「オンナらしさ入門(笑)」:ウン十年前に読めてたらよかったかも
著者:小倉千加子
理論社(よりみちパン!セ)2007年
理論社から出ているヤングアダルト向けの新書(より一回り大きい判型だが)から出された女子向け人生指南書。ちなみにこのシリーズからは既に男子対象の本は3冊ほど出ている。
内容はこれまでの著者のジェンダー論などを分かりやすく噛み砕いて書いている。『ナイトメア』とも重なる部分は多い。
冒頭にマザーグースの歌を引用し(「おんなのこは おさとうと スパイスとすてきななにもかも」でできている)、歌の内容にもかかわらずイバラの道を歩かなければならないことを説く。
ただし、あくまでも青少年向けであるからには、終章は希望にあふれたものとなっている。彼女の他の本のように辛辣な終わり方は禁止!だ。
とはいえ、キビシイ指摘は文中の至る所に登場するので要注意である。
大学生の男子の「見にいく娯楽」の第一位は、観賞でも鑑賞でもなく、観戦です。男子は勝ち負けを見にいき、女子は作品を見にいく。
なんかここを読んで思わず笑ってしまったのは私だけか。
もちろん、これは甘い「おんなのこ」のイバラの道を歩くことに疑問を感じる女子向けであり、そうでない女子は読む必要はないだろう。あ、「おとこのこ」(「かえるに かたつむりに こいぬのしっぽ」で構成)がイヤな男子も読むのはOK。
余談だが、マザーグースの歌で思い出したのはウェールズの伝説の中の物語である。魔法使いが砂糖やスパイスや素敵なもの--ならぬ花で美しい女を作って自分の甥に与えるのだが、その結末は極めて不条理で陰惨なものだ。
伝説の中で示されているのは不変の真実なのだろうか、それとも太古の昔から存在した道を外れた女への規範なのだろうか。
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