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2006年1月22日 (日)

「ロード・オブ・ウォー」:一家に一挺、戦争も自己責任で民営化です

監督:アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ
米国2005年

『ガタカ』の監督や『トゥルーマン・ショー』の脚本で知られるアンドリュー・ニコルの新作は、現実の武器商人の世界をリサーチして一人の男の物語としてまとめ上げたもの。
前作の『シモーヌ』もそうだが、これまでの彼の作品は近未来風の設定を使ったものがほとんどで、よもや実話路線で来るとは意外だった。

子供の頃、ウクライナから米国に移住して来た男がひょんなことから武器売買の商売を始める。おりしも、東西冷戦が終了、だぶついた武器は流出を始め、一方火種はアフリカ大陸のあちこちに。この状況の変化は彼のような「新規参入組」に商機をもたらすのであった。

こんな経過が主人公の極めてシニカルな語りで淡々と描かれる。戦乱・殺し合いがなんだっていうのよ、武器を売ったらそれでハイおしまい。世に戦乱のタネは尽きまじ~だから儲けのタネも尽きないで儲かるのだ。それに実際は色々苦労してんだからね。手伝ってた弟がノイローゼでヤク中になってもまあ仕方ない。昔っから繊細な子だったのさ--と前半は、実は恐ろしい陰惨な話も妙に突き放した感じで飄々と進むのは好感である。

だが、後半、奥さんの話が絡んでくるとどうもウェットになってしまい、いい調子が崩れてしまってちょっとガッカリ。大体にして、あの奥さん薄情過ぎだよ。

しかしラストで逆転、またもシニカルな調子を取り戻す。現実に基づく物語を描きながらも、この淡々とした感じがこの監督これまでの作品同様、ある種の寓話へと転換させていくようである。

改めて、ニコラス・ケイジは上手い役者だと再認識。悪とも善ともつかぬ人間をビミョ~に演じている。それから、鬼畜なアフリカ某国大統領役は『OZ』でサイードやってた人だった。役柄は正反対だが……。
登場する武器は全部、武器商人から借りたりしてホンモノだそうだ。スゴイねー(^^;
疑問が一つ、こういう商売の方々はいつも一人で行動してるんですか? 手下の一人や二人連れていそうなもんだが。
--ということで、武器ヲタクとN・ケイジのファンは見て損無し!と太鼓判を押しておこう。

さて、ラストは国連常任理事国の五ヶ国が実は最大の武器輸出国である事が明らかにされる。って事は、主人公のやってるのは下請けで、「官から民へ」で「小さい政府」を目指す「民営化」の一環ですか? 素晴らしいっ。民営化バンザーイ \(^o^)/


主観点:7点
客観点:8点

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