「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」:悪魔の音楽と神の音楽
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン
米国2005年
伝記映画というのはそもそも無理がある。なにせ何十年もの話をたった二時間前後に収めようというのだから。当然、その人物のどこに焦点を合わせるかを決めて、それ以外の要素は捨てなくてはならない。
ジョニー・キャッシュというと私のイメージでは、「アメリカの国民的歌手」とか「カントリーの異端児」とか、あるいは現在のロック・ミュージシャンにもリスペクトされている人物--というようなモンなんだが、この映画では全然違った。
ロックンロール勃興期にバンドを組んでデビュー、プレスリーやジェリー・リー・ルイスと一緒にツァー(つーか、ドサ回り?)していたなんて知らなかった。おまけに移動の車の運転までミュージシャン自身がやってたんかい(@_@)
さらに、兄の死、父への反抗、夫婦生活の不和、ミュージシャンお決まりのドラッグに手を出して転落、さらに長年のファンであった女性歌手との再婚などなどが綴られていく。その点では、ロマンスとミュージャンとしての再起が感動路線で語られている。
一方で、物語の冒頭と結末近くに置かれて重要な転回点を示す刑務所でのライヴにあるように、どうして囚人たちに熱狂的に迎えられるような曲を作って来たのか、というダークサイドな面はほとんど描かれていないのである。それが知りたかったんだけどね……だったら、自伝を読めって? ハイすいません<(_ _)>
そこら辺は二時間の中で何を中心にするかという取捨選択だからしょうがないんだろう。
もっとも、最近ミュージャンの伝記映画が立て続けに公開されているが(レイ・チャールズ、ボビー・ダーリン、コール・ポーター)、それらの中ではもっともライヴ場面が迫力あって良かったと感じた。
そういう意味で、オスカーのノミネートが作品や監督でなく、主演二人に与えられたのは当然かも知れない。
ついでに、それ以外のオリジナル・スコア(T=ボーン・バーネット)もよかった。
頑固者のとーちゃん、どこかで見た顔だなと思ってたら、ターミネーターの液体人間のR・パトリックだったのねー。主役二人に次ぐ好演です。ついでに、祝!アカデミー主演女優賞のリース・ウィザースプーンは脚がバービー人形みたいに細いんでビックリよ。
それにしても昔はロックンロールは悪魔の音楽だったのか。ウン十年にも渡り、それに金と時間を費やし続けて来た私はとっくに悪魔に魂を売り渡していることになるのだろう。
主観点:8点(ライヴ場面を評価)
客観点:7点
ついでに、映画館にいた外国人が何でもない場面でケタケタ笑ってて、変だなーと思ってたら最後の「字幕」のクレジットがまたもや(!o!)「あの人」であった。
後ろに座っていたカップルの男の方が「この人、外国映画の三分の二ぐらい一人で訳してるんだよ」なんつって説明しているんで、思わずガバと振り向いて「そのためにどれだけ迷惑をこうむっている事か」と説教したくなった。
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コメント
やっとレビューが読めてうれしい限りです!
私は予備知識ゼロの状態で観にいきましたが
歌が良かった。特にジューン・カーター役のひとの歌声には
感動しました。
普段歌わないひととお聞きしてビックリでした。
なかなかお忙しいようで心配ですが、
レビューを心待ちにしてますので、
あまりためないようにがんばって更新してくれると
うれしいです(笑)。
それでは。
投稿: かみや | 2006年5月 8日 (月) 10時47分
コメントどうも~です(^^)/
そちらのブログ開設したらよろしく。
この映画の感想読ませて下さいね。
普段はなかなか書くヒマがとれません。(泣)
投稿: さわやか革命 | 2006年5月10日 (水) 06時59分