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2006年12月 4日 (月)

パヴィメント・ジャパン コンサート:モダンと古楽の間には深くて暗い河があるかも

音楽本来の生命力がここに復活!
演奏:パヴィメント・ジャパン
会場:ハクジュホール
2006年11月29日

このコンサートのチケットが発売されたのはかなり前のことだと記憶している(7月ぐらい)。チラシに「炸裂するバロック!」なんてあおり文句が書かれていて、私は「ふむふむ、チェンバロは大塚さんか。他の人は全然知らんけど新しいグループかなー。取りあえず聞いてみるか」とチケットを買ったのである。
そして、これが古楽器ではなくモダン楽器のグループだと知ったのは、購入後約一か月以上も経ってからであった……。

なにーっ、聞いてねーよ!サギ!インチキ!金返せ~(>O<)

どーせ、どーせ、ちゃんと調べなかった私が悪いのよう(T^T)クーッ

で、行くのやめようかと思ったけど、いやモダンだからといって最初から頭ごなしに決めつけてはイカン。ちゃんと聞いてみなくては何事も分からんぞ--と気を取り直して行くことにした。

客席は若い人が多い。女性率も高くて華やいだ雰囲気。普段行ってるコンサートとは大違いだ。
総勢9名のメンバーがステージに登場した時私は思わず冷汗をかいた。顎当て付きのヴァイオリンを生で見たのは一体いつのことであろうか? 必死に思い出そうとしたが思い出せん。そのぐらい遠い昔の事に違いない。普段、私は顎当てなしのバロック・ヴァイオリンしか見てないのだった。(ただ、弓はバロック仕様だった?)

以下はそういう完全トーシロの感想である。

演奏が始まって最初に感じたのは……「音がデカい」
古楽器だったら絶対、拡声装置使ってると確信しちゃうレベル。こんなに違うのか。さらに音合わせの時間もすごーく短い。(当然?)

一曲めはパーセルの音楽劇の序曲で極めて短い曲だった。
が、その後の休憩も挟んで3曲はテレマン、C・P・E・バッハとやや古典派寄りの選曲である。正直なところ、バロックというわりには腰が引けてるんじゃないのと思ったのは事実である。

曲の途中にメンバーの解説がいちいち入る。バロック・ファン以外にはそんなにテレマンやヘンデルはマイナーなのか。前半のコントラバスの人はまだ良かったが、後半のファゴットの人の話はタラタラと長くて、しかもマイクを口に近づけ過ぎて時折何を言っているのか聞き取れない。ここで眠気虫に食いつかれた人多数と見た。

とはいえ、古典派寄りの演奏は結構良かったと思う。
ただ問題はその後のヘンデル、ヴィヴァルディ。解説で「変な曲」だと強調してたがそんなに変かね? ともあれ、言っては悪いが馬脚を露わしてしまったという印象。
昔バロック初心者の頃、モダン楽器の録音を聞いてた時にコレルリやヴィヴァルディが名曲というわりには、どこがいいのかよく分からなかったのを思い出した。
アクの強い部分を強調して弾いてたみたいだけど、全体の流れや調和としてはどーよ?である。

アンコールのバッハはなかなかに聴かせた。バッハはモダンでも古楽器でもどちらでもよいものはよい--という説が実証されたようだった。

全体的には、通奏低音が全く冴えなかったことが大幅減点。音圧はデカいんだけどね--。それからこれは全く個人的好みの問題だが、弦の音が深みがなくて詰まらなかった。

こちらにメンバーのインタヴューがあるが、はて「表現力の大きなモダンでバロックを真剣にやったら、面白いことになる」というのは??? 異議ありと申したいところである。
こういう事言っちゃうから、鈴木秀美に「チェロにはエンドピンも無かったということを知らず、それが不完全で現代より劣るものと考える音楽家が多いのには驚く。」(無伴奏チェロ組曲第2夜の解説文より)なんて書かれるんじゃないのか。

そんなにバロックが好きなら、次はビーバーとかムファットとかF・クープランあたりも是非お願いしたいって言ったらダメ?

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