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2007年3月11日 (日)

「ドリームガールズ」:久々の正統派エンタテインメント

監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ジェニファー・ハドソン
米国2006年

ダイアナ・ロス&シュープリームスをモデルにした1980年代のミュージカルを映画化したもの。元のミュージカルは確か日本人キャストでも上演されたはず(演出は宮本亜門?)。
私が音楽を聴き始めた頃は既にダイアナ・ロスは「演歌の女王」……じゃなかった、とにかく大スターになってたんで、過去にこんないざこざがあったとはよく知らなかった。ただ、ビリー・ホリディを映画で演じた時はジャズ界で総スカン食らった記憶がある。

結論から言えば、久々に娯楽大作を堪能したっ \(^o^)/ 芸達者な美男美女(設定上、美女じゃない人もいますが(^^;)が歌あり踊りあり、衣装も装置も見事、時間の経つのも忘れました。
特に歌の部分は大迫力で、大画面で音のいい映画館で見てこそ楽しめる。前半はジェニファー・ハドソンの歌が圧倒的(思わず泣けたぞ)、後半は衣装をとっかえひっかえのビヨンセのパフォーマンスが華やか。
見終った後にみんなで「私はハドソン派」「いや、やっぱりビヨンセでしょう」などとガヤガヤ言い合うのもお楽しみだ~。
いやー、やっぱり映画ってこうじゃなくちゃね。

内容はソウル・ミュージックの真正ファンには却って気になる所が多くてのめり込めないかも。むしろ、私のように全米トップ40を毎週愛聴していたような人間の方が、ああ、こういうグループそういう歌手もいたよなー、なんて懐かしく思って見てしまった。時代と共に変遷していく音楽スタイルの差異をきっちり描いているからだろう。また、同じ曲を売れセン仕立てにした時の違いにも苦笑。

そういう目で見ると、エディ・マーフィ演ずるベテラン歌手は黒人男性歌手のありとあらゆるタイプを時代の流れに合わせてやって見せてくれているようである。(シメはもちろんJBだっ) よくよく考えるとよほどの芸達者でないと出来ない技か。
悪役に徹したJ・フォックスや、マネージャーのダニー・グローヴァー(お懐かしや)、ちょっとしか出て来ない歌手達もよかった。(なぜかジョン・リスゴーもチョイ役で顔出している)

ただ、ビヨンセもJ・ハドソンについては、二人ともあまりにも素のキャラクターにはまってる役なんで、これから役者としてどうなるか一抹の不安あり。

物語は最後に、売らんかなで時代に迎合していく音楽を作るというビジネスのあり方を批判して、独立した歌手達の熱唱で終わる。
しかし現実に目を向ければ、どうだろう。長い間自分の音を作り続けてきたミュージシャンは冷遇され、レコードもなかなか出せない状況らしい。(出たとしても、日本では発売されない)
ジョニ・ミッチェルなんか激越な業界絶縁宣言まで出したほどだしねえ。

という訳でまさにエンタテインメントの王道を行くようなよく出来た作品なのに、解せないのはアカデミー賞の作品賞にノミネートされなかった事である。監督・脚本をやってるビル・コンドンがやはり脚本を担当した『シカゴ』が作品賞を取ったけど、はっきり言ってこっちのが出来はずっと上。『シカゴ』にやるんだったら『ドリームガールズ』も取って当然じゃないの。
さらに歌曲賞もナシには驚いた。あのねえ、なんで『不都合な真実』なわけ? だったら『カーズ』にくれー。大体、ランディ・ニューマンとジェームズ・テイラーの実績と才能を合わせたらアラン・アーキンもピーター・オトゥールもかなわねえぞ、ゴルァ(*`ε´*)ノ☆ ええい腹が立つ、ムキーッ(←歯をむき出して怒っている様子)。
やはりアフリカ系主要キャストの映画だったからか、と言われても仕方ないよねえ。

ともあれ、少しでも興味がある人はDVD出るまで待ったりせず、映画館で見る事をオススメする。

なお、冒頭に字幕の担当者としてあの「冥王の回し者」(←懐かしい言い回し)の名前が出てきて、ガクッとなってしまった。どうも字幕のエフィのDQN女子度が高くなっているもよう。エフィのゴーマンなキャラクターが気に食わないという意見を幾つか見かけたが、字幕のせいもあるかもだ。
2ちゃんより一例を貼り付けておこう。

エフィが新メンバー加入に対して怒る歌で、
「私に何も知らせないで、ヤブから棒に!」
みたいな歌詞になってて泣けた。ヤブから棒に、って・・・。
ちなみにサントラCDの訳詞は、
「警告してくれれば良かった。そんな優しさすら無いのね!」
みたいな感じ。


主観点:8点
客観点:9点(大画面にて鑑賞を推奨)

【関連リンク】
同感するところ多数。
《♯Credo》

舞台版を見たことのある方の感想です。
《ようこそ劇場へ!》

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