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2006年11月25日 (土)

「天正少年使節と音楽の旅 2 妙なる響き編」:もっともっと演奏を聴きた~い

内容:サン・ピエトロ大聖堂から聚楽第へ
演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
解説:皆川達夫
会場:サントリーホール 大ホール
2006年11月23日

天正少年使節の旅と音楽を追う9月のレクチャーコンサートの後編。今回はローマ法王の謁見から帰国後まで。

前回でも感じたことなのだが、どうも内容の構成が今イチだった。俳優を語り手に芝居っぽくした部分と、皆川先生と鈴木雅明の掛け合いによるレクチャーと、演奏の部分のそれぞれのバランスがどうも悪い。どっちつかずな感じで中途半端である。

とはいえ、色々見所(聞きどころ)はあった。ルネサンスは声楽中心で器楽演奏は一段下に見られていたとか、少年使節の訪欧は向こうの人たちにとってもカルチャーショックで百冊も本が書かれたとか、秀吉の前で少年使節たちが演奏したのは60パーセントの確率で(皆川先生推定比による)ジョスカン・デ・プレの「千々の悲しみ」に違いない、などなど。
また、使節たちへの歓迎ぶりを描いた絵が訪問した都市に残されているのにも驚く。先生はそれに対する日本人の無関心さにいささか憤慨しているようであった。

演奏の方はBCJの合唱隊が大活躍。ポリフォニーの綾というようなものを緻密に再現していた。また、ヴァイオリンが若松・高田ペアであったのも嬉しい。
聞きどころだったのは、アンドレア・ガブリエリの「16声のミサ」と休憩を挟んでモンテヴェルディ「めでたき海の星」である。両方とも、ああっ!もっともっと聴かせてくれ~と思わずサントリーホールの床に倒れ込む気分だった。
とりわけガブリエリは曲も演奏も壮麗でよかった。もっと狭くて残響が長い教会のような所で聴けたら最高だったろう。きっと極楽にいるような恍惚感でポワーンとした気分になってしまったに違いない。

ただ、トロンボーンが最初の曲でちょっとズッコケたような音に聞こえたのは私だけか?(その後はよかったけど)

後半は話がクライマックスになるにつれ、あまり音楽の方は大きく使われず、音楽面を期待して行った私は不完全燃焼であった。やっぱり最後にドドーンと行って欲しいよね。あと演奏にナレーションを重ねるのも止めて欲しかったよ。

さて、今回も皆川先生のオヤヂギャグが炸裂するかと覚悟していったら、数は少なくて一回しかやらなかった。しかし……(~_~;)その一回が超弩級のオヤヂギャグで、あまりのことに聴衆は椅子から滑り落ち、ガット弦はことごとくブチッと切れ、トロンボーンの管はグンニャリと曲がり、リコーダーにはパキッとひびが入り、チェンバロの調律は狂いまくり、歌手たちは一斉にゲホゲホと咳き込むほどであった。(←いささか大袈裟に書いております(^^;)
恐るべし皆川先生! その衝撃を受けたせいかサントリーホールは来年に数ヶ月間改修休館するという……。


【関連リンク】
第1回目の感想はこちら

こちらにも内容が詳しく紹介されています。
《ミューズの森、美術館そぞろ歩きノート》から「天正少年使節と音楽の旅-3 妙なる響き」

ラストのオルガン曲については全く同感。ただこの企画自体「オルガンレクチャーコンサート」なんでシメは一発派手なオルガン曲でないとダメなのかも。
《UN JOUR》より「勤労感謝の日、ごほうびの日」

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コメント

TBありがとうございました。
確かにガブリエリとモンテヴェルディは、あのメンバーでもっともっと聴かせて欲しかったと思いました。
それにしても、前回の小ネタばらまき路線から一転しての皆川大先生渾身の一発ギャグについては、その満場を揺るがした衝撃の大きさを伝えていてお見事です!

投稿: hokuto77 | 2006年11月26日 (日) 22時08分

お越し下さりありがとうございます。

|前回の小ネタばらまき路線から一転しての皆川大先生渾身の一発ギャグについては

まさに「来る、来る--遂にキタ~~ッ!」という感じでしたね。あれ以上のギャグをやろうとしたら、きっと鈴木氏が「先生、コンサート中でござる。お控えめされい」と後ろからはがいじめにして止める役割だったのだろうと、信じて疑いません。(^o^;

投稿: さわやか革命 | 2006年11月27日 (月) 21時59分

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