ビル・ヴィオラ「はつゆめ」:火曜日が5時終了なんて断固抗議する!
会場:森美術館
2006年10月14日~2007年1月8日
ビル・ヴィオラは「ヴィデオ・アート第一人者」とのこと。アジアでは初の個展ということである。彼の作品はかなり昔にワタリウムかどこかで小品を一つ見た事があるぐらいだ。
平日に休みが取れて、森美術館は夜遅くまでやっているので午後ゆっくりと家を出た。とっころが(!o!)窓口で「火曜日は5時までです」って言うじゃあ~りませんか。え゛ーっ、聞いてねえよ!「責任者出せーっ」と叫んでバッグから包丁とカッターナイフを取り出して、暴れた--いところだったが何も凶器を持ってなかったし、六本木まで来て今さら帰る訳も行かず仕方なく大人しくチケットを買ったのであった。
どーせ、ちゃんと調べなかった私が悪いのよ(+_+)ショボショボ
というわけでじっくり時間をかけるつもりが駆け足鑑賞になってしまった。だが、どの作品もスローモーションが使ってあって、ホントは時間をかけて見ないとダメなヤツばかりなんだよね(泣)
最初の「クロッシング」は一枚の巨大なスクリーンの裏表に、遠方から歩いてくる男が段々と近づいて来て画面の手前で止まる。そして片側の画面では大きな炎に焼かれて消える。その裏側では同時に大量の水に打たれて消えていく。
私は「水」の方により感銘を受けたが、いずれもスローモーションで歩み寄ってくる時間が長く、気が短い人はガマンが出来ないだろう。
男が消滅する時のポーズに宗教的な意味が読み取れるようだが、私はむしろ激しいストレスにさらされ消えていく現代人の姿を見た。
何枚も薄い布を下げてその両側から映像を投影する「ベール」。映像は森を歩く人とこもれ日を映しているようで、布を通ってくる映像のはかない感じがよかった。もっとも、実際にはこれにもストーリーがあるそうで、二つの映像はそれぞれ男女が歩く姿を追っていて、布の真ん中でちょうど出会うようになっているらしい。
そんなの、分かんねーぞ??
できれば映像が一巡する時間も、記載してくれるとありがたいんだけどねえ……。
「天と地」は上と下からブラウン管のモニターが向かい合っている。その間は10センチぐらい? そのすき間から映っている映像を覗き込むんだが、上の方は死期の迫っている老人のようだったが、下の方は……私はチビなので画面の位置が高くてよく見えないのであった。
「身長の不自由な方は見えません」と注意書きしてくれい(-.-;)
後で調べると下のモニターは赤ん坊の映像だったらしい。つまりほんの少しの空間を挟んで死と誕生が向かい合っているという作品なのだ。でもチビには分からんのよ。(泣)
静止した写真が額に入れて飾ってあるのかと思うと、実はほんの少しずつ動いている「動く写真」の作品群も面白かった。一枚の写真かと思ってたら、しばらくたって見ると涙を流してたりして--何気なく壁に飾ってあったらビックリだろう。
しかし、多くの人物の表情は暗かったり、寂しかったり、あるいは怒りを爆発させてたりしているので、日常性を逸脱している。
「サレンダー/沈潜」は水に腰まで浸かり、さらにその水に顔を付けては上げる人物をモニターに映したもの。ただ、その映像自体が水面のようにグンニャリと歪んでいて、水面から「プハッ」と顔を上げて水を払う仕草がまるでF・ベーコンの人物像みたいに不気味に見えるのだ。
--と色々な作品があったのだが、ただでさえ時間がないのに私は時間配分を間違えて、一番の話題作「ミレニアムの5天使」に来た時はもう5分しか残ってなかった。あんまりだー。
大きなスペースに巨大なスクリーンが5枚。それぞれ別の映像が写されているが何だか分からない。その内の一枚を注目してみると、闇を背景に光の小さな点の列が見える。はたしてこれは何か? 上空から撮った都市の夜景か、宇宙の果てで銀河が暗黒星雲に呑み込まれている天体写真か、夜の火山に流れる溶岩の残り火か?
長い時間をかけて見ていると、これが人(天使)が水に飛び込んだり潜っている姿を水中や水面から撮ったものだと分かってくる。
だが、ここで虚しくタイムアウトで残念無念。この作品だけまた見るために千五百円払うのはなあ……。展望台はいらないから美術館だけの安いチケット売ってくれないかしらん。
で結論は、
気の短い人には向かない。
「はつゆめ」という作品は見られないのにタイトルにするのはどーよ?
--であった。
時間が大いに余ったので、ヒマ潰しにまた展望台へいく。ちょうど夕暮れの時間で東京タワーのライトアップがキレイであった。アベックが一杯いてケータイで写真を撮りまくっていた。
美術館の客の中には「展望台のついで」という人だけでなく、学校の課題で見に来る(もちろん仕方なく)という学生も結構いるらしい。まあ、美術館側にとっちゃ入場者が増えるからいいんだろうけど、そんな課題出すなと思うのは私だけか?
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