蜷川版「タイタス・アンドロニカス」:すべての元凶はお前だっ!
作:W・シェイクスピア
演出:蜷川幸雄
出演:吉田鋼太郎、麻実れい
会場:彩の国さいたま芸術劇場
2006年4月21日-5月7日
以前、この作品の映画版(アンソニー・ホプキンス主演のヤツ)を見たが、残酷なだけでどーにもよく理解できなかった。で、蜷川幸雄が再演するということで友人を誘って見に行ってみた。
会場はほとんど女ばっかりで埋め尽くされていた。ビックリである。出演している若手の男優のファンらしい。
舞台美術と衣装は素晴らしい。血を赤い糸で示しているのもいい。
えーと、それ以外は……えーとえーと……出ている若い役者がみんなニナガワ好みだなーって感じ。おまけに女は三人しか出てこないし。(映画では終盤の宴会にメイドぐらい出てたぞ) いやはや、大したもんです。(何が(^^?)
この物語では、どの登場人物も他人に慈悲を乞い願うが、誰一人として自分からは他人に慈悲をかけてやろうとはしない。それが流血の連鎖を引き起こすのだけど、そもそもの大元は他ならぬ主人公のタイタスに他ならない。あんたが、最初に慈悲をかけてやって正しい「選択」をしていればこんな事にならなかったんじゃないの、どーよ?と言いたくなる。映画を見た時もそう思ったが、今回の芝居でもやはり同じだった。
芝居好きのとある人はこの戯曲を「残酷なだけの作品」と切って捨てていたが、やはりそうなのか。
主人公はリア王っぽい所もあって、今回はそれで結構泣かせてくれたけどね。そういう点では吉田鋼太郎、力演です(^^)/
休憩時間に周囲の女性客たちがパンフを広げていて、小栗旬の写真が出ているのが見えたが、イケメン若手俳優情報にうとい私たちはどの役が彼なのか観ていて分からなかった。
後半でようやく悪役エアロンだと判明。しかし、この役も『ベニスの商人』のユダヤ人どころではないアフリカ系差別なキャラクターである。海外だと、黒人の役者が演じるのかねー。もっとも、これだけの悪人だとかえって演じがいがあるのかも知れないが。
王妃役の麻実れいはすごく評判いいみたいだが、どうかな……。ベテランの中年女優ならあのぐらいは出来るんじゃないの、とも思った。というのも、割と類型的な「悪女」だから。例えば、岸田今日子あたりが二十年前にこの役をやったらどうだったか、と想像してしまった。
開演する前に、既に役者たちがステージにいてウロウロして、楽屋裏で発声練習なんかをしている様子を見せるという設定だった。(「開演5分前」とかアナウンスが入る) 面白いとは思うが、これが全く作品の内容自体には関わってこない「お遊び」に過ぎないのはどうなのか。同じニナガワの『ペール・ギュント』でも芝居全体がゲームの世界だったという設定だったが、やはり作品の根本には関わってはきてなかった。
それから、いつも彼の演出作品を見るたびに思うが、正直なところ音楽の使い方がどーにもセンスが悪い。時にガマンできないほどだ。でも、わざとやってるというほどの悪趣味ではないんだよね。
それにしても、貰ったチラシの約半数が蜷川演出の芝居のものだった。一体、一年間に何本やってるんだ(@_@)
7時開演で、終わったのは10時半過ぎていた。長いよ……。
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コメント
で、だれなんだよっ! 原因いわんかー!ボケッ!
投稿: | 2006年5月16日 (火) 19時51分
↑誤爆ですか?
投稿: さわやか革命 | 2006年5月17日 (水) 23時18分
魅力がわからなかったら
わざわざここに書く必要がないのでは?
投稿: | 2007年11月11日 (日) 13時53分