ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女:「マジック」も「萌え」も無く
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:ウィリアム・モーズリー
米国2005年
「ハリポタ」「指輪」に続き、遂にキタ~!(^○^) 今度は「ナルニア」である。岩波もここで儲け損なってなるものかと臨戦体制で張り切っているようだ。
原作は読んだ時期によってかなりその人の受け止め方が違うみたいである。有名な児童文学のほとんどを成人してから読んだ私のような人間にとっては、キリスト教臭が強過ぎるのと、最終巻の結末は到底納得できないものだった。
しかし例えば「モエ」誌の特集に寄せている作家たちの文章を読むと、子供の頃に読んで感銘を受けた人にはやはり思い入れの強い物語のようだ。
私のような人間が見ると、この映画は正直言って原作を字義通り再生した絵物語のように思える。全てそのまま映像で復元してみました、てな感じでそれ以上でもそれ以下でもなく、なんの意外性も驚きもない。
タンスの向こう側に行ってみても、そこにあるのはフツーの現実と同じ雪景色である。違うのは季節だけ。百年にも渡り雪に閉ざされて、楽しいクリスマスもない冬が延々と続いてきたとは到底見えない。
そう、ここにはファンタジーに不可欠な「マジック」が存在しないのだ!
だから、アスランはただのライオンだし、ビーバー夫妻はただのビーバーだし、怖いはずのオオカミは大きめの犬にしか見えないんである。詰まんない~(x_x)
それからこの手のファンタジー(それこそ「ハリポタ」に至るまで)って食べ物の描写が多くてすごくおいしそうなんだけど、なぜかセリフにまで出てくるにも関わらず、実際の映像に出て来ないのは解せない。なんで(?_?) 楽しみにしてたのにー。
(去年見た映画で食べ物がおいしそうだったのは、「ラヴェンダーの咲く庭で」で老姉妹&家政婦のオバチャンがこれでもかとくり出す料理の数々、あるいは「ヒトラー 最後の十二日間」でヒトラーと秘書たちが会話しながらパスタをツルツル食べている場面が記憶に残っている。)
で、せめて「萌え」られる部分があるといいんだけどそれもない。『ロード・オブ・ザ・リング』なら映画全体の出来は気に入らなくても、「ガラさま萌え~」「オーク健気なヤツ」などと萌え要素が必ず一つや二つ発見できるのだが、こっちはなんにもないのだ。
「萌え」も「マジック」もなくては無味乾燥の極み、教科書みたいな味気なさである。
--とケナしてきたのでいい点もあげてみよう。
原作では、次男が最初から「悪い子」モードなのだが、映画ではちゃんと背景が説明されていて納得できた。
ティルダ・スウェントンの魔女は素晴らしい。美しくてコワくて、無味なキャラクターの中で唯一輝いている。馬車ならぬ熊車を操って登場する場面など、まるでワルキューレみたい。ス・テ・キ(*^^*) 一方でお子ちゃまを幻惑するエロさには、山岸凉子の『妖精王』のクイーン・マブを思い出した。
映像で見ると、余計に新約聖書のイエスの受難のくだりとそのままピッタリ重なるのに驚く。ん?これは「いい点」になるのか?
あとはクリクリお目々のルーシーがカワイイかったぐらいかな。
ただ、タムナスさんは人相・風体・目つき・言動といい、アヤシ過ぎです。どう見ても「幼女誘拐犯、要注意人物」以外の何者でもありません。もう出会ったところなぞ「ああっ、お菓子で釣るつもりかっ。アブナイ(>O<)」とドキドキしてしまった。なんで、こんなキャスティングしたのさっ(^^?
結論:原作に忠実でも、詰まらんものはツマランのであった。ま、でも原作ファンは歓迎しているみたいなんだよねー。次巻も映画化されるようだけど、見に行くかはビミョ~。
字幕は「あの人」が担当でなくてよかった。(-o-;)ホッ
主観点:5点
客観点:6点
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コメント
「あの人」っ!FMOVIEでの盛り上がりを思い出します。
ええと、私は原作を読んでいなかったのですが、それなりに楽しめました。ラムナスさんとルーシーの出会いのくだりがお気に入り…ですが、ラムナスさんの姿には、私も「ルーシー、逃げてぇぇっ」な気分になりました。上半身は裸にマフラー、下半身はアレですからね。どうみても変質者です(爆)
最後にはあのマフラーもちょっとお洒落なベルベット素材に。それでもアブナイ人には変わりありませんが~。
投稿: バウムクウヘン | 2006年3月30日 (木) 23時56分
お久し振りです(^^)/
|上半身は裸にマフラー、下半身はアレですからね。どうみても変質者です(爆)
さらにドアに鍵をかけ、ねむり薬と来てはもう(>_<) もしかして小児に向けて「注意しましょう」という啓蒙映画かと錯覚するほどです。
「あの人」はさすがに作品数は減ったみたいですが、「ウォーク・ザ・ライン」のような予期せぬところで出現するのでまだまだ要注意です。
投稿: さわやか革命 | 2006年4月 1日 (土) 08時02分