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2007年4月22日 (日)

『パラダイス・ナウ』:余は如何にして「テロリスト」となりし乎

監督:ハニ・アブ・アサド
出演:カイス・ネシフ、アリ・スリマン
フランス・ドイツ・オランダ・パレスチナ2005年

いわゆる「自爆テロ」を実行犯の側から描いたとして話題になった作品。
舞台はイスラエル占領下の街ナブルスで、いたるところに軍の検問所があって、交通は常時渋滞、破壊された建物が瓦礫状態になってたりする。
しかし、一方で主人公の若者二人の生活は、バイト先で知り合った女の子にコナかけたり、客とケンカしてクビになったり、のんべだらりと水タバコをふかしたり--とマッタ~リした調子で描かれる。

そして、以前から志願していた自爆攻撃の準備ができてゴーサインが出ても彼らは淡々とした様子で、特別の感慨もないように家族と夜を過ごすのである。
その後の組織のアジトでの出来事も、妙に気が抜けたようなユーモアに満ちている。

しかし、後半は一変。
実行直前になって若者の一人がヤル気満々なのに対し、もう一人が自爆攻撃に疑問を呈している。だがアクシデントが起こり、やがて二人の立場が逆転していく--。その過程がうまく描かれている。

主人公達が住む街はいささかせせこましく家が折り重なるように続いている。だが、終盤に現われるイスラエル側のテルアビブは広々と美しく光り輝いているようだ。
その、あまりの対照に驚く時「平等に生きる事はできなくても、平等に死ぬ事はできる」という言葉を実感できる気がするのだ。

ラストは……果たしてそこにパラダイスは出現したのであろうか?
それは観る者全てへの問いかけである。

という訳でスピちゃんの『ミュンヘン』に感動した方々には是非とも見て頂きたい映画だ(もちろん『ミュンヘン』に怒った人も)。だが、東京都写真美術館はいくら公開後一か月経過していたとはいえ、半分も埋まっていなかったのは何故よ(?_?;


主観点:7点
客観点:8点

【関連リンク】
『ミュンヘン』でも紹介したが、両者を観たイスラエル人ジャーナリストの感想。(激しくネタバレあり)
「『パラダイス・ナウ』と『ミュンヘン』」

上記リンクを紹介した《P-navi info》より
「[映画]「パラダイス・ナウ」を観て」

『トレインスポッティング』に似ているという指摘。なるほどと頷いてしまった。
《六本木シネマだより》
もっとも私、実は『トレインスポッティング』観てないんですけどね(^^ゞ

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