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2007年4月29日 (日)

「クィーン」:日本版も見たいけど無理無理

監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ヘレン・ミレン、マイケル・シーン
イギリス・フランス・イタリア2006年

この映画、実は全然期待していなかったんですの。だーって、あなた脚本が『ラストキング・オブ・スコットランド』の人と同じじゃありませんか。実録で、主人公が王ならぬ女王って--どうせ、また再現ビデオでしょっ、なんて予想しちゃいますわ。いくら、双方の「王」と「女王」がオスカー獲得したってねえ。

ところが、予想に反してこれがまた面白かったんですのよ。そう、何を思い出したかというと、女性週刊誌ですわねえ。
わたくしσ(^-^;)美容院に行く度に必ず「女性セブン」と「女性自身」の皇室ネタの記事をチェック致しますの。片方が雅子サマ派でもう片方はアンチ雅子サマ派なのよね。だから同じ出来事を取り上げても、スタンスが正反対で読み比べるととーっても面白いんです。

まあ、それに似た感覚と申しましょうか。だって、他所の国の王室の内側、それも醜聞なんて滅多に覗けるもんじゃありませんわよっ。おまけに、ほとんどの登場人物が未だ現役のままなんですもの。もう、ドキドキしてときめいちゃう。

不肖の元・嫁ダイアナが異教徒の男と自動車事故で急死したのは本人の勝手--と言いたいところですけど、困ったことに将来の国王の母親だって事は、いくら離婚していても変わらず。
ほら、日本だってあるじゃありませんか、実家の墓に入れるか入れないかとかもめるって話は……え、違う? 失礼しました(^^ゞ

で、事故から葬儀までの一週間をエリザベス女王と新任なったばかりのブレア首相を中心に描いていきます。
いや、それどころか他ブログで「女王とブレア以外はみんな悪者」と評した感想がありましたけど、ホントにそういう感じ。フィリップ殿下なんかただの頑固ジジイだし、チャールズ皇太子に至っては、まさにご愁傷さまとしか言えないですわね。

元嫁の死にも動ずるところがなかった女王が、立派な角を持つ鹿の死に涙する場面は彼女の心情をよく表わしておりました。で、わたくしが一番心動かされた場面は、その後ブレアに説得されて一家が宮殿に戻ってきた時に、門の前に置かれた大量のダイアナへの献花とカードを見て回る場面です。カードに書かれたハートマークやダイアナへの賛辞は、地味~に執務を果たすことを一番とする女王には絶対得ることの出来ないものなのですわね。
それを眺めるヘレン・ミレンの表情には思わず涙ぐんでしまいましたわ、グスッ(;_;)

一方、今イチ納得できないのはブレアの方。なんであそこまで女王に肩入れするのか納得できるような説明はありませんでした。結局、自分のヨメに指摘された通りマザコンなのかしらん。
それにしても、終盤に女王が彼に「新聞は手のひらを返すように攻撃を始める」みたいなことを言ってましたけど、これは現在のブレアの人気凋落ぶりを見るとチョー皮肉なセリフですわねえ。

あと、女王サマの普段着は地味ですけどとてもステキッ! わたくしも歳取ったらお手本にしたいと思いました。ご本人もあんな着こなししてるんでしょうか?

同じ脚本家によるクリソツ演技と裏話でも『ラストキング~』と比べると、演出によってずいぶん違うんですのねえ。わたくし、「女性セブン」と「女性自身」のバックナンバーをしっかり読破したような満足感を覚えました。
で、結論は「チャールズ、あんたが全て悪い」でよろしいですかしら?


主観点:7点
客観点:7点

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受信: 2007年4月30日 (月) 09時56分

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