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2006年2月12日 (日)

「スタンドアップ」:名優たちの演技と北国の風景は文句なしっ

監督:ニキ・カーロ
出演:シャーリーズ・セロン
米国2005年

全米最初のセクハラ訴訟に勝った女性の実話を基にした作品。監督はニュージーランドで『クジラの島の少女』を撮ったニキ・カーロだ。
暴力夫と別れて子連れで実家に戻って来たヒロインは生活費を稼ぐために、鉱山で働く道を選ぶ。だが、圧倒的に男が多い職場で度重なるひどい嫌がらせを受けて、職場改善を求めて遂に訴訟を決意する。
実際は勝訴まで23年間かかったそうだが、何となく一、二年の話みたいに描いている。まあ、2時間の映画に収めるんだから仕方ないだろう。

セクハラと言っても、普通に想像できる範囲を遥かに越えている。もう、これは集団イジメである。ヒワイな言葉をかける、身体に触るは当たり前。さらにはウ○コで女性更衣室を汚す、レイプまがいに押し倒す、簡易×××に入っている時転がす(>O<)ギャーッなどなど。

しかし、これは単純に男対女の話として考えていいのかというと、やや違うような気がする。炭坑で働く男たちは高い学歴もなく重労働に従事して家族を養い、他に高収入の職はない。そこへ女が入ってくれば自分たちが代わりに追い出されるのではないか、という恐怖を抱くのは当然。女は家へカエレ!ということになるだろう。
この舞台となった町には異人種や異民族の姿は全く登場しない。そんな所に、もし人種の違う移民が就職して来たら、やはり同じように自分たちの国へカエレ!と壮絶なイビリが始まるだろう。
従って、これは女性以外のマイノリティであっても置き換え可能な話なのだ。

さらに先日TVドラマの『CSI:ニューヨーク』を見ていたら、トンネル工事を専門にする土木労働者の世界が背景になっていて、「その絆は海兵隊並みに強い」もので家族以上だと説明されていた。
まあ、ブラッカイマー印のドラマなど信用できんという意見もあるだろうが、炭鉱労働者の絆も同様に強いものだとしたら、この映画での女たちはまさに仲間の結束を崩す外部からの異分子と見なされ、懸命に排除しようとするのは不思議ではない。

そういう米国特有、職業特有の事情が分からないと、「なんでこんなガキっぽいいじめをいい年した男がするかねー」みたいな感じで終わってしまうかも知れない。日本人には極めて理解しにくい話だろう。そのせいか早々に打ちきり……(T_T)

前半の寒々とした北国の風景の映像はとても美しい。一方で脚本はよく分からん部分が多々あり。男性労働者の中にも積極イビリ派とそうでない派がいたようなのだが、ハッキリとは描かれていない。そもそも、仕事中はみんなススまみれで誰が誰だか判別できないとゆう(汗)
例えばヒロインと仲良くしていたスキンヘッドの男なんか後者のはずだが、どの程度の付き合いかなんて基本的な事自体ちゃんと描かれてないのだ。実話だから当たり障りない描写にしたのか、なんだか隔靴掻痒なのである。

さらに母親が娘への応援体制にチェンジしたのが唐突だし、父親の変心も説得力ない。法廷での元BFもどうして急に態度を変えたのか、やっぱりよくワカラン。

その分からなさを辛うじて名優たちの演技が支えていると言ってもいいだろう。アカデミー賞主演女優賞受賞者3人揃い踏みに加え、父親役のリチャード・ジェンキンズや弁護士役のウディ・ハレルソンはもちろんだが、ショーン・ビーンは悪役が多いので名前を聞いた時てっきりヒロインをいびまくる男の役かと思ってたら、全然正反対の非常に味のある重要な役どころだった。ファンは必見よっ(^o^)b
主役のC・セロンは申し分ないのであるが、なにせ元モデルというガタイが良過ぎて、あの場面で「投げ落としちまえー」とか、その場面では「四の字固め行けー」などと思ってしまうのが難であった。

監督の前作でも感じたことなのだが、人物描写に今イチ甘いところがあるように感じた。そういう部分で、手放しにはほめられない映画なのである。


主観点:7点
客観点:7点

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受信: 2006年2月12日 (日) 14時55分

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