「グッドナイト&グッドラック」:正義は通したが金には負けた(泣)
監督:ジョージ・クルーニー
出演:デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー
米国2005年
1950年代に米国に吹き荒れたマッカーシー議員の赤狩りに対し真っ向から対抗したTVキャスターであるエド・マローを主人公に据えた堂々の社会派作品。いや、もはや「社会派」どころか擬似ドキュメンタリーに近い。
マッカーシーが登場する映像や査問委員会の場面は全て実際の映像を使い、一方マローの側の描写は一貫してTV局内に留まっている。(職場結婚を隠している職員カップルのみ例外)
普通、こういう題材だと主人公の家族などの描写があったりするもんだが、それもなし。余計なオカズ抜きのまさに直球一本勝負!力業という印象である。おまけに全編モノクロで、昔っぽくわざと音声や映像にノイズを入れたりしている。
ただ、随所に歌手ダイアン・リーヴスが局内の番組でジャズのスタンダード曲を歌っている場面が挟まっていて、これがイイ(^o^)b ここがなければかなり堅苦しい感じになっただろう。
マッカーシーと対決したマローは結局勝利をおさめるが、その後「真面目な番組は視聴者に受けんのよ」という理由で番組は撤退を余儀なくされる。まさしくこれこそ資本主義の論理であろう。
共産主義殲滅、資本主義バンザ~イ \(^o^)/
マロー役のD・ストラザーンは渋くてカッコエエの一言。監督のG・クルーニーは体重増強してディレクター役でも頑張っていた。『シリアナ』でのオスカー助演男優賞はこちらの作品もこみでの受賞と思える。
ところで、掲示板やミクシィの感想を読んでると「赤狩りということ自体知らなかった」というのが目についた。(-o-;)
まあ、他所の国の歴史だから仕方ないとはいえ……。
赤狩りは公職についている者だけでなく、ハリウッドにも大きな打撃を与えた。格好の標的だったのだろう。仲間を密告しろといわれて苦悩した奴、結局密告して証言した奴、密告されて映画界から長年に渡り追放された奴、ヤバいと感じてヨーロッパに逃げて作品を作り続けた奴、などなど様々である。
作品として直接的にこの事件を扱っているのはデ・ニーロ主演の『真実の瞬間』があるが、リアルタイムに当時作られた西部劇の名作『真昼の決闘』が赤狩りの状況を暗に示しているという。あの不信に満ちた町の人間関係が当時の雰囲気をそのまま表わしているらしい。(そのため「西部劇らしくない」と一部に不評)
赤狩りの歴史はハリウッドにおいても大いなる汚点であり、その恨みは今でもドロドロと残っているようだ。
主観点:7点
客観点:7点
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