「時をかける少女」:青春は若いモンに任せるわッ!
監督: 細田守
声の出演:仲里依紗
日本2006年
ヤフー・レビューがやたらと高評価で話題になったアニメ。さらに本当かどうか知らんが、『ゲド』の工作員がわざと一つ星評価を付けているというウワサまで流れた。(確かに1行コメントのヤツは見ると勘繰りたくなる)
後でミクシィのレビューを見たら(ミクシィはネタバレ多いんでうかつに見られない)、さらに高評価でビックリ。
とにかく実際に見てみるべぇと行ってみた。客席は9割までヲタク野郎というウワサだったが、そんな事はなくて私よりも年上のオバハンの集団までいた。
内容はSF風味学園ラブコメ(一部シリアス)といった感じ。SF部分はかなり薄いし、展開はご都合主義で無理がある。
恋愛部分はかなり定番な要素が(意図的?に)満載。女一人に男二人の組み合わせってフィクションではよくあるが、現実では一度も見たことねーぞ、ゴルァ。三人で毎日放課後に野球?こんなのウソっぽ過ぎでは。親友が好きなあの人を、実は……というのも、有史以来一億回(当ブロク推定値)ぐらい使い古されたネタだ。
何気ない学校生活の描写はよく出来ている。壁に寄り掛かって本読んでる子とか、一つの机で二人が勉強してる場面とか……。いかにも夏休み直前のダルい放課後の雰囲気が出ていて、ノスタルジーを感じさせる。
(ただ、言葉づかいやファションがあまりにも完全に「今どき」なので、却って引いてしまった。これも意図的か? 15年後に見たら笑いが起きそうな不安)
そういうノスタルジーに満ちたベタな学園恋愛もの要素が難なく受け入れられる人には、このアニメは感動で涙ウルウルになるだろう。
だが、私は学校時代に戻るぐらいなら地獄に行った方がマシという人間である。居心地悪くて、もう勘弁してくれーっ(>_<)てなもんだ。
さらに登場人物がどういう心理状態なのかよくわからない。人間の感情や心理もタイムリープする度に変わっちゃうのか? それとも作り手は最初から同一性を放棄しているのか? そのため、どの人物にも共感したり感情移入することができなかった。
前半で一番驚いたのは、ヒロイン事故が起こるのを阻止するのではなく、他人に原因を押しつける事だ。確かにこれは常に一貫した彼女の行動の傾向で、後の展開に関係してくる部分なのだが、それにしてもあんまりである。
ヒロインはそういう性格で、だからこそこの物語は成立するのだ--と言われればそれまでだが。
ついでに言えば「おばさん」も「スカした感じでイヤーン」でイライラしてしまった。(チアキとコウスケのキャラクターも不満点ありだが、面倒くさいので省略)
それからさらに致命的なのは、未来人が来た理由となる肝心のモノがスクリーン上では全く魅力的にみえないことだ。いくら、セリフで「素晴らしい」とか言っても見ている方に現実にそう感じさせなければ、何の意味もない。残念ながらあのモノにそれほどの価値があるとはどーにも思えなかった。実際にそう思わせるのは至難の業であろうが--。だったら別の理由をでっち上げた方がよかっただろう。なんか今イチ必然性とか切迫性に欠けるんだよね。
ただ、一応観ている間はそれらの矛盾点をあまり気にさせない作りにはなっていたので、気にならない人は気にならんだろう(もちろん私は気になったが)。
結局、素直でないひねくれ者の私には到底向いてない作品であった。ギリアムの『ローズ・イン・タイドランド』には辛口の評を書いたが、どっちを取るかと言われたらギリアムの方を取ろう。だーって、あなた、愛しい男と久し振りに再会して××を×××××××しちゃうんですよっ。これこそ時を越えた愛ではないかっつーの! 文句あっか(ドン)←机を叩いて力説する音
ということで、当ブログとしては「ひねくれ者なら『時をかける少女』よりも『ローズ・イン・タイドランド』を見るべし!」と推奨させて頂く。
ところで「Time waits for no one」はやはりストーンズだったのか? こういうのがオヤヂ層の支持をも集める理由かね。
関係ないけど、本編前の予告でガンコ親父を沢田研二が演じてるのを見て結構衝撃だった。あのジュリーが……自分の歳をヒシと感じるのう(x_x) (映画のタイトルは『幸福のスイッチ』、予告見ただけで見る気が失せそうな健全な文科省推薦映画っぽい)
主観点:5点
客観点:7点
【関連リンク】
ケナしてばかりではナンなので、ほめている意見も紹介しよう。
「bobbys☆hiro☆goo☆シネプラザ」より《”時かけ”から”トキカケ”へ「時をかける少女」》
こちらのブログは比較的冷静な感想だが、TB群を見ればいかにアツく評価されているか一目瞭然だろう。
ようやく見つけた数少ない、絶賛ではない意見です。
「DREAMREAL」より《時をかける少女感想》
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