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2006年1月 3日 (火)

クレマン・ジャヌカン・アンサンブル二連発:「指揮棒」の謎は解けず

『おお、やさしきマリア』
会場:津田ホール
2005年12月19日

『鳥の歌』
会場:ハクジュホール
2005年12月21日

カウンターテナーのドミニク・ヴィスをリーダーとするクレマン・ジャヌカン・アンサンブルは、バブル期の頃は一年おきぐらいに来日してライヴをやってくれたもんだ。そして、どの会場も超満員だった。おっかけのオバサマ&おねーさま達もかなりいたんじゃないかな。不景気になってからは来日回数もめっきり減って寂しいかぎり。

しかし、久し振りに来日してくれた今回は、なんと東京で三回も公演という大盤振る舞いだー \(^o^)/ さすがに全回制覇は苦しいので、あえてヴィスの独唱会を含む最終日をカットして残り二日に挑む。

ECJは主にルネサンス期フランスの世俗歌曲(シャンソン)の男声合唱で名をあげたグループだが、いわゆる「コーラス」のイメージで想像すると大間違い。調和の取れた均整美よりも、力量ある個人の突っ込み合いみたいなアンサンブルが特徴である。
従って、彼らについては「うるさい」「喧しい」「品がない」「お下劣」「逝ってよし」「なんだ、こりゃー」などの否定的な評も多々あった。特に、デビュー時なんか賛否両論でエラい騒ぎだったろうなと想像する。
端正な合唱を売りとするヒリアード・アンサンブルが同じような内容のCDを出しているが、聴き比べて見るとあまりの違いに「これは同じ曲か?」ビックリするぐらいだ。


さて一日めは珍しくも宗教曲のプログラム。ちょうど、クリスマス前で内容的にもピッタリでお日柄も良く、彼らの宗教曲も大好きなんでいそいそと会場へ。だが行ってみて驚いた。最終日の方は即日完売だというのに、空席が結構ある。しかもなぜか私の座席は壁際に近い隅っこなのに周囲は大量の空席で囲まれているのである。
なんだよ、この座席は! CNプレイガイド、もう買わねえぞ(~ ^~)

さらに、近くの席にはガサガサ音がする巨大なポリ袋二つに、ホームレスの如く荷物を詰め込んだのを持ち込んだオバサンが座ったのである。そのオバハンが開演中も10分おきぐらいにポリ袋からガサガサさせながらメガネやらティッシュやらを取り出すのであった。ブチブチブチッ(←キレる音)

クラシックのコンサートにポリ袋持ってくんじゃねえーっ!
ヘビメタにでも行けっつーの(*`ε´*)ノ☆

--なんて感じで気が散ってしまったが、普段はリュート弾いてるエリック・ベロックがオルガン担当なんで驚く。鍵盤もやるのねー。
オルガンを取り囲む形で五人が並び、ヴィスは一番端に立って指揮しながら歌う。その手にはいつも持っているあの謎の「指揮棒」が……。遠目には赤のビック・ボールペンに見えたが真相は?今回も謎のままである。
しかし、久し振りに見たヴィスは相変わらずのフワフワ長髪がほとんど白くなってしまって、何やら仙人みたいな感じだった。テノールのボルテフさんは髪のラインがさらに後ろへと後退か……?

演目はルネサンス期の名作曲家のミサから一曲ずつ各部分を取り出し、さらにモテットも間に挟んで全体としてミサの形になるように構成されている。
アンサンブル自体には全く文句なかったが、壁際の席のせいか音がキンキンした感じに聞こえて参った。片耳に手を当てて壁の音を遮断してみても同じ。PAシステムを使っているのかと疑ってしまった。

それからNHKの収録が入っていたが、なんとカメラマンの一人がカメラを操作したまま壁にもたれて居眠りしているのを発見(!o!) その時、カメラは天井を--写してはいないだろうが、少なくともメンバーではなく背後の壁を撮っていたはずである。さーて、どうなるのかな。放送が楽しみ(^^)


二日目は彼らの十八番、クレマン・ジャヌカンの世俗曲を中心にしたプログラムである。さすがにハクジュホールは満員状態。
この日はいつものごとく舞台の真ん中に置かれたテーブルを一同囲んで椅子に座り、テーブルの上に楽譜を広げて歌うというスタイル。ただし今日は「指揮棒」は持っていない。なぜ(?_?)
ジャヌカンの他にやや後期の作曲家ル・ジュヌの曲を後半に置いて鳥にちなんだ曲を並べるという凝った構成。さらにE・ベロックが途中で伴奏のリュートをギターに持ち替えて器楽曲を挟む。

もちろん世俗曲なんでいかがわしい歌詞の歌も多数ある。特にル・ジュヌの「ある日」なんて曲だけ聴いていると、エラく勇壮な調子の歌なのだが、歌詞を見ると「彼女のエプロンをめくるとその下に~~ヾ(^^)∧(^^)ヾ」なんて内容なんである。
いや、まあ確かにエプロンの下に突撃するという「勇敢」な歌だからかね(^o^;ナハハ
それを彼らはまた真面目くさって歌うのであった。余計に笑える。

正しく縦横無尽といえる歌いぶりは健在だった。彼らの後から色々なグループが出て来たが、やはりこの分野では追随を許さぬと言っていいだろう。
しかし、昔カザルスホールで聞いた時に充満していた熱気のようなものは、もはや舞台の上にも客席の中にも存在していなかったような気がする。それがどういう事なのかちゃんと説明するのは難しいが……。
いや、それとも他の誰のせいでもなく、私の耳の方が慣れ過ぎてしまったのであろうか。そう思うとなんとなくショボショボ(+_+)しながら、帰途についたのだった。

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コメント

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投稿: lightward | 2006年9月18日 (月) 03時32分

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こちらからもTBとコメント付けさせて頂きます。なお、9/17の「BBQ」の記事でもちょこっと「鳥の歌」のことを書いております。

投稿: さわやか革命 | 2006年9月18日 (月) 11時39分

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