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2006年5月21日 (日)

「クラッシュ」:「希望の街」を覚えてる奴はもういないのか!

監督:ポール・ハギス
出演:サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン
米国2004年

久々にひねくれ者根性炸裂の感想です!

【事前の注意】
もしも、あなたがこの映画を「大感動した」とか「今年度ベストワンは間違いなし」などと思ったなら、以下は読まないようにオススメします。
それでも、なお読もうとするなら全て自己責任でお願いします。他人に八つ当たりしたりしないように。

いやー便利な言葉だなー、「自己責任」て(^○^)

絶対確実かと思われていた『ブロークバック・マウンテン』を退けて、アカデミー作品賞を獲得した映画。監督は『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本家だが、あちらは未見である。あまりに大絶賛の嵐なので、つい見に行ってしまった。

それが間違いであった……(=_=;)

大都市LAで錯綜し衝突する様々な人種・民族・階層の人々、ある者は死に、ある者は和解し、ある者は不正を犯す--。

差別主義者だと思われていた男が実はいいヤツだった。
実に感動的な話である。
不正と差別を憎むはずの者が平然と犯罪を犯してしまう。
実に衝撃的な話である。

だが……問題はそこになんの必然も伏線も説得力もないことだ。
唐突に「ホントはこいつはこういう人間だったんですよ」と見せられても、「はあ?いきなりそんなこと言われても」と問い返したくなる。

とある掲示板で「この映画は悪い事も良い事もする人間を描いているが、たいていの人間は悪い事もしなければ良い事もしないのが普通」という意見を見かけた。大いに同感である。

TVプロデューサーがあんなに暴走するのはいくらなんでも大袈裟過ぎ。せいぜいヤケ酒かドラッグでもやって、白人の下っ端の部下をいびって終わりが普通だろう。
それから、いくら助けられたからって、検事の妻の豹変ぶりには笑っちゃうほど。もしかしてこいつまた明日には正反対に豹変するかも、なんて疑っちゃう。

要するに、あまりにわざとらしいのだ。見ていてとても納得できるようなものではなかった。
役者たちの演技は良かったけどさ……。

他の人の感想を見ていると『マグノリア』や『トラフィック』を引き合いに出しているのが多かったが、とんでもない。これに比べるに相応しいのはジョン・セイルズ監督の『希望の街』(1991)である。
舞台こそ架空の都市だが、人種間の争いをテーマに30人にも及ぶ様々な人々が繋がりを持ち、完全な円環をなしてまた冒頭の人物まで戻ってくる。人々の行動にはしっかりとした動機や必然が描かれ、しかも語り口にはユーモアがあり、ラストには明るさが見える。
この作品と比べてもなお、『クラッシュ』の方が素晴らしいというのなら、そもそもものの見方が違うとしかいいようがない。

あの名作は忘れ去られてしまったのであろうか(T^T)クーッ
是非もう一度見たいのだが、ケーブルTVでも放送してくんないし、仕方ないから中古ビデオで買おうかのう。


主観点:5点
客観点:6点

【追記】
似た評価をしている感想をようやく見つけた。私のほど極端ではないが……。
「日刊【考える葦】Returns」より《〈 クラッシュ 〉差別・偏見の衝突事故らしいのだけれど》

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コメント

こんばんは。この作品、まだみとりませんが、かなり楽しく読ませていただきました。ここまで書いてもらえると、観たくなってくるから不思議です。
“自腹”でこの作品を観た井筒監督が、過去に似たようなハナシが「あったな」と、挙げていたのがまさに「希望の街」でした。「クラッシュ」よりそっちのほうに興味が沸いたワタシもきっとひねくれ者なんでしょうね。深夜に民放でやらないかなあ。

投稿: バウム | 2006年5月22日 (月) 00時07分

いらっしゃいまし。
最近、井筒監督の「自腹」は見てないんで(ネタバレがかなりあるため)取り上げられてたの知りませんでした。
ちなみに星幾つだったんでしょうね(^^)

|観たくなってくるから不思議です。

女の子がカワイイのとドン・チードルの困った顔は見てもいいかも知れません。

井筒監督は多分J・セイルズと同世代監督なんじゃないですかね。だからチェックしてたのかも。

|深夜に民放でやらないかなあ

東京12チャンネルあたりに皆で念波を送ればやってくれる--かな?(^^;

投稿: さわやか革命 | 2006年5月22日 (月) 22時11分

TBどうもです。
ボク、『希望の街』って観てないと思うのですが、それにしてもこの映画は群集劇としては多重に折り重なって怒涛のラストを迎えるでもなし、ただダラダラと垂れ流すだけで工夫の一つもないように思えました。『ミリオン・ダラー』も正直いって鼻についてますが、誰も賛同者はいません。アカデミー賞って、見せかけの良心を追求しているので、信用できません。

投稿: 森と海 | 2006年9月12日 (火) 00時16分

森と海さん、おいで下さりありがとうございます。
これを見た当時、あまりにもほめてる感想ばかりだったんで、余計にひねくれ根性が湧き上がって来てしまいました。
今年のベスト10企画なんかでもかなり上位に行くでしょうねえ……。

突然ですが、そちらの過去ログを読んでいて、私も「ニューヨーク1997」のサントラLPを持っていたことを思い出しました。もう、××年ぐらい聴いてないですけど。

投稿: さわやか革命 | 2006年9月12日 (火) 23時22分

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「ぶつかり合って、相互理解を深めてゆく」んですと・・・こう、ポール・ハギス監督は申しておりました。とりあえず衝突してみる、なんともアメリカらしいって思ったら、監督カナダ人だ!... [続きを読む]

受信: 2006年9月12日 (火) 00時09分

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