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2006年10月 7日 (土)

「マイアミ・バイス」:残念無念の涙

監督:マイケル・マン
出演:コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス
米国2006年

正直に言おう。『ラスト・オブ・モヒカン』以来、マイケル・マンは外れなしの作品を作り続けてきたが、遂に失敗作を出してしまったようだ。よりによって『マイアミ・バイス』のリメイクで……。
これが泣かずにいられようかっつーの(T^T)クーッ

とにかく「面白い」「詰まらない」というより肝心な部分が抜け落ちているという印象だ。説明が全くないので、そもそも何も知らずに見たら、主人公たちのチームが一体普段何をやっているのかよく分からないんじゃないか?
それにどういうキャラクターなんだか性格や背景も不明。本当はインテリなんだかそれともたたき上げなのか、とか全く分からない。悪党側の方がよほど説明されている。

実際には冒頭にボートレースのシーンがあったらしいのだが、それが丸々なくなってしまったらしい。それでなんだか唐突な始まり方をしてたとか。
中盤以降もモヤモヤした部分が多い。タブスは相棒の暴走を表向きはかばっても、内心は疑念を抱いているはずなのだが、そこら辺はほとんど描写されてない。M・マンはその手の心理描写は得意なはずなんだけど、なんで? あまりJ・フォックスを起用した意味もない感じである。

ラストも大甘過ぎ。職業倫理上そんなことしてエエんですかっ?と言いたくなる。男女間の問題にしても惚れているから嘘をつかれても許すというのはありだけど、逆に惚れているからこそ絶対に許せない!というのもあるんじゃないの。ヒロインの性格設定だと後者ぽいと思ったんだけど--。

役者については、コリン・ファレルは今イチ似合っていなかったようだ……特にヒゲとロン毛が(^O^) J・フォックスは、先に書いたようにもったいない使い方。
コン・リーは監督が惚れ込んで起用したというのがよく分かる。分かるんだけど観客がそれに納得できるかどうかはビミョー。
その他、ジーナ姐さんは銃の構え方がカッコよくて最高!だったが、いかんせん出番自体が少ないのが残念。スワイテクなんてセリフなかったんじゃないの?
見ている間は全く分からなかったが、最初の方で刑事たちが脅したりなだめたりしてた仲介屋は、『クライム・ストーリー』の犯人の手下役の人だと後で思い出した。髪の毛がだいぶ寂しくなりましたねえ。(泣)

一方、公開時の宣伝文句に最もリアルな潜入捜査なんて書かれているのを見て、いくらなんでも「リアル」はないだろうと思って見たら、なるほどと納得できるところはあった。
この手のおとり捜査というのは地道に何度も相手と接触して信用させて、なんとか小口の仕事を貰ってさらに信頼を得て、今度は大口のヤマをドーンと……という積み重ねのようである。この映画のケースだといくら大きなヤマでもニューヨーク向けの仕事では意味がないので、じっとガマンして目的のものが来るまで待たなければならない。それ自体は非常に地味~な繰り返しなんだろうと推測する。

まあ、そんな地味な話では映画にならんので派手なラブシーンをドドーンと入れたのだろう。それは仕方ないと思うけど、長過ぎです……しかも主人公二人分も(>O<)

ただ、それとは別に犯罪が完全にグローバル化してるのは分かった。もう国境なんて関係ないんだねえ。

音楽の使い方は相変わらず良!(ただしラブシーンを除く)、サントラさっそく買っちまいましたよ。
映像も独特の質感があってよかった。夜の都市はもちろん、数少ない昼間の青空なんかも目が覚めるような鮮やかさだ。
それと終盤の銃撃戦はやっぱり素晴らしい。特に音響が良くて出だしからズドドーンと腹に来ました。思わず「こうでなくちゃ」とウットリ。構図や編集も素晴らしい。きっとまたパクる方々が出てくることだろう。これを見られただけでも元は取れたと思いたい……いや、思うぞ(キッパリ)。


さてオリジナルのTV版『マイアミ・バイス』は--大ファン \(^o^)/だった。もう題名聞いただけで頭の中にあのテーマ曲とロゴとフラミンゴの映像が浮かんできちゃうぐらい。再放送の時は全部ビデオに取って保存版にしてある。
今回出たBOXセット二つももちろん即購入した。見るヒマ無いけど(火暴)
始まった当初は主役のドン・ジョンソンを見て、ええーアメリカではこんな生臭い感じのが人気あるんかねー、と疑問に思ったがそのうちすっかりなじんでしまった(^-^;
一番驚いたのはストーリーの怒濤のような展開ぶり。「放送時間あと五分しかない!どうやってこの結末付けるんだっ?」と見ていて焦るが、毎回意外な展開でちゃんと終わらせてしまうのだ。
日本では米国ほど人気は出なくてむしろ設定を頂いた「××××刑事」の方がもてはやされた(クヤシイ~ッ)。それから大沢在昌の『新宿鮫』シリーズもかなり影響を受けていたと思う。

MTV風とか派手なファッションとか毎度の銃撃戦などが話題になったが、一方でリアルな所もあった。「リアル」なんていうと疑う人もいるかもしれないが、内務調査のトラブルとか、盗聴するにも裁判所命令がないとできないとか(これは米国ではつい最近できるになったらしい)、女刑事が娼婦に変装しておとり捜査をする時はちゃんと客の男役の刑事もいる(考えてみれば当然か)などなど細かい部分で、である。

映画版の感想でよく見かけるのが「なんで刑事なのにあんな高い車に乗っていい服着てるんだ」という疑問だが、あれは犯罪者から没収したのを使いまわしたりしている官給品だったり、おとり捜査のための必要経費で落としたりしているのだ。壊したりすると始末書を書かなくてはならないはず(多分)。
そういう部分も映画では全然説明なかったですねえ……。

M・マンはかつてTVで『マイアミ・バイス』を大きく当てた後、『クライム・ストーリー』で轟沈してしまったが再び返り咲いたという過去がある。今回は無念の出来だったが、次作でまたやってくれると期待したい。頼むよ~、監督!


主観点:6点
客観点:5点

【関連リンク】
この映画の中に登場する車について詳しく書いてある。この方面には全く無知なので、金額を見て頭がクラクラしてしまった。
《日本一の車屋を目指す22歳 社長ブログ》

「ラブシーン祭り」に笑いました。
「enjoy! MOVIE☆LIFE」

私同様にTV版ファンの方の率直な意見
「固ゆで卵で行こう!」

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コメント

TB、ありがとうございました!
TVシリーズのファンだった者としては、過剰な期待は禁物と思いつつも、やはり期待して観ちゃいますね(^^;

昔のTVシリーズ観たくなってレンタル屋さんで探したけど、置いてなくて涙。
BOXセット、自分も欲しいです。

投稿: しゃお | 2006年10月 7日 (土) 18時14分

コメントありがとうございます。
見る前から色々噂を聞いていたのでTV版とは別物とは覚悟していましたが、やはり実際見てしまうと「ジート&スワイテクを出すなら、ワニのエルビスはどうしたっ?」などと言いたくなってしまいますねえ。

BOXセットは半ば映画化記念っぽいので今買わないともう入手できないのではないかと焦って購入しました。
TVを質に入れてでもこの際、入手をオススメします。(^=^; で、DVDはパソコンで見る、と。

投稿: さわやか革命 | 2006年10月 8日 (日) 12時25分

こんばんは。TBありがとうございました。そして「ラブシーン祭り」で笑っていただけたとは・・ありがとうございます(笑)


過剰なラブシーンの挿入は駄目ですね。あれのせいで緊迫感にかけました。私はドラマは見たことがないので映画が初「マイアミ・バイス」です。やはりドラマとは雰囲気が違うんでしょうね。


物足りなさがあったものの、迫力ある銃撃戦や監督お得意(?)の夜のシーン、音楽などは満足。
それだけに勿体無い作品であったなと思いました。

投稿: rain | 2006年10月11日 (水) 01時01分

>rainさん
お越し下さりありがとうです。

「ラブシーン祭り」はいかにも言い得て妙です。
観客の「キタキタ、キターッ!また来たよ……」という感じをよく表わしているかと思いました(^^)

|やはりドラマとは雰囲気が違うんでしょうね。

共通なのは「マイアミ」「おとり捜査」「白黒二人組」ぐらいでしょうか。

投稿: さわやか革命 | 2006年10月12日 (木) 06時31分

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