「ジャナイナ・チェッペ展」:絶望か陶酔か
会場:トーキョーワンダーサイト渋谷
2006年7月20日-8月27日
「モダン・パラダイス展」を見に行った時にチラシを見つけて興味を持った。で、いつから始まるんだろうと思ってよくよく見たら、もうとっくにやっていて、なんとあと数日で会期終了ではないか!
ということで、あわてて終了日に駆けつけたのであった。しかし、時間配分を間違えて30分弱しか時間が取れなかった(+_+)トホホ
J・チェッペはドイツ生まれブラジル育ちの女性アーティスト。作品はドローイング、写真、モニターで流されるビデオ、さらに部屋を丸ごと使った映像インスタレーションがあった。ドローイング以外は自分自身が登場して演じている。
一番面白くて迫力があったのはやはり部屋全体を使ったものだろう。一つは三方の壁に映写して残った一面の壁際に座って鑑賞する。もう一つは四方全部に(確か布の幕が垂らしてあったと思う)投影して、鑑賞者は色んな場所や角度から自由に眺めるもの。
前者は川の中や森で、長い布や風船みたいなものや巨大な管状のものを身にまとってチェッペ自身が横たわり、蠢いたりするのを延々と撮っている。
後者はやはり布やら管やらを巻きつけて、さらに酸素のホースを口に加えて、完全に海中に沈んで泳いでいる(カメラも水中から撮影)。四方にこの映像が流れる部屋の中に立っていると、自分も海中の中に沈んでいるような不思議な気分になってくる。長い時間をかけてひたっていたかったが時間がなくて残念無念。
ただ、狭いスペースなので客が二人になってしまうと互いに視界内に入ってしまい、ちょっと恥ずかしくて困っちゃうのよ(^^ゞ
映像の中の作者は海の中の竜宮の乙姫様のようであり、得体の知れぬヒラヒラした軟体動物のようであり、とてつもなく自由に見えるが同時に拘束されているようにも思える。遠い未来の強靭なサイボーグであり、また遠い過去に呪いに捉えられた魔女にも見える。その表情は恍惚なのか苦悶なのか真摯なのか区別がつかない。そして美しく、痛ましく、さらにエロくもあるのだ。
このように巨大な映像から送りつけられてくる、相反する複雑な「女性」のイメージに見る側も混乱していくようだ……。
J・チェッペ、ただ者ではないなという印象である。
トーキョーワンダーサイト渋谷って初めて行ったのだが、こんな渋谷でいつも歩いてる場所にあったとは--全然知りませんでしたです。
【関連リンク】
公式ページ
いかに正反対のイメージを与えているかという例。同じものを見てもこのように違う。
「pop nomad」
「はろるど・わーど」
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