「インサイド・マン」:テーマ曲は調子良かったけど
監督:スパイク・リー
出演:デンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェン
米国2006年
スパイク・リーの作品はほとんど見ていない。彼が登場した頃に一本観て(多分インディーズ映画がブームだった時期)、好きになれなかったんで以後見なかったんだと記憶している。
だが、これはクライム・サスペンスのようだし、出演陣も豪華なんで見に行く事にした。
顔を完全に隠した銀行強盗が人質数十名と共にたてこもる。彼らの真の目的は何か?如何に脱出するのか?交渉役の刑事はどう真実に迫るのか?横ヤリ入れて来た弁護士は何するつもりか?--と、どう展開するか先が読めずドキドキハラハラする。
いや、ハラハラはしたんだけどね……警察おマヌケ過ぎでは? あんな改造しちゃって気付かないってことあるのか? そもそも「改造」できる場所がなかったらどうするつもりだったのよ。監視カメラを細かく分析すれば襲撃犯割り出せるんじゃないの?--などとツッコミどころ満載。大筋のアイデアはよかったが枝葉の細かい部分がボロボロである。
それから脚本を三人ぐらいの人間で書いたんではないかと思っちゃうほど一貫したトーンがなくて分裂しているのも気になった。前半・中盤・後半バラバラなんだもん。個々の場面を取り出せば面白いけど、一貫性がないのはどーしたことか。
あと、登場人物に誰一人共感できる奴がいないのも減点対象。作る側は突き放して描いているわけではなくて「ほら、こういう奴面白いでしょ」と言ってるのだが、こっちは「えー、なんか好きになれんなー」という感じ。
そんな中で、最初の発見者で「人種差別主義者として長生きした方がマシ」と言い放ったオヤヂ警官が良かった。個人的にはW・デフォーが途中で出て来なくなっちゃうのが悲しー。
テーマ曲(インドの曲なのか?)は良かったけど、途中のオリジナル・スコアの曲がなんか大仰で気になった。S・リーといつも組んでる作曲家らしいが。
えーと、よかった所も書いとこう。警察の仕事が丁寧に描写されてたこと。この手の作品では結構大切である。
人種・民族問題もさり気なく絡め、変な奴ワケ分からん奴が入り乱れて色んな事を言うのは、いかにもニューヨークらしくて面白い。ただ、これは「本筋」には関係ないよなあ……。
ということで「面白い」とは思ったが「好き」という映画ではなかった。やっぱり、この監督の作品は合わんのかも。
主観点:6点
客観点:7点
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