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2006年7月11日 (火)

「夜よ、こんにちは」:感動はすれどもベタ過ぎでは?

監督・脚本:マルコ・ベロッキオ
出演:マヤ・サンサ
イタリア2003年

イタリア映画はたまに見るぐらいなので、このマルコ・ベロッキオ監督のことも全く知らなかった。ベルトルッチと同時期に出てきた「イタリア映画界最後の巨匠」だそうである。しかし、日本で公開されている作品は少ないらしい。この作品もラブホ街の中のユーロスペースでようやく単館公開である。

イタリア現代史において有名なモロ前首相誘拐暗殺事件(1978年)を、徹底して誘拐した側のテロリストである若者の視線から描いたもの。
誘拐犯の若者たちも家族や友人たちの前で自分を偽り、自由に外を出歩くわけにも行かず、周囲を神経質に窺い続ける毎日で神経がすり減ってくる。
解放交渉の取引はうまく行かず膠着状態になり、犯人の一人であるヒロインはやがてモロが解放される幻想を見るようになる--。

その幻想とは、事件当時同世代であった(もう少し上の世代か?)監督の願望でもあったろう。
だが、それにしてもモロが街中を歩いていく映像や、さらにはピンク・フロイドなどの音楽の使い方もあまりにもひねりがなくて、そのまんま過ぎやしないか? そのまま過ぎて何の工夫もない--と思うのは私だけだろうか。
要するにあまりにベタなんである。見ててちょっと気恥ずかしくなっちゃうくらい。
しかし、他の感想を読んでみるとその二つの部分を絶賛しているのが多いんだよねえ……。私がひねくれ者過ぎるのか。追い詰められていく心理描写なんかは文句ないんけどさ。

イタリアの近現代史について不勉強ゆえ、分かりにくい所もあったが、途中でヒロインの親戚が宴会やってる場面でおっさん達がパルチザンの歌を歌い出し(どこかで聞いたメロディだと思ったら、なんとロシア民謡のカチューシャの歌)、そこを通りかかった婚礼の列の花嫁花婿まで一緒に合唱し始めたのには驚いた。日本だと、あの時代あの世代では当然軍歌になっちゃうはず。同じ三国同盟とはいえ彼我の差をヒシと感じたのであった。

さて、不勉強を償おうと帰ってから本棚をあさって、昔に出た(1987年)「WAVE」誌の「テロ」特集号を引っ張り出してみた。もはやページが真っ黄色になってしまったそれを読むと、「赤い旅団」はその前にも色々と恐ろしい誘拐やら襲撃やら繰り返して来たらしい。「赤いバチカンと呼ばれるテロ軍団」だそうな。
だが、モロ前首相事件はどうやら背後に色んな政治的勢力の動きが絡んでいたという。結局のところモロは仲間である政治家からも、最初から見捨てられていたようである。げに恐ろし……(-_-;) 日本だと下山事件みたいな感じか。


主観点:7点
客観点:6点


【関連リンク】
あまり「関連」はしていないんだけど、「赤い旅団」で検索したらこんなページにぶち当たった。
《松岡正剛の千夜千冊》 松岡正剛の名前もなんか懐かしい感じだが、それにしてもネグリってスゴい経歴でやんすねえ(大汗)

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