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2006年5月19日 (金)

ホテル・ルワンダ:情にも知にも訴える

監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル
イギリス・イタリア・南アフリカ2004年

今年度上半期最大の話題作品には間違いないだろう。これが日本でロードショー公開されるまでの経緯は色んな所で紹介されてるんで省略するが、私は素早く前売券をゲット。公開直後はスゴイ混雑らしいんでもう少し後で観ようと思ってたら、今度は急に忙しくなって行けなくなってしまった。(T_T)
で、公開館も変わっちゃって前売券も使えなくなってしまったという次第。あんまりだー。

事前の情報では号泣する観客多数、ということだったんだが、実際見てみるとそんな感じの映画ではなかった。情よりもきちんと理知的に訴えてくる造りになっている。
怖い所は怖く、訴えるべき事は訴え、感動させる所は感動させる。そこら辺はキッチリ作られている。

終始、ホテルマンである主人公一人の視点から描かれているので、あまり社会全体の状況とかどうしてこんな悲惨な争乱になってしまったのか、ということまではよく分からない。一応、登場人物同士の会話の中で説明されているが……。
しかし、そこまで一つの映画に求めるのは無理というもんだろう。

主人公は差別意識は全くない人間で、それと対置するように食糧を取引する相手の男は差別主義のグループに入っていて虐殺を行なう。しかし、その中間あたりをウロウロして迷っているような人間は出てこないで、スッパリと分かれている。
そのため、どうしても外部から押し寄せる脅威に対抗して家族や隣人を守った男の話、という感じが強かった。
だが、その困難な時に主人公がより所としたのが、由緒あるホテルの支配人だという意識で、ある種西欧社会の規範に基づいている--というのが、そもそも同一国内を二つの民族に分断したのが西欧の植民地政策である事を考えれば、いささか皮肉なことである。

観客を感動させ、家族愛や隣人愛を訴え、国際問題や差別について考えさせる、極めて完成度が映画といえるだろう。
ただ、「好きな」映画かというと微妙な所ではあるが……。

ドン・チードル好演! 『クラッシュ』でも評判いいし株上昇中である。

さて、私が彼のような立場になったらどうするだろうかと自問してみる。もちろん、困難な場からはこそこそ逃げ出し、様子をキョロキョロと伺い、場合によっては他人を裏切り、うまく立ち回ろうとするだろう。
とても偉そうな事は言えません、ハイ。

【追記】
だが、「日本には人種差別はないのでこの映画を見てもピンと来ない」などという言説を見ると(この『ホテル・ルワンダ』についてではない)、脱力しちゃう。
あるだろ、差別……まあ、永遠に「他人事」ですね。(←これって偉そう?)


主観点:7点
客観点:8点

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