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2006年12月 2日 (土)

「アイドル!」展:質問!吉永小百合はアイドルじゃないんですか?

会場:横浜美術館
2006年10月7日~2007年1月8日

なんか全然話題になってない展覧会である。私なんか開催を知ったのは始まって一か月も経ってからだ。おまけに感想を読んでみてもなんかはかばかしいものがない。
が、しかし実際に見てみなければ分からないだろうという事で行ってみた。
結果は……なるほど、ビミョー(-o-;)

ポスターをはじめ美術館内外の至る所に蜷川実花が使われている。うまくはまっていて、とても目立つ。

遅い時間に行ったせいか、あんまり人がいない。アイドルを題材にした少女マンガやゲームのコーナーはホントに誰もいなかった。昼間なら小学生のいる家族連れが見ていそうだけど。大人の客は完全スルー状態、見向きもしない。いいのかそれで。
グッズやカードがいっぱい出ていて、金がかかるだろうなあと感心。

KATHYは顔に黒ストッキングくっつけて、それ以外のファッションはお嬢様っぽい感じで踊ったり走ったりしている三人娘の映像。ちょっと不気味で面白い。
私はジャナイナ・ツェッペを思い出した。彼女は顔に風船くっつけて19世紀末風の衣装を着て踊っていた映像作品がある。両者共に女らしさとコミュニケーション不全がテーマか。

篠山紀信が撮った山口百恵コーナーは人が結構いた。NHKの番組を再構成した静止画による映像を流している。地元出身のアイドルという事で彼女が選ばれたのだろうか。
山口百恵と私は完全に同世代だが、友達と「百恵ちゃん、いいよねー」なんて話した記憶は全くない(三人娘の他の二人についても同様)。恐らく歌謡曲のアイドルの在り方が変わったのはピンクレディーあたりからと推測するがどうだろう。

そのコーナーには往年の「明星」と名前忘れたが現在のアイドル誌の表紙がペタペタと貼ってあって、私は「明星」の方の表紙の顔は全て分かったが、現在の方は全く誰一人として知らなかった(^-^;

草間彌生が詩を読んでる映像作品は、アイドルというより座敷わらしのよう。
川島秀明の目玉の大きいフワフワした感じの女性像は、フワフワゆえにちょっとコワクて圧倒的な迫力。帰りにポストカード買っちゃった(^^)

蜷川実花の作品は館内の至る所に掲示してあって、被写体の中には若いモンだけじゃなくて草間彌生や松平健なんて人もまじっていた。

しかし、これらが「アイドル」かというと???である。別に「少女」でもいいし、ビル・ヴィオラじゃないけどそれこそ「はつゆめ」というタイトルでも一向に構わなかった気がする。
風俗史的アプローチを試みる訳でもないし、なんだか全てにいい加減な気がした。
収蔵展の方には秋山庄太郎の肖像写真のコーナーもあったぐらいだから、どうせなら篠山・蜷川と並べて三世代アイドル写真比べでもやったらよかったのにと思った。
吉永小百合はもちろん、高峰秀子だって当時のアイドル風だったんじゃないの? 私の母親なんか「デコちゃん」なんて呼んでてて親近感持ってたみたい。


続いてさらに人の少ないコレクション展の方にいく。こちらはかなり見応えあった。横浜市民の皆様の税金のおかげでございますm(_ _)m
最初に入った部屋には奈良美智の連作や、一点だけど舟越桂や有元利夫の絵があった。また、シュール・レアリスムの部屋は圧巻。上野では混んでて見られないダリの大作をゆったり鑑賞。ベーコン、マグリット--さらにエルンストのデカルコマニーの作品は思わずウットリ見とれてしまった。なんというか、あの溶ろけたような醜悪なノイズのような絵具のタッチが脳ミソに快く染み渡ってくるのである。

上の方でも書いた秋山庄太郎のコーナーも数が多くて迫力。女優だけじゃなくて作家も多数。里見トンなんて人まであってビックリ。

ということで、コレクション展と合わせて収支トントンな横浜美術館であった。

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