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2006年6月10日 (土)

「オリジナル・リュート「グライフ」(1610年作)を聴く会」:四百年前の音に衝撃を受ける

演奏&話:佐藤豊彦
会場:近江楽堂
2006年6月2日

外見はモジャモジャ頭の怪しげなおぢさん、しかしその正体はトップクラスのリュート弾きなのだ~、というのが佐藤豊彦である。
去年の同時期に予定されていて楽しみにしていたのだが「演奏者急病」のため一旦中止になった公演。演目も昨年と同じく、ロイスナー、ヴァイヒェンベルガー、ラウフェンシュタイナー……知らん作曲家がほとんどだ。(汗)

さて、古楽器と言っても昔から使われていたそのものの楽器を使用する場合と、現代の職人がオリジナルを参考にして作ったコピー楽器の二種類がある。(モダン楽器でもいわゆる「名器」は過去のものを改造したもの) 公演やCDで聴くような奏者はたいてい17~18世紀の楽器を使っている。が、これはヴァイオリンやガンバなどの話--。

恥ずかしながら(=_=;)今回の公演で佐藤豊彦の話を聞いて、リュートにはほとんど「オリジナル楽器」が存在しない事を知った。確かに、手近のリュートの公演パンフやCDの解説を見ても使われてるのはみんな現代に作られた楽器ばかりである。
長年、聴いていながら気付かなかった、反省です(´・ω・`)ショボーン

この公演で使用するのは1610年にドイツで作られた正真正銘のオリジナル楽器。世界でも数少ない演奏可能なものだそうな。傷があったり弱くなっているので、連続のライブや録音には耐えられないという。その日も、会場の空調はリュートのために時間をかけて調整していた。

佐藤豊彦によると、過去にコピー楽器を何十台か作らせたがどれも満足できず、たいてい作り直してもらった。本当は作られて百年から二百年ぐらいの楽器が一番いいのだが、リュートはもう二百年もの間製作されてなかったので、存在しないのだという。
そして、今夜使用のオリジナル楽器を入手してからはこれが一番の基準となり、これより良いものはコピー楽器にはない。新しいものなら楽器を人間に合わせられるが、これほど古くなってしまうと人間が楽器の方に合わせるしかないのだという。

この話を聞いて私の頭の中には、昔の王侯貴族が座っていたようなフカフカの座布団に鎮座している(控えの侍従付きで)リュートの姿が猛然と湧き上がって来た。
そして、奴隷に輿を担がせ周囲のド貧民な人間が平伏する中を悠然と運ばれるリュート様--。そのような妄想がドトーのように渦巻く中、演奏は始まったのであった。

そして、その音を聞いて私はゲゲーン(!o!)と衝撃を受けた。こんな衝撃は同じ会場でクラヴィコードの音を初めて聴いた時以来である。
なぜなら、今までライヴやCDで聴いたどのリュートの音とも全く異なっていたからだ。低音はなんだか津軽三味線を弱めにしたようなベベンとした音だし、それより高音は……うーんと、うーんと(-_-;)何と言って形容したらいいのか思いつかない。とにかく美しくもなく澄んでもなく滑らかでもなかったことは確かである。全く別の何ものか、であった。

そんな楽器で極微細なニュアンスの音まで表現された演奏は、近江楽堂のような百人前後の小さな会場しか味わう事はできまい。大ホールでは決して聴くことができない世界がそこにはあった。

曲はロジー伯の「シャコンヌ」と、あとやはりヴァイスの「不実な女」がよかったかな。
後半は冷房が効き過ぎて寒かったが(外はムシムシしてた)「リュート様のためガマンガマン」と耐えたのであった。

終演後、サイン会があるのでサインを貰いたい人がゾロゾロと外へ出てしまってから、なぜか突然、佐藤豊彦が再び会場に乱入(?)。やおら楽器の解説を始めたのであった。
「こことここに傷があって。ここら辺はバラバラになりそうで--」とか説明してくれたのであるが、チビの私には人垣にはばまれて肝心のリュート様が見えんぢゃないの。それに佐藤先生、外でサイン会待ってる人が行列してるんですが……(汗)

それにしてもここ二か月ぐらいの間に今村泰典、H・スミス、佐藤豊彦とトップクラスのリュート系奏者を演奏を聴けたわけだ。シ・ア・ワ・セ(*^-^*)
そして、彼らのライヴに接してみてつくづく感じたのが「リュート弾きの才能は外見と比例しない」という結論であった。こんな私は逝ってよしですか(^^? (「よし!」と思った方はモニターの前で「よいとも~」とご唱和下さい)

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