「皇帝の歌と王宮の音楽」:ビウエラ様のご機嫌を損ねる
ナルバエスとド・ヴィゼーの音楽
演奏:佐藤豊彦
会場:近江楽堂
2007年3月23日
今回の佐藤豊彦のコンサートは、前半がスペインのカール五世に仕えたナルバエスのビウエラ曲を解説&演奏。後半は100年時代を下り、ルイ十四世時代のド・ヴィゼーのテオルボ曲であった。
だが最初からアクシデントがあった。まず佐藤豊彦が会場に入って調弦している最中にケータイ音が鳴り、男性がバッグから取り出して止めるという出来事である。止めるにしても、ケータイを開く時にまた音が出る。私は普段、マナーモードでしか使ったことがないんで驚いたが、開くだけでも音が流れるように設定するのが普通なのか?な、なんで??
これだけではない、さらに最初の曲を弾き始めるとほぼ同時に、またもケータイの呼出音が響いたのであった!
正直言って、近江楽堂みたいな小さい会場だとビウエラなんかよりケータイの方がずーっとデカい音にきこえるのだ。こりゃ、鑑賞妨害と言ってもよいぞ。
というわけで、こんなトラブルのためにビウエラ様のご機嫌を損ねたのであろう。ナリは小さいけど(ウクレレを一回り大きくしたぐらいか)バカにすんなー、という感じか。その後、ビウエラ様は途中で弦がほどけたり、しまいにはブチッと演奏中にキレて切れてしまったのであった。
とんだビウエラ様ご乱心~(なぜかお小姓が楽譜台を持ってドタバタ走り回っている脳内イメージ)である。
内容的には「地味にして繊細」な曲がほとんど。音楽史上最初の変奏曲なんてのもあったぞ。ビウエラの一番細い弦はなんと太さ0.36ミリだという。繊細なはずであるよ。
個人的には長い間、名前の読み方が分からなかった Richafort (ウェルガス・アンサンブルが美しい声楽曲の録音を出している)の曲を編曲したのがあって、ようやく分かって嬉しかった。リシャフォーと読むのね¢(_ _;)メモメモ
後半のド・ヴィゼーはルイ十四世のギター教師でもあったという作曲家&演奏家。使用楽器は今では御法度の象牙と黒檀を使った白黒のデザインが美しいテオルボである。こちらもビウエラに負けじ!とばかりに途中で調弦が狂ってやり直す場面があった。テオルボ様もご機嫌斜めらしい。
また、佐藤豊彦の解説で舞曲のクーラント(だよね)は速く弾かれているが、本当は(フランス式だと)ゆっくり弾くものらしいというのが最近分かった、というのがあった。
全体的な印象は「典雅にして繊細」。特に最初の方のリュリやマレの曲を編曲したものがよかった。ルイ14世というと「派手でケバくてエロ好き」みたいな印象があるが、一方でこんな渋い曲を宮廷で演奏していたのかと思うと若干イメージが変わるところがある。
しかし、今度はアンコール曲で時計のアラーム音が鳴ったのであーる!(ちょうど9時の時報だろう)
もちろん一瞬だから大したことはないといえばないのだが、余が専制君主であればたちどころに「ギロチンじゃー」と宣告したことであろう。犯人は命拾いしたのう。
会場でCDを買おうとしたが、たちどころに売切れてしまった。クスン(T_T)
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