「Bless B Quintet(ブレス・ビー・クインテット)」:感心はすれども感動はせず
ポリフォニー音楽の美味しいトコどり
会場:東京オペラシティ近江楽堂
2006年9月9日
会場に入って驚いた。開演までまだ20分ぐらいあるのに既にほとんど座席は埋まっていて、しかもその大半は三十~五十代のマダムなんである。男はホントに一握りしかいない。しかも、互いに顔見知りらしくて入口から入ってくる客の多くが、客席に向かって会釈するのだ。何かのサークルかファンクラブか門下生なのか?
BBQは女二人男三人の声楽アンサンブルである。バリトンの人以外はBCJなどでもおなじみの人であった。
ただし会場のセッティングが珍しいもので、真ん中に星型に五つの木の台がドーンと置いてあって、五人は客席に背を向けて互いに向き合って歌う。客席はその周りを取り巻くようにして配置してあるのだ。近江楽堂の反響の特性から、この配置がよく響くのだという。
ただ、客席からだと歌手の顔のあたりを見ようとすると照明が眩しいし、その下あたりに目を落とすと今度は向かい側に座っている客と目線が合ってしまう。従って足元の床でも見ている他はなくなってしまうのであった。どーすりゃいいのよ。
そんなこんなの外的要因のためになかなか集中することができなかった。
ブログラムは前半がフランスのシャンソンでル・ジュヌ、セルトン、ジャヌカンなど。「鳥の歌」などクレマン・ジャヌカン・アンサンブルが十八番にしている曲も幾つかあって、そういうのはどうしても無意識に聴き比べてしまう。端正な歌唱ではなくて、生き生きととしたテキストを重視した歌い方を取っているので余計に、である。
後半はやはりルネサンス期の教会音楽で、クレメンス・ノン・パパ、パレストリーナ、ラッススなどこちらも互いのアンサンブルを重視した歌い方だった。
曲目によって人数が変わり歌い手が出たり入ったりするなどした。歌手同士気心が知れた仲のようで、全体的に和気あいあいとしてリラックスした雰囲気。
また、それぞれの実力もよく堪能できた聴き甲斐のあるコンサートだったと思う。
しかし、だからといって楽しめたかというとそういう訳ではなかった。なんか聞き手としては置いてけぼりを食ったような印象だった。あーら、皆さん楽しそうに歌ってらっしゃるわね、みたいな感じ。(もちろんこれは私だけの話だ)
ルネサンス時代の声楽というのはそんなに頻繁にコンサートがある訳ではないので、機会があれば聴きたいと思うのだが、このグループに関しては次に行くことはないだろう。
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