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2006年11月 1日 (水)

「ルネサンス・宗教音楽の夕べ」:神の家でケータイを鳴らす者は

聖フランシスコ・ザビエルの時代の音楽
出演:ムシカ・フィクタ
会場:日本福音ルーテル東京教会
2006年10月24日

大分で開催された「豊後ルネサンス音楽祭」の一環として一回だけ東京で行なわれた公演である。
最初にNHK-FMで「朝のバロック」を担当していたアナウンサーの日野直子が登場して音楽祭開催ののいきさつなどを話した。彼女は豊後の出身だそうだ。
音楽祭の中心は日本のアントネッロと、この日登場のムシカ・フィクタが二本柱になって行なわれたもよう。

このグループはスペインの五人組のアカペラ合唱グループで、この日はフランシスコ・ザビエル生誕500年記念としてスペインの宗教音楽を歌った。私は実は雑誌「アントレ」のコンサート・スケジュールを見て何も分からずに、とにかく聴いてみようと直前にチケットを買ったぐらいなので、完全なアカペラというのさえ知らなかった。

指揮のラウル・マリャビバレナは秋葉原にいても不思議ではないような大柄なヲタクっぽい外見の男性。他の四人は一声部一人ずつで、みんな若い。
アカペラと言っても、美しいハーモニーを聞かせる--というのではなく、個々の歌手の生きのいい掛け合いを重視するようなタイプである。

プログラムはゲレーロ、モラーレス、ビクトリアといった有名作曲家を中心に、一部世俗歌曲も交じったもの。前半は今イチだったが、後半に至って段々良くなってきた。
特にオルティスの「サルヴェ・レジーナ」、ゲレーロの「アヴェ・マリア」、世俗曲の「何を使って洗いましょう」が聴かせてくれた。
また「ウプサラの歌曲集」からの、クリスマス・ソングとしても知られる「リウ・リウ・チウ」や「ファララランラレーラ」のような民謡っぽい素朴な宗教曲もよかった。
テクニックなどについてはトーシロなのでよく分からないが、すごーく巧いというよりは、若くて本場スペイン出身というのが強み、といった感じだろう。普通のコンサートではあまりそういう現在進行形の若手グループは聴けないので、得した気分になれた。

外は雨で気温が低い日だったが、教会内は結構暑くて上着を脱いでいる人がチラホラ。メンバーもしきりに汗をぬぐったり、ミネラルウォーターを飲んだりしていた。

さて、一番感動したのは真摯で流麗な「アヴェ・マリア」だったわけだが、ちょうど曲が終わって会場がシンとして感動が高まったところで、な、なんとどこからかケータイの呼び出し音が響いてきたのである! ちゃんと最初に日野さんが切ってくれと注意したのに、なぜだ、なぜなんだー(怒) なぜ切らぬっつーの(*`ε´*)ノ☆
教会でこのようなことをする不届き者を決して神は許すまい、今にも罪人の頭に神の怒りの鉄槌である雷が落ち、そして教会の床がパックリと開いて地獄に引きずり込むに違いない--と私は期待して待ち構えていたのだが、何も起こらなかった。どーやら、神様は気にしていないようだった。(脱力)

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