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2007年4月 4日 (水)

「オール・ザ・キングスメン」:キャストは豪華……だが

監督:スティーヴン・ザイリアン
出演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ
米国2006年

友人が抽選で券が当たったというので、珍しく試写会へ行った。1949年にアカデミー賞を3部門取った名作と同じ原作(こちらもピューリッツァー賞)を再映画化したものである。なお、実際にモデルとなった政治家がいるそうだ。

この映画をお勧めするのは、ショーン・ペンの十八番となった小悪党ぶりを楽しみたい人か、ジュード・ロウのファンだろう。S・ペンは嬉々として権力の鬼となった政治家を演じているし、J・ロウの二枚目ぶりはピカピカしている。
だが、それ以外の人にはあまり見る価値はないだろう。

そもそも、もとは清廉潔白だった政治家がどうして強欲な悪人になってしまったのか、その過程がほとんど描かれていない。「橋を作る、病院を作る」と口先ではうまい事を言う彼を民衆が支持するのは分かるが、常に彼を冷めた眼で眺めていた記者がなぜ彼に惹かれているのかもよく分からない。

話は二つに分裂していて、悪どい政治の世界と、主人公の青春への嘆慨めいた感傷とのどちらを重点的に描きたいのかもまた不明である。
脇役も手堅い役者を揃えているが、あまり見どころがない。特にジェームズ・ガンドルフィーニは全く冴えない使い方だった。勿体ないんじゃないの。
ケイト・ウィンスレットは久し振りに見たら、痩せて別人のようキレイになっていた(最初分からなかったほど)。女優は化けるというがビックリである。

取り直しなどあって製作に時間がかかったというが、そういう背景を伺わせる出来であった。旧作の方を見てみたくなってしまったぞ。

それにしても、口先で改革派を気どり旧勢力を攻撃し民衆に受けるような公約をする政治家が人気を得るというのは別に最近の日本の話ではなく、昔からあった政治手法なのだというのはよーく分かった。


主観点:5点
客観点:6点(ジュード・ロウのファンは見て損なし)

【追記】
旧作の感想を書きました。

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