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2007年1月20日 (土)

ヘンデル オラトリオ「ヘラクレス」:浜離宮朝日ホールは暑くて熱かった

第4回ヘンデル・フェスティバル・ジャパン
演奏:渡邉孝&キャノンズ・コンサート室内管弦楽団&合唱団
会場:浜離宮朝日ホール
2007年1月14日

一応毎年行っているヘンデル・フェスティバル・ジャパン、過去には3企画全てのチケットを買っておきながら一つしか行けなかったという悲惨なこともあった(T_T)が、今年はめでたく企画1と共に皆勤である。

去年のメイン企画はオラトリオ『ヘラクレスの選択』だったが、今年は同じくヘラクレスネタのオラトリオ(オペラと違って、演奏会形式で行なわれる)だ。
しかし昨年のは青年ヘラクレスの成長を巡ってのどっちかというと牧歌的な内容だったのだが、今回の『ヘラクレス』はその悲惨な死の経緯を描くというコワーい物語である。
最初に12月の公演で指揮をしてた三澤寿喜が現われて簡単な解説(今回はちゃんとマイクを持っていた)。

物語の中心は専ら二人の女性--ヘラクレスの妃デージャナイラと捕虜の王女アイオレで、なんとタイトルロールのヘラクレスは完全に脇役(一番後から登場して早々に引っ込んでしまう)なのであった。
戦争に行って安否も分からぬ夫を案じてやきもきしているお妃。ようやく無事に凱旋してきたヘラクレスを見れば、なんと敵国の王女を捕虜として連れてきてるぢゃないのさ。それがまた若くてベッピンで喪服なんか着て(肉親が戦死したので)楚々としちゃって、男心をそそっちゃうタイプ。かくして妃に疑惑と嫉妬心がメ~ラメラと燃え上がるのであった。
一方、ヘラクレスにしてみればようやく戦い済んで故国に戻って来て、さてかーちゃんと二人きりで温泉にでも入ってゆっくりすべえ、と思っていたのに、なぜか妻はコワイ顔をして睨んでるではないか! なぜ、どーしてω(T_T)ω あんまりだーっ。
まさに「英雄はつらいよ」状態なのであった。

かくして妻の嫉妬から悲劇は転がり始めていくという次第。
デージャナイラが波多野睦美、アイオレが野々下由香里で、米良美一は従臣役で珍しく脇に回るという配役。
見どころ、聞きどころは数々あれど、やはりダントツはヘンデル作品ではおなじみ(?)狂乱の場を歌いきった波多野睦美だろう。ヘラクレスの予期せぬ死を知った妻の、悔悟と憎悪と恐怖の間を目まぐるしく行き交う激情を、怒濤のような勢いと鋭さで表現していた。正直言って、ロック、クラシックなどジャンルに関らずこれほどまでに心揺さぶられる歌を聴いたのは絶えて久しくないほどだ。もはやこれは楽譜に載せられた歌を歌っているレベルではない--それを超えた何ものかが存在していたと思う。
そして、その後を清々しく受けて歌う野々下由香里もまた素晴らしかった。この二人の歌の件では思わず涙が出てしまったよ(T^T)クーッ
ああ、聴いてよかったと心から思いました、ハイ。

一方オーケストラだが、弦楽の中心になっているのは昨年の目白の音楽祭でも活躍したリクレアツィオン・ダルカディアの面々。ヴァイオリンなんか四人きりで、皆若い女性ばかりだ。しかし、それぞれの場面で歌い手の心情に寄り添うようにでしゃばりもせず、引っ込み過ぎでもなく、達者で緩急自在な演奏を繰り広げた。チェロを除いて立ちっぱなし(ステージの広さの関係?)だったのはご苦労さんです<(_ _)>
指揮兼鍵盤(オルガンとチェンバロを重ねて置いて弾いてた)の渡邉氏にも感心。今年の音楽祭も楽しみだー。
オーボエは三宮&江崎コンビだったが、この二人が並んでるのを見たのは久し振りな感じがする。その他途中でホルン、ティンパニ、トランペットも参加。
7500円のチケット代の元は完全に取れたと断言しよう。

ただ、長い。ヘンデル先生長過ぎです! 3時に開演して二回休憩が入ったとはいえ、終わったのは7時半近かった。途中で眠気虫がちょろちょろと徘徊していたようである(最前列で爆睡してた人もいた)。さすがに座っているだけでも疲れた。
おまけに会場が異常に暑い(楽器のため?)。一階席で汗かいてるくらいだから、二階のバルコニー席やライトの当たるステージ上はもっと暑かったろう。特に通奏低音、中でもずーっと終始引きっぱなしのチェロの懸田氏は大変だったのではないかと思われる。

それから、開演直前に座席が分からなくてウロウロしてたおじーさん(連れがチケットを持っていて先に入場していたらしい)はどうなったんだろうか? 会場の係員も大変だー。

ところで、波多野さんは真紅のドレスで登場したのに対し、野々下さんは金の縫い取りのあるベージュのドレス。さらに米良さんはショッキングピンクの中国服(?)風(これが結構似合っておりました)--という好対照で目を引いた。
場待ちをしている間は、ギュッと目をつぶっている波多野さん、キビシイ顔つきで楽譜をめくる野々下さん、宙をじっと見つめる米良さん、とこれまた対照的だった。
でも、野々下さんたら退場の時に波多野さんのお衣装の裾を踏んづけちゃイヤ~ン。


【関連リンク】
感想に同感。粗筋も詳しく紹介されています。
《風の歌日記》

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コメント

初めてコメントします。どうぞよろしく。
東京ではなかなか良いものが上演していたのですね。羨ましいものです。知っていれば出かけていたかも知れません。
関西でも、毎年ヘンデルのオペラがVOCと言うところの主催で上演されますが、
http://www.vivava.org/
毎年聞かされるのが「資金不足で来年はどうなるか分かりません」です。なんとかならないでしょうかね。日本の政府にの文化事業に対する対応。

三宮さんのオーボエは、BCJの本拠の神戸の松蔭で聞きました。ほかにもバロックオーボエの生の演奏をいくつか聞きましたが、三宮さんに及ぶ人はいないように思いました。CDなどでは軽々と吹いているように聞こえますが、生演奏を聴いていると、なんだかかなり難しいのではないかと言う印象を持ちました。

投稿: Hokurajin | 2007年1月20日 (土) 21時33分

コメントありがとうございます。実はそちらのブログも拝見させていただいております。これからもよろしくお願いします。
リンク先のHPを見ると、かなり本格的な上演なようですね。これだとやはり資金繰りは大変かと思います。
HFJの方は来年も同時期にやるのが決定しているようなのでもしよろしかったら……(と悪魔の囁き(^^;)

でも、今度のBCJの公演に合わせて来日するコンチェルト・パラティーノの単独公演は神戸でしかやらないようで、逆に「なんで東京でやってくれんのよ」と歯噛みしております。

三宮氏はまだ若いけれど日本のバロック・オーボエでは「第一人者」格のようですね。BCJ系のコンサートではもう毎度のことなので誰も何もいいませんが、初めて聞いた人はビックリするようです。いつだったか、サントリーホールでの公演だと思うのですが、後ろの席の男性が「あのオーボエうまいわ」としきりに感心してました。

投稿: さわやか革命 | 2007年1月21日 (日) 11時18分

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