターンにはまるのであった……。
そうでなくとも、今回は複雑過ぎるのが凶と出たと正直思った。それに二段組みで分厚い一冊にまとめてくれたのはありがたいが、本が重過ぎで電車で吊り革につかまって読んでたら指が痛くなってしまったよ(T_T)
エジンバラの描写を読んでいると、結構日本の都市と似ているところが多いとよく思う。(ただしあちらは日本と違って好況らしいが) 今回も日常的に移民と接したことがないリーバスや他の刑事たちの反応を見ていると、やはり日本の状況と似通っているように思えた。移民の街ロンドンあたりとはかなり違う。
スコティッシュ・マフィア(という言い方はあるのか?)の親玉ビッグ・ジェル・カファティがちょこっと登場して来たのは嬉しかったが、あれ(?_?)リーバス、あんた殺されかけたんじゃなかったっけ?そんなに親しくしてていいんかい。
新作では、渡英したブッシュ大統領の警護をしているリーバスに、自転車に乗った大統領が突っ込んでくるというエピソードがあるらしい。これは実話だそうで、警官は大怪我したそうだが、その場面を想像すると思わず笑っちゃうのは私だけだろうか?
なお、表紙カバーのイラストはも、もしかしてリーバスですか(?_?; まるでゴリラみたいじゃないの。こんなモンは認めん!おれは絶対認めんぞ~っ!! こんなんリーバスじゃないやい(既に涙目)。
しかし、あちらのテレビドラマシリーズではジョン・ハナー(『ハムナプトラ』のヒロインのにーちゃん役)がやってたのが交替して、さらに「類人猿」ぽい役者が主演に……。もう泣いちゃうよ。
それにしてもmixiのコミュニティで「イアン・ランキン」はなんとたった25人であるよ(泣)。ちなみに先日の「週刊文春」の海外ミステリ部門で1位になったマイクル・コナリーは55人だ。(なお、マンガ関係では諸星大二郎2577人、川原泉3354人、佐藤史生245人、森川久美42人となっている)
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コメント
イアン・ランキンをお勧めしていただいてありがとうございます。シリーズものだそうですが、一作目のタイトルはなんでしょう?ググッて調べろと言われそうですが、迂闊にググるとネタバレサイトに辿り着きそうで怖くてググれませんw
投稿: goldius | 2007年7月 4日 (水) 09時49分
あ、わざわざこちらに来てもらっちゃってスイマセン(^^ゞ
リーバスのシリーズはまだ全部訳されてません。早川がよくやる手ですが、向こうで評判の高い巻から(つまりシリーズ途中から)ポケミスで出し始めたんです。
ここ数年の間に文庫でオリジナル1作目と2作目が出ましたが、それよりも日本で出た順番で読んだ方が取っ付きやすいかと思います。
取りあえず、「血の流れるままに」(日本での2作目)が文庫でつい最近再刊されたので試しに読んでみてはいかがでしょう。
日本では「黒と青」→「血の流れるままに」→「首吊りの庭」……とポケミスがずっと続きその後、ハードカバーで「血に問えば」→「獣と肉」が出ています。
「黒と青」は傑作なんですけどねー、ただシリーズ中ではかなり異色作なんで後回しの方がいいかも。シリアルキラーとロックが好きでしたら超オススメですが。
投稿: さわやか革命 | 2007年7月 4日 (水) 23時14分
『血の流れるままに』読みました。
小説としての総合評価はコナリーに遠く及ばないと思いましたが、キャラの魅力はこっちの方が上だと思いました。他の作品でリーバスがどんな猫を殺すかとても楽しみです。
投稿: goldius | 2007年7月11日 (水) 03時42分
気に入られたようで良かったですう \(^o^)/
別の巻で、リーバスが絶体絶命の危機に陥った時に彼が思ったことは……というのを読んで爆笑してしまいました。
本当にリーバス、どうしようもないヤローです。
投稿: さわやか革命 | 2007年7月11日 (水) 05時37分
「黒と青」読みました。確かに異色過ぎましたね。普通の小説でリバースだけがとんでもないことするやつキボーン!
投稿: goldius | 2007年7月16日 (月) 10時26分
ご安心ください。他のほとんどの巻ではとんでもないことしてると思いますよ。
確か「甦る男」なんかワルい警察官の教育施設に行かされて、さらに過去の悪行が……(^=^; なんて話だったはず。
それにしても、早川はよくも「黒と青」を最初に訳したもんです。何考えてたんじゃ?
投稿: さわやか革命 | 2007年7月16日 (月) 14時24分
「甦る男」と間違えて『蹲る骨』を読んでしまいましたが、リーバスに影響されてとんでもないキャラとして開花した女刑事シボーンに萌えました。レイプ被害者の味方の振りしてたのに、ホームレスのおっさんを優先して、レイプ被害者の名前さえ忘れる大歩危に拍手喝采しますた。
投稿: goldius | 2007年10月 3日 (水) 00時00分
シボーンはねえ~(^=^; 困った上司の悪い影響を受ける部下の見本というところでしょうか。
今のままではますますヨメに行き損ないそうで、心配であります。(って、余計なお世話か)
投稿: さわやか革命 | 2007年10月 3日 (水) 22時56分
「甦る男」読みました。女上司にマグカップ投げつけるリーバスに惚れ直しました。シボーンのキャラがさらに立ってきましたね。新米刑事のハインズも良かった。リーバスが死んでも、シボーンを主人公にして書けますね。最終巻はリーバスは死ぬが、リーバスの遺志を継いでシボーンが立派なはみだし者に成る決意を固めて終わると思いました。まだシリーズは完結してませんよね?
投稿: goldius | 2007年10月27日 (土) 09時30分
|まだシリーズは完結してませんよね?
まだ一冊、未訳の続巻があるはずです。で、今書いているのが最終巻だというウワサとか。
最終巻は、やむなく自主退職させられるも、掃除人に化けて署内に潜入。シボーンの周囲に出没してイチャモン、別名「助言」をして鬱陶しがられる--という筋書きではないかと想像しています。
投稿: さわやか革命 | 2007年10月27日 (土) 23時43分