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2006年12月 9日 (土)

櫻田亨リュートリサイタル:リュート様7台揃い踏み

やすらぎのガット・7つの響き
会場:東京オペラシティ 近江楽堂
2006年12月5日

ステージの背後には7台のリュート(とテオルボ)が並んでいる。と、そこへなぜか櫻田亨の師匠の佐藤豊彦が登場。調弦に時間がかかるので、彼が解説話をしている間に演奏者がひたすら調弦するとのことだった。

このコンサートは、各時代のリュートで当時の曲を年代順に弾いて行くという趣向。これはまさに実際に聴いて見て実感のリュート音楽史--いや、ルネサンス~バロック音楽史の試みである。なんと豪勢な内容ではにゃあですかっ!
だが、その背後には……。
佐藤師匠が語るには本日使用のガット弦は総計130本。一体何匹の羊さんのおかげであることやら(古楽器に使用のガット弦は羊の腸から作る)。羊さんたちのご冥福をお祈りします(-人-)ナムナム

最初の6コースのリュートでは15世紀末から16世紀初頭に使われたものの複製。オランダにある最古の設計図から復元したものだそうだ。演目の作曲家はフランチェスコ・ダ・ミラノとノイジドラー(後者は知らず)。なんかちょっと変わった音。うまく表現できんが。ダ・ミラノの曲はかわいらしい感じ。

その後は8コース(16世紀後半)、10コース(17世紀)と進み、前半最後は13コースのアーチリュートが登場。低音の弦のネックだけ長く伸びている。ここで、ルネサンス時代に追求された均整美は終わり、バロックの歪みが求められる時代に変わっていったという。

後半は11コースのバロックリュート、14コースのテオルボ、そして同じくバロックリュート(18世紀前半)という流れだった。バロック期には調弦法がフランス式になったという大きな変化があったそうな。
全体通して良かったのはやはりラストのヴァイスであった。「シャコンヌ」は佐藤師匠の名演があるが、また違った弾きぶりであった。

それにしても、7種類もあると調弦が大変で、休憩時間もステージに現われてちょこまかと調弦している櫻田亨は大変そう。まさしく「リュート(テオルボ)奏者の人生は演奏している時間より調弦している時間の方が長い」という言葉を実感できた。その姿はわがままなリュート様たちにかいがいしく使える侍従のよう。一方、客の方もリュート様に合わせて低めに設定された室温に、コートを着込んでガマンガマンの鑑賞だった。
もちろんこの会場で一番偉いのは聴衆でも演奏者でもなく、リュート様だったのは間違いない。

最前列に座っていた中年女性二人が赤いバラの花束を渡すはずだったらしいが、タイミングを逸して客が帰り始めてから渡すという羽目に……。やはりアンコールの前か直後じゃないとダメでしょう。

「リュート音楽の花は渋く美しい。その実は深い味わいがする。だがその香りはリュート奏者の汗と涙の匂いがする(T^T)クーッ」(「細ガット弦繁盛記」より)

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