「アフリカ・リミックス」:一つの色には塗れない大陸図
多様化するアフリカの現代美術
会場:森美術館
2006年5月27日~8月31日
広大にして複雑なるアフリカ大陸から25カ国84名140作品を紹介する美術展。まさに今のアフリカ(と、一つにくくれないのだが)のアートを総覧できる。
で、印象はというと……
暗い。
重い。
苦しい。
ウツだ。
双頭の神の如く、一方では恵みをもたらすと同時に抑圧の権化として重くのしかかる西欧文明。その影響下で逃れたくても逃れられない無言の叫びが、膨大な作品群から聞こえてくるようである。(もちろん、その状況はアジアや南米などでも同じなわけだが)いや、見応えはあったんだけどね。(~_~;)
あまりに数が多いので個々の作品を覚え切れなかったが、面白く感じたのをあげてみる。
ポスターなどにも使用されているシンディ・シャーマン風のアフリカ版セルフ・ポートレイト。民族・人種を問わず自分でやってみたくなるみたいだ。
いかにもアフリカっぽいユーモラスで小さな彫像数体--だがよくよく見るとそれぞれドラッグやってたりする。イメージのギャップがシニカルな笑いを引き起こす。
一番気に入ったのは、パルプSFに登場するような宇宙船やらモンスターやら銃を太めの針金で作り上げたもの。恐らくはわざと稚拙に書いたメモやスケッチも貼ってある。グローバルに(?)流通している、しかし安っぽいイメージをあえてローカリズムの極致というか、モノも金もないド田舎に暮らす個人の妄想を通して再現したような感じで、しかも少しポップなのだ。地味な作品で気に留める人も少ないだろうけど、ハナマル印を付けたい。
全体に数が多く映像作品もかなりあるので、じっくり見るには3時間ぐらい必要かも知れない。
見終ってから展望台を一巡り。晴れた日で見通しもよく房総半島まで見えて、気分もスッキリハッキリした。そして、下を見下ろして「ワーハハハ(^○^)、貧乏人どもがケシ粒のように見えるわい」とヒルズの住人の気分になってみた。
まもなく開館予定の国立新美術館も間近にみえた。波打つ薄い水色のガラスの外観がなんとなくビミョー。「美しい」とか「ステキ」というより「変!」な感じ。デザインは黒川紀章らしい。
【関連リンク】
「弐代目・青い日記帳」
「Paseo de los museos」
客の素朴な反応が笑えました。(^^)
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